第314話 被害者の逆襲
こんばんは。
本エピソードももうすぐ終盤です。
大和田コンツェルンは世界トップクラスの大財閥である。その影響は日本国内だけでなく世界各地に及び、真樹の同級生の裕也の父である財閥トップの大和田圭一郎は、世界中の政治家ですら頭が上がらないほどの権力と財力を持っている。しかし、彼の強引なやり方に不満を持つ者も少なくなく、大和田コンツェルンとしてはそのような反抗的な者や、グループの脅威となりそうな者は手段を選ばずに殺害してきたという残虐極まりない一面を持っている。しかし、今回裕也が真樹を本気で怒らせてしまったこともあり、彼の逆襲が今に始まろうとしていた。
真樹が成田でアンチ大和田コンツェルンの決起集会を終えて帰宅し、テレビを点けると早速夕方のニュースであることが報道されていた。
『今日午後、日本トップの財閥である大和田コンツェルンの秘書を務めている男が逮捕されました。逮捕されたのは、大和田コンツェルンの執事兼会長である圭一郎氏の助手の山本友紀夫容疑者(53)。山本容疑者は先日に千葉県佐倉市の住宅に侵入して窓ガラスを割り、後日その住宅に火をつけたとの事。調べに対して山本容疑者は容疑を認めており、「大和田家のご子息が火をつけた家に住む同級生の事を気に入ってなかった。ご子息の楽しい学校生活の為に、その同級生を殺したかった。」と供述。また、山本容疑者は先日静岡県内で死亡した坂田工業社長の坂田次郎氏の殺害にも関わっているとされており、警察では捜査が進められる模様です。』
真樹はそのニュースを見て嬉しそうに微笑みながら言った。
「フン、ざまぁみろ。俺の家のガラスを割って、火を点けるからこうなるんだ。」
テレビに映った山本の顔に軽蔑の視線を送った後、ある所に電話した。
「もしもし、陳か?」
「もしもし、真樹?どうしたの?何か嬉しそうだけど。」
電話の相手は沙崙だった。真樹はご機嫌な様子で続ける。
「喜べ。今日大和田コンツェルン被害者の会の決起集会をやっやんだが、さっき終わって帰った時にアイツんちの執事が殺人と俺ん家の放火で逮捕された。」
「マジで?!いい気味だわ。これを機に、大和田グループが台湾から撤退してくれればいいのに!」
裕也から随分いじめられた沙崙は、かなり厳しいコメントを残した。そして、真樹はまだ続ける。
「飯田さんや、弁護士の岩本さんの協力もあって、今後被害者の声を元にもっと大和田コンツェルンの闇が暴かれる見込みだ!」
「うんうん。なら心強いわ!とにかく、大和田とか言うあんな腐った所に好き放題させちゃだめよ!」
「勿論だ。今度という今度は、俺もアイツを許さないからな。」
そう話した後に、二人は電話を切った。真樹はテレビを見ながら不敵な笑みを浮かべながら言った。
「このままでは済まさないぜ。大和田コンツェルン。」
大和田コンツェルンは既に真樹の術中に嵌っていた。
-同時刻 愛知県名古屋市-
「ちょっと、どういうこと?何で山本が逮捕されてんのよ!」
大和田裕也の母である、大和田美千代は名古屋市内にある中部テレビにて番組出演を控えていた。ビルの最上階に設けられた専用のVIPルームでテレビを見た美千代は、自分の執事である山本が逮捕されたニュースを見て衝撃を受けている。
「うそよ。あれがバレる訳がない!坂田工業社長を殺した手順だって完璧なはずだった!そもそも、中小企業のくせに大和田コンツェルンを出し抜こうと、生意気に特許を取ること自体が犯罪なのよ!世界は大和田怪我の考えが法律なのよ!勝手なことをする方が犯罪者なんだから!大和田コンツェルンは全ての事柄において免罪符を持っている!逮捕した警察をすぐに罰するわよ!」
美千代は山本を逮捕した警察を処罰すべく動こうとした。しかし、真樹の根回しによって何もかもが手遅れになっていた。それからすぐに彼女の特別な楽屋に誰かが入ってきた。
「失礼します。」
「だ、誰よあんた達?」
大勢のスーツを着た男性たちが美千代の楽屋に入って来たのだが、彼女はそれに対して不満げな表情を浮べた。しかし、スーツを着た男性たちは全く動じずに淡々と続ける。
「愛知県警です。大和田美千代さん。あなた、テレビに出演の際に気に入らないスタッフに対して執拗以上に恫喝し、更に曲の上層部に圧力をかけて強引に解雇させたそうですね。中にはうつ病を患ってしまった被害者もいました。」
「それが何だって言うのよ!私は世界一の大和田コンツェルンの会長夫人よ!私の言う通りにならないなら、それは犯罪と同じ!さっさと消えるべきよ!それに、警察だからって言って、大和田コンツェルンには逆らえないわ!私は全員懲戒免職にする権限だって持っているのよ!」
「残念だが、それはもうできなくなった。あんたたちの被害者が証拠を集めてくれたし、反大和田派の各県警上層部も、とある少年の証言を聞いて本気で取り締まりする意思を固めた。大和田美千代さん。あなたを恐喝及び名誉棄損の容疑で逮捕します!」
警察も真樹の証言や飯田の調査データを見て、もはや大和田グループに気を使う必要はなくなっていた。そして、番組出演を控えていた美千代は警察に連行されていった。
「ちょっと、放してよ!これからテレビに仕事があんの!」
「局の人間にも、話はついている。安心しろ。逮捕されたお前がニュース速報で映るから、お前はテレビには出られるぞ。」
刑事の皮肉を聞かされながら、裕也の母である美千代も山本に続いてあっけなく逮捕されたのだった。
こんばんは!
庭連続で逮捕者が出ました。
本エピソードは遅くとも9月中には終わらせたいと思っております。
それではまた次回!




