第308話 湯川家大ピンチ
こんにちわ。
皆さん、熱中症に気を付けて下さい!
湯川真樹と大和田裕也。共に大谷津学院に通う男子生徒なのだがその立場は完全に真逆である。真樹は親もなく祖父母と暮らしており、家計も決して裕福ではない中、学業では常にトップで野球部の甲子園出場に貢献している。しかし、その不愛想且つ筋金入りの女嫌いの性格が災いして、慶などの一部例外を除く学校中の女子生徒から害虫以上に嫌われている。一方で大和田裕也はというと、モデルや俳優も怖気づくほどの美少年であり、入学時から常に学校の女子生徒からモテモテ。しかも実家は世界有数の大財閥である大和田コンツェルンと超お金持ちなので真樹非の打ち所がない完璧少年である。だが、それを鼻にかけて自分より劣っていると見なした者は徹底的に見下し、根暗で親もなく、女子生徒から嫌われている真樹を敵とみなしている。だが、今までの真樹の活躍で学校の女子生徒が停学、退学、大学の推薦枠の取り消しなどを食らったうえ、裕也自身も一度停学処分を受けたことがある。これまで自身のお気に入りの女子を陥れ、尚且つプライドを木津tづけられた裕也やその取り巻きの女子たちは、真樹に対して怒りの感情が限界に達していたのだった。
-月曜日 放課後-
「今日も疲れたな。帰ったらゲームの続きやろう。」
いつも通り、授業を終えた真樹は真っすぐに帰宅した。最寄り駅からいつもの道を通って自宅に着いた真樹は玄関のかぎを開けて家に入る。祖父母の正三と多恵はまだ帰宅していなかった。
「のどか湧いたから水飲もう。」
真樹がそう言って台所に向かうと、目の前には異様な光景が広がっていた。
「な、何だこれは?」
なんと、台所の窓がすべて割られていた。床中にガラスの破片が飛び散っていたので真樹はスリッパを履いて慎重に状況を確かめる。どうやら誰かが侵入した形跡はなく、物も取られていなかったので、ただ外から窓を割られていただけの様だった。
「他の場所は…?!」
真樹は急いで台所を出て他の部屋を確認する。すると、台所に隣接する今も同じように窓ガラスが割られていた。2回にある祖父母や真樹の寝室を確認したが、それらの部屋はどこも異常がなかった。確認を終えた真樹は携帯電話を取り出して言う。
「とりあえず、警察に通報だな。」
真樹はすぐに警察にこのことを伝えた。十数分後に警察が到着したのだが…。
「な、何じゃ?この騒ぎは?」
「いったい何があったの?」
ほぼ同時に帰宅した正三と多恵がこの状況を見て驚いていた。すると、警察の一人が二人に説明を始める。
「お孫さんから通報がありましてね。帰宅したら窓ガラスが割られていたとの事でした。お孫さんとも確認しましたが、部屋への侵入や金目のものが撮られた形跡はありません。」
そう説明を受けたものの、やはり状況が呑み込めていない二人。そして、真樹の方へ駆け寄る。
「真樹、大丈夫か?」
「怪我はない?」
心配する正三と多恵に、真樹は微笑んで言った。
「爺ちゃん、婆ちゃん。心配すんな。俺が帰ってきたときにはもう割れてたし、誰もいなかったから。しかし、何でまたこんなことを。」
それは誰もが思う疑問であった。その後、警察は部屋中を捜査した後引き上げることになった。
「我々も聞き込み捜査を続けます。もしまた似たような事があったり、怪しい人物を見かけましたらすぐにお知らせください。」
「「「はい、ありがとうございました!」」」
真樹、正三、多恵の3人は警察に礼を言って見送った。そんな中、真樹は心の中で呟く。
(何となく心は足りはあるが、まだ証拠が弱い。警戒しておかないと。)
後に大事件になるのではないかと、真樹は危機感を抱いていたのだった。
翌日。真樹は昨日の事が気になりながらも登校した。普段通り授業を受け、休憩時間中に自動販売機で飲み物を買っていると、大和田裕也に出くわした。
「おい、湯川!」
喧嘩腰でそう声を掛けられた真樹だったが彼は無視してその場を立ち去ろうとした。そんな真樹に裕也は逆上しながら詰め寄る。
「おい!無視すんな!この俺様にそんな態度取ってただで済むと思ってんのか?!」
「お前の無駄話に付き合うつもりはない。さっさと離せ。馬鹿が伝染る。」
「言わせておけば…!お前みたいな産業廃棄物、この俺がさっさと消してやる。そして、女の子たちが楽しく過ごせる空気を俺が作ってやる。」
「やれるもんなら、やってみな。」
「フン!とにかく、お前が生きてこの学校を卒業できると思うなよ。学校が身売りされた今、俺がお前を消してやる!」
裕也はそれだけ言うと、怒って教室に戻ってしまった。真樹はやれやれという表情を浮べ、買ったペットボトルの炭酸飲料を飲みながら教室に戻って行った。
-その日の晩-
「じゃあ、お休み。」
真樹は正三と多恵にそう挨拶をして自分の部屋に戻り、布団に入った。因みに昼に絡まれてからは裕也はその後一度も真樹絡んでこなかった。ここのところ、毎回のように裕也に絡まれて真樹はいい加減飽き飽きしていたが、今晩はそんなことは一度忘れて寝ようと思っていた。眠ろうとしていた真樹だったが、何か違和感を感じた。
「ん?何だこの臭い?」
部屋の中に何か焦げ臭いにおいを感じた真樹。正三と多恵も寝ているので料理をしているわけではなさそうだ。真樹が階に降りると焦げ臭いは更に強くなり、温度も少し熱く感じだ。1下院部屋の中自体には特に異常はなかったので台所の横にある勝手口から外を見ると、違和感の原因が分かった。
「何だと?壁が燃えている?!」
丁度台所の割られた窓の外側の部分が赤い炎で包まれていた。真樹は急いで二階に上がり、正三と多恵を起こす。
「爺ちゃん、婆ちゃん!ヤバい、家が火事になってる!」
真樹の家はまさに絶体絶命だった。
こんにちわ。
話しの動きが鈍ってきたと思ったので、今回は思いきり動かしました。
次回もよろしくお願いします!




