第305話 裕也大暴走
こんばんわ。
最近暑すぎて熱中症が怖いです。
-AM7:30 千葉市郊外-
「それでは、旦那様、奥様、坊ちゃん。行ってらっしゃいませ!」
「「「行ってらっしゃいませ!」」」
ここは大和田コンツェルンの当主である大和田圭一郎の自宅の玄関先。つまり裕也の実家である。そこで山本と複数人の執事の部下たちが元気な挨拶でこれから出かける圭一郎、美千代、裕也を見送っていた。そんな中、圭一郎が山本に聞く。
「山本、ヘリの準備はどうだ?」
「整備も燃料補充も完璧です。どうぞ。」
山本が手を指した方向を見ると、庭に舗装された部分にヘリコプターが停まっていた。勿論大和田家の自家用ヘリである。
「じゃあ、これから長野に出張に行ってくるから、後は頼んだぞ、美千代、裕也。」
「分かったわ。」
「任せてくれよ、親父!」
美千代と裕也にそう見送られ、圭一郎はヘリに乗って長野に向かって言った。
「奥様、今日のスケジュールは9時から列島テレビでのワイドショー、11時より銀座で来週のファッションショーの最終打ち合わせ、16時より六本木でパーティーとなります。」
「分かったわ。この私なら全部こなせるから安心して。」
美千代は結婚後は女優やモデルの仕事は減ったものの、完全に引退しているわけではなく、大和田家の仕事をしつつ、時々テレビでコメンテーターの仕事もこなしている。そんな彼女を山本は専属運転士が待機している黒塗りの1台数億円はする高級外車に案内し、そのまま美千代は車で家を出たのだった。
「じゃあ、山本。俺も行ってくるわ。」
「行ってらっしゃいませ、坊ちゃん。」
裕也は山本にそう挨拶すると、ヘルメットをかぶってお気に入りのスクーターに乗って投稿していったのだった。
-AM8:10 大谷津学院正門前-
「そうだ真樹。僕今度、春の大会で湘南の方に行くんだ!」
「おお、いいじゃないか。大会終わったら江の島海岸で一泳ぎするといい。」
丁度、真樹と慶が談笑しながら登校してきた。丁度二人が門を通って校舎に向かおうとした時に事件は起こった。
「おらぁ!大和田裕也様のお通りだぁ!」
そう叫びながら裕也がものすごい勢いでスクーターを飛ばしながら登校してきた。因みに、彼のスクーターは本来80キロまでしか出ないのだが、彼の父親、つまり圭一郎が息子の為にメーカーに無理を言って設計最高速度を150キロまで引き上げる改造が施されている。裕也はスクーターのスピードを落とさずに、勢いよく真樹と慶の所に突進した。
「死ねぇ!」
「うわっ!」
「な、何なのいきなり?」
真樹と慶はスクーターをよけることはできず、勢いよく跳ね飛ばされてしまった。しかし、飛ばされた先が運よく茂みだったので、二人とも大したけがはなかった。そして、当然ながら真樹は怒った。
「やい、何しやがる!危険運転だぞ!」
しかし、裕也の方はまるで反省していなかった。
「あ~、俺汚いものは目に入らないから、気付かずに撥ねちゃった。お前らが俺に逆らわなければこんな目には合わなかったんだけどな!」
裕也のあまりの言動に慶も怒りが爆発した。
「もう!いい加減にしなよ、大和田君!今まで好き勝手してたけど、学校が身売りされた以上、大人しくしないともう許されないよ!」
慶も注意したが、裕也は更に調子に乗った。
「おー、怖っ。ブスのくせに俺に脅しとか最低だな!おーい、みんな!湯川と鬼越が俺に酷いこと言って苛めるぞー!」
裕也の声を聴いてファンの女子たちが一気に終結した。そして、裕也を庇いながら真樹と慶を責め立てる。
「裕也君、可哀想。」
「私たちは味方だからね!」
「裕也君を苛める湯川、最低!」
「お前に生きてる資格なんてない!」
「鬼越さんもひどい!女の恥さらし!」
「お前も学校から出ていけ!」
一般的に見れば悪いのは裕也だが、大多数の女子生徒達にはそんな常識は通用しない。真樹と慶は馬鹿馬鹿しくなって、その場を後にした。
