第321話 T-計画、始動!
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湯川真樹は天敵である大和田裕也を、彼の実家である大和田コンツェルン諸共撃退し、平和に過ごしている。実際、彼が学校からいなくなったことによって真樹を嫌っている他の女子生徒たちがショックで抜け殻のように大人しくなったことによって、真樹が悪口を言われたり、女子生徒と口論になる回数は減り始めていた。しかし、今までもそうだったように真樹を嫌う女性は何も学内ばかりとは限らない。彼が知らない所で、真樹を嫌う女性たちがある計画を立ち上げようとしているのだった。
-都内某所にて-
「じゃあ、改めてまして…この堀ノ内希美発案の、T-計画を始動する事を発表致します!」
白衣を着て、眼鏡に三つ編みのヘアスタイルをした少女が立ち上がって言った。名は先ほど名乗った通り、堀ノ内希美という様だ。
「ねえ、何よT-計画って?早く教えて!」
ショートカットの少女がそう堀ノ内に聞いた。彼女の名は長沢唯奈といい、堀ノ内の同級生で友人である。
「フフフ…まあ、そう焦らない。これには私たち、江戸川工業高校の力だけじゃどうにもできないわ。だから、プチ同窓会も兼ねて浅草科学大付属の二人も呼んだんじゃない!」
堀ノ内がそう言うと、ポニーテールの色白の少女と、小柄でボブカットの少女が話し始める。
「ねえ早く教えてよ、希美!」
「希美の事だから、きっとすごい計画なんだろうけど…。」
ポニーテールの少女は三浦有紗、ボブカットの少女は津久井奈々という。2人は堀ノ内とは違い、浅草科学大学付属高校という別の学校に通っている。しかし、実はこの4人は小学校からの幼馴染で、化学大好きな理系女子達だった。そんな中、堀ノ内は話を本題に戻した。
「T-計画って言うのはね、結論から言うとみんなも大嫌いな湯川真樹を完全に消し去る計画よ!私一人だと流石にきついけど、この4人の頭脳と技術なら可能だわ。だから…手を貸して欲しいの!」
堀ノ内は両手を合わせて、3人にお願いした。そんな彼女に長沢が聞いた。
「私だって湯川を消したいけど、具体的にどうするのよ?」
更に、三浦と津久井も堀ノ内に問う。
「私も湯川を消せるならいくらでも協力するけど…。」
「早く詳細を教えて!どうすれば湯川を殺せるの?」
そう聞く3人に対し、堀ノ内は胸を張りながら言った。
「はいはい、焦らない。今持ってくるからね、ちょっと待ってて!」
堀ノ内はそう言って部屋の奥に入って行った。すると、しばらくして台車の上に白い布をかぶったものを乗せて戻ってきた。
「じゃーん。これよ!」
堀ノ内が自慢げに言ったが、3人はポカンとしている。長沢が戸惑いながら聞いた。
「希美、新しい発明みたいだけど…一体何を作ったのよ?」
「フフフ…見て驚かないでね!」
堀ノ内はそう言って白い布を取った。すると、今度はそれを見た三浦と津久井が驚きの声を上げた。
「え…希美…これ一人で作ったの?」
「さすが希美ね。発明女王の異名は伊達じゃない!」
台車の上には、どこからどう見ても10代の女性にしか見えないものが裸体で体育座りをした状態で乗っていた。しかし、目は固く閉じられており、呼吸もしていない。
「これはね、湯川真樹を消し去る最終兵器。ヴィーナス01よ!アンドロイドだけど、見た目は完全に人間の女の子と区別付かないわ!」
彼女が開発したのはヴィーナス01という女性型アンドロイドだった。今は目を閉じて全く動かないが、遠目に見ればただ女性が体育座りのまま眠っているようにしか見えない。そんな時、長沢が聞く。
「見た感じ、ほぼ出来上がっているみたいだけど、何で私たちを呼んだの?」
その問いに堀ノ内は膝をつきながら涙目で言った。
「実は…AIと武装の開発に苦労してて、このまま動かしてもその辺の作業ロボットと変わらないし、戦闘なんて無理だわ!だから、お願いします!ヴィーナス01のAIと武装の開発を手伝ってください!勿論ただでとは言わないわ!湯川を始末したら、みんなを草津温泉に連れて行ってあげるからさ!」
必死で頼む堀ノ内に長沢が優しく声を掛ける。
「何よ、水臭いわね。行ってくれれば最初から手伝ったのに。」
更に三浦と津久井も笑顔で言った。
「勿論よ!女の敵、湯川真樹を倒しましょう!」
「湯川を消す、それは全世界の女性の願い。協力しない理由なんかない。」
3人は堀ノ内の提案を飲んだ。それに対し、堀ノ内は満面の笑みで礼を言った。
「あ、ありがとうみんな!それじゃあ、早速開発に取り掛かるわよ!」
こうして、真樹を始末する為の秘密兵器が水面下で開発されるのだった。
月曜日の朝。
「じゃあ、行ってきます!」
真樹はいつも通りに家を出て、学校に向かった。季節はもうすぐ6月になろうとしているのもあって段々度気温が上がり、朝の陽ざしも強くなっている。電車に乗り、最寄り駅に到着すると改札の所でいつものように慶に出会った。
「おはよう、真樹。」
「おう、オニィ。おはよう!」
これもすっかりお馴染みの光景である。すると慶がご機嫌な様子で話し始める。
「真樹。今度ニュータウンの方に新しいどんぶり専門店できるらしいよ。」
「初耳だな。だが、興味はある。オニィが次の県大会優勝したら連れて行ってやろう。俺も調べておく。」
「え、本当に?じゃあ、僕頑張らないとね!よーし、やる気出てきた!」
「相変わらず、食いしん坊だな。オニィは。」
慶に対し微笑みながらそう言った真樹。しかし、別の者に再び命を狙われているとはこの時の真樹はまだ気づいていなかった。
こんにちは。
投稿が遅れてしまい、申し訳ございませんでした。
今までの頻度で更新するのは少々難しくなりましたが、なるべく間隔を開けない様に努力します。
それではまた次回。




