第326話 逃げろ、真樹!
おはようございます!
久々に連載再開します!
真樹を憎む理系女子、堀ノ内希美は真樹抹殺用に女性型アンドロイドであるヴィーナス01を開発した。仲間である長沢たちの力も借りてヴィーナス01を完成させた堀之内は、真樹のデータを取った後、抹殺する作戦を実行ることにした。そしてこの日の夕方、遂にヴィーナス01による作戦、T-計画が始まったのだった。
「待て、湯川真樹!逃げても無駄だ!」
「くそっ、何がなんだか訳がわからん!」
ヴィーナス01から放たれる弾丸を避けながら、必死で逃げる真樹。しかし、どれだけ逃げてもヴィーナス01は攻撃を止めない。何とか逃げ切ろうとする真樹だが、頭の中は混乱していた。
「な、何なんだアイツは?俺が女性から嫌われているのは知っているけど、アイツはマジで見覚えがない!」
今まで真樹に対して揉めた女性は、甲子園での事件を除いて全て面識がある者であった。しかし、完全初対面であるヴィーナス01に襲われたことにより、真樹は段々と訳が分からなくなっていた。何とか逃げ切ろうとした真樹だが、全く巻くことが出来ず、遂に人気のない裏路地の行き止まりに追い込まれてしまった。
「もう逃げられないわ。死になさい、湯川真樹!」
「俺は女性から嫌われている自覚はあるが、初対面のお前に殺される言われはない!何なんだお前は!」
「じゃあ、死ぬ前に教えてあげる。私はヴィーナス01。依頼により、すべての女性の平和の為にあなたを消すことを任されたわ!」
「ますます訳が分からん!ふざけてんのか?」
「ふざけてないわ。とにかく、マスターたちの為にあなたには消えてもらうわ!」
ヴィーナス01は変形させた右腕の銃口を真樹に向けながらジリジリと近づいていく。真樹はあたりを見渡しながら必死に考えた。
(マズいな。このままでは本当に殺される…。でも、どうすれば…?)
いくら辺りを見渡しても、落ちているのはゴミばかり。万事休すかと思ったが真樹はある事に気付いた。
(ん…?仕方ない、一か八かだ。)
そう言って真樹は地面に両膝を着いた。それを見たヴィーナス01はあざ笑うように言った。
「とうとう降参するのね、湯川真樹!でも、任務は任務だから消えてもらうわよ!」
ヴィーナス01がそう言って真樹を打とうとした、正にその一瞬だった。
「今だ!」
真樹はそう言って、ヴィーナス01の正面に突っ込んでいった。そして、思いきりタックルを食らわせて押し倒した後、相手が怯んだ隙を見て全速力で逃げ去った。
「待て、湯川真樹!」
ヴィーナス01はそう言って右腕の銃口から真樹に球を発車しようとした。だが、次の瞬間…。
「うわっ!」
思わず声を上げたヴィーナス01。それもそのはず、発砲しようとした瞬間に右腕が突然爆発したのだった。訳が分からなくなっているヴィーナス01はコロコロと何かが転がっているのに気づいた。
「パチンコ玉…?これが詰まっていたのね。でも何で…?とにかく湯川真樹を追跡…っ!!!」
真樹を追跡しようとしたヴィーナス01だが、足が動かないことに気付く。よく見ると、左足が何かで地面に固められ、動かせなくなっていた。
「な、何よこれ…?接着剤?」
左足には大量の接着剤がかけられ、ヴィーナス01はその場から完全に動けなくなっていた。そう、実はあの時真樹は地面に落ちていたパチンコ玉と、自身の背後に捨てられていた工業用の強力接着剤に気付いた。こっそりそれを拾った真樹は膝をついてヴィーナス01の隙をつき、タックルと同時に銃口にパチンコ玉を投入、更に彼女の左足に残っていた接着剤を全部かけ、反撃した上で逃げたのだった。武装の一部を破壊され、身動きも取れなくなった彼女に、堀ノ内から連絡が入った。
「ヴィーナス01、上手くいった?」
「ごめん、希美。湯川真樹に逃げられたわ。」
「うそでしょ?!何やってんのよ!」
「銃口にパチンコ玉入れられて、暴発させられただけじゃなく、足を接着剤で固められて身動きが取れないの。」
「くそぉ…湯川め!女の子相手にそこまでするなんて!だから嫌いなのよ!」
「どうすればいい、希美?」
「とりあえず、左手にはドリルも仕込んであるから、それで接着剤は剥がして頂戴。後、右腕は治してあげるからとりあえず一旦戻っておいで。」
「分かったわ。ごめん、希美。」
「まあいいわ。この前の仕掛けのお陰で、湯川をいつでも仕留められるようにはなってるんだし。」
堀ノ内はそう言って連絡を切った。ヴィーナス01は堀ノ内に言われた通りにドリルで固まった接着剤を剥がし、アジトに戻って言ったのだった。
一方の真樹は何とか逃げ切って、駅前に戻っていた。
「何とか巻けたが、これで済むとは思えん。」
息を切らしながらそう不安げに言った真樹。真樹はスマホを見ながら呟いた。
「相手の狙いは恐らく俺一人だ。だが、家に戻って、爺ちゃんと婆ちゃんを巻き込む訳にはいかん。遠くに逃げるしかない…か。」
身近な人たちを巻き込む訳にはいかないと思った真樹は、そう言ってスマホでどこかに電話を掛けたのだった。
おはようございます。
色々あって連載を休んでましたが、本日よりいつも通り登校していきたいと思います。
よろしくお願いします!