「下らねぇ。マジで頭痛くなるわ。行くぞ、オニィ。立てるか?」
「うん、僕は大丈夫。これ以上はもう、相手にする価値もないよ。」
呆れた表情で教室に向かう真樹と慶。その様子を裕也はスクーターに跨ったまま、誇らしげに見ながら言い放った。
「フン。ざまぁねぇぜ!この大和田裕也様に逆らう奴はみんな許さないぜ!」
大谷津学院は朝から大騒動になったが、それでもこの日の学校生活は始まっていく。
-日曜日 千葉県浦安市-
「それでは、高校サッカー千葉県大会。大谷津学院ー浦安西高校の試合を始めます!」
ここは浦安市内にあるサッカー場。ここでサッカーの県大会が行われていた。勿論大谷津学院のスタメンには裕也がいた。
「フン。こんな雑魚、さっさと片付けてやる。」
相手の様子を見ながら裕也はそう言った。因みに大谷津学院側の応援席は裕也目当ての女子生徒で埋め尽くされている。
「裕也君、頑張れー!」
「やっぱりユニフォーム姿がカッコいい!」
「絶対勝ってー!」
そんな女子たちの声援が響き渡る中、試合が始まった。最初は相手チームのボールだったが、裕也がすぐに奪いに来る。
「おらぁ、それは俺のだぁ!」
裕也はボールを奪おうとしたが、相手チームの選手が上手く回避した。しかし、悠早それに腹を立てる。
「寄こせって言ってんだろ!」
「うわっ!」
なんと、裕也はボールを持っている相手選手の足をわざと踏みつけ、強引にボールを奪った。そして、その様子に唖然としている相手チームの隙を突き、先制ゴールを決めた。相手チームの浦安西高校の監督が講義に出る。
「おい、審判。今のはファール…いや、レッドカードでもおかしくないほどの危険プレーだぞ!どうして何も言わないんだ!」
「わざとやったという保証はない。これ以上私のジャッジにケチをつけるなら、お宅を没収試合にしますよ!」
「なっ!」
相手チームの監督は唖然としながらもベンチに戻って行った。その様子を裕也は遠目に見ながら不敵な笑みを浮かべている。
「フフフ…いくら抗議しても無駄だぜ。親父が金積んで、全審判を買収してくれたからな。俺が何しても、お前らがいくら抗議しても、俺がカードを出されることはないぜ。」
裕也は高校最後の大会でどうしても全国で優勝したいと思っており、そのために圭一郎に頼んで審判を買収し、大谷津学院に有意な判定になること、そして裕也のラフプレーには一切の文句を付けられないように仕組んでいた。その後も試合は続けられたのだが、裕也は相手選手に肘鉄を食らわせたり、スパイクで膝を狙ってケリを入れるなどやりたい放題だった。結果、相手の浦安西高校は負傷退場を6人も出すことになり、試合も審判が大谷津学院に有利な判定を下し続けた結果、10-0のワンサイドゲームで大谷津学院が勝利した。
「やったぜー!みんな、見てくれたかー!」
勝利した裕也は、スタンドにいる女子生徒たちにピースサインを出しながらそう言った。勿論、女子たちは大歓声を上げる。
「キャーッ!裕也君ステキー!」
「よかったわぁ、勝てて!」
「堂々とラフプレーできるところがカッコいい!」
「このまま雑魚学校を蹴散らせて、全国行っちゃえー!」
女子たちも、裕也のラフプレーに違和感を持つどころかむしろカッコいいと思っていた。怒り心頭のまま会場を後にした浦安西高校とは反対に、裕也は誇らしげに言い放った。
「ハッハッハ!世の中俺みたいに容姿と金に恵まれていれば何しても許されるんだよ!世の中、この大和田裕也様が法律だ!」
裕也は全てに恵まれ、生きている間は何をしても許され続ける世界一幸せな男になれると本気で思っている。しかし、そんな彼に対し恨みが溜まっている真樹が反撃を企てていることなど、彼は考えもしなかった。
こんばんわ。
今回の話は結構書くのが難しく思っており、書くたびにどうしようって考えがよぎります。
でも、必ずきれいに決着をつけたいと思っておりますので、よろしくお願いします。
それではまた次回。




