表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
真樹VS女子  作者: 東洋連合
Episode17 真樹退学?!
299/327

第299話 大谷津学院最後の日

こんばんわ。

6月初投稿です!

 大谷津学院の理事長の上野と、校長の日暮里は真樹を学校に害をもたらす危険分子として退学処分にするだけでなく、近隣の高校に圧力をかけて真樹を他の学校に転入させないように計画していた。それだけでなく、担任の立石や野球部顧問の関屋に対しても、真樹の退学に反対するなら教員免許を剥奪すると脅迫していた。しかし、ここで諦める真樹ではなかった。飯田や岩本の協力もあって、水戸大学への身売り話を成功させ、更に飯田が同僚と潜入捜査して上野たちが経費でホスト通いをしていたことや、学習塾から賄賂を受け取った上で生徒を不正入学させようとしていたことが明らかになった。全ての準備が整った今、真樹の逆襲が始まるのだった。


 飯田から連絡を受けた翌朝。真樹はいつも通り登校するために家を出た。

「行ってきます。」

 祖父母の正三と多恵に挨拶をし、駅に向かって歩き始める真樹。いつも通りの時間に電車に乗り、いつも通りに駅に着いた。そして、いつも通り改札で慶に会う。

「おはよう、真樹!」

「おう、オニィか。おはよう。」

 これもすべていつも通りの光景である。ただ、互いの心情だけはいつも通りじゃなかった。慶が不安そうな表情で言う。

「ねぇ、真樹。僕、真樹に学校辞めて欲しくないよ。今からでも遅くないから、デモとか起こそうよ。僕がデモ隊のリーダーになるからさ。」

「その必要はない。下手すりゃオニィまで退学になるぞ。」

「でも、今回のはどう考えたって真樹は何も悪くないよ。あの理事長たちをそのままにしていたら、本当に真樹は退学になっちゃうし、それに真樹の言う通り学校も倒産しちゃうかもしれないよ。」

「必要ないと言っただろ?いや、必要なくなったと言った方が正しいかな。」

「え、どういうこと?」

「俺が簡単にアイツらの思い通りになるわけがないってことだ。まぁ、学校着いたときに答えが出る。」

 そう言う真樹に対し、首を傾げる慶。何とも複雑な雰囲気を漂わせながら、二人は学校に到着した。


 そして、学校に到着した真樹と慶。教室に向かう途中、周りの女子生徒たちが真樹に白い目を向けながら陰口を言っている。

「ほら、湯川よ、湯川。」

「女に嫌われ過ぎて退学になる奴よ。」

「理事長や校長先生にまで楯突いたって。」

「いくら学年主席でもねぇ…。」

「ざまぁみろだわ。」

 そんな影口を真樹は慶と共に流しながら教室を目指す。そして、案の定彼も現れた。

「よう、これから退学になる湯川じゃないか。何だ、最後に命乞いでもしに来たか?」

 学校一イケメンのモテモテ男子、大和田裕也だった。真樹と慶は嬉しそうな表情を浮べている裕也も無視して歩き続ける。しかし、裕也は無視されても楽しそうに話し続けていた。

「哀れなもんだな。残念な見た目はともかく、女の子と仲良くなろうとする意志もなく、ひたすら敵視し続けたバカの末路はな!俺みたいに、女の子に優しくしておけばもう少しマシな学校生活送れたかもしれないのにな。でも、全部遅すぎだぜ!お前の退学を女子全員が望んでいる!学園の平和の為に、今日限りでさっさと消えてくれ!」

 べらべらと喋り続ける裕也に対し、慶は苛立ちながら真樹に言った。

「行こう、真樹。」

「ああ。」

 裕也を無視したまま、真樹は慶と共に教室に着いた。すると、ドアを開けた途端に先に来ていた杜夫、伸治、武司が心配そうに駆け寄ってきた。

「おい、真樹!このままじゃ、マジに退学になっちまうぞ!本当にどうすんだ?!」

「俺も理事長に怒鳴り込んでやる!こんな横暴が許されてたまるか!」

「勉強も野球部も頑張っている真樹を退学にするなんて、俺も反対だ!校長も理事長も許さない!」

 校長や理事長のやり方に不満を爆発させている3人を真樹は宥めた。

「お前ら、落ち着け。俺が簡単に退学になるわけないだろ。」

 真樹はそう言ったが、今度は美緒の方が険しい表情で尋ねる。

「湯川君。大丈夫って言っている割には全く動いてないじゃない。本当にどうにかなるの?」

「目立って動けなかっただけだ。だが、もうそろそろフィナーレが来る。」

 そう言うと真樹はスマホを取り出して、何かを見た。そして、その瞬間微笑みながら言った。

「…。勝った。」

 

-AM8:10 理事長室-

「フフフ…。もうすぐ湯川真樹を退学にできる。これで学校も平和になるわ。山下塾からもお金と来年の新入生をたっぷり頂けるし、これで本校は一生涯安泰よ。」

 そう嬉しそうに独り言を話しているのは、大谷津学院理事長の上野富恵だった。もうすぐ自らの手で真樹を追放できると思うと嬉しくてたまらにようであった。これで大谷津学院からトラブルメーカーがいなくなる。そう思った時、事態は急変した。

「た、大変です!理事長!」

 そう血相を変えて理事長室に飛び込んできたのは、校長の日暮里香里だった。汗をかきながら息切れしている日暮里に対し、上野は不思議そうに尋ねた。

「校長先生、どうしたんですか?朝から慌ただしい。もうすぐ湯川を退学にできるんですから、もっと喜ばないと。」

「そ、それどころじゃなくなっちゃったんですよ!これ見てください!」

 日暮里はそう言いながら上野にスマホを見せた。そこに書かれている内容を見て、上野は顔を真っ青にした。

「そ、そんな…そんな馬鹿な…!」

 それはネットニュースの記事であり、この様に書かれている。


『甲子園出場の大谷津学院。校長、理事長が生徒を脅迫し、不当退学を画策。経費でホスト通い。塾から賄賂で裏口入学も。』

(千葉県成田所在で、昨季夏及び今年春に甲子園出場を決めた大谷津学院の理事長と校長が、気に入らないからという理由で一人に生徒を不当退学にしようとしていることが明らかになった。更に、学校の経費を不正に捻出し、ホストクラブに通い詰めている事や、千葉県内の学習塾から金品を受け取った上で、塾生を来年度不正入学させようと計画していることも明らかになり、警察では脅迫、横領、収賄の容疑で捜査を進めている。)


 さらに、二人が関連記事を開くとニュースの動画もアップされており、そこにはホストクラブで山下たちと今回の計画をべらべら話す様子がばっちり映っている。実は飯田はホストクラブ『Blue Rain』に潜入捜査を行った後、すぐにこれをオリエント通信編集部や他の報道機関にも提供し、更に事前に真樹から受け取っていた録音データも公開し、学園の不正はあっという間に世間に知れ渡った。そして、学校には大勢のパトカーが現れて、刑事たちが理事長室に入ってきた。

「上野富恵に日暮里香里だな?生徒一人を理不尽な理由で退学にすると脅迫し、受け持ちの担任にも教育免許剥奪をちらつかせた。更に、経費でホストクラブに通い、塾から賄賂をもらって裏口入学も画策。これらはすべて犯罪行為だ。」

「あ、いや…。その…。」

「こ、これには訳がありまして。」

 上野と日暮里はまだ言い訳しようとしていたが、強面の刑事は容赦しなかった。

「問答無用だ。貴様らを脅迫、横領、収賄の容疑で逮捕する!」

 逮捕状を突き付けながら刑事に言われて、二人とも逃げ場はないと諦めがついたのか大人しく刑事に連れられていったのだった。


 そして、ここに不届き者がもう一人。

「う、嘘よ!絶対バレない筈だったのに…。」

 ここは山下塾の塾長室。塾長の山下明子は青ざめながらテレビを見ていた。そこには大谷津学院の上野と日暮里が警察に逮捕されてパトカーに乗せられている所が中継されていたからだ。更に、山下塾が賄賂を支払うのと引き換えに自分の塾生を大量に裏口入学させようとしていることもバレてしまった。そんな時、塾長室のドアが開いた。

「入るぞ。山下明子だな。」

「は、はい…。」

 警察手帳を見せてきた刑事に対し、山下は声を震わせながら言った。刑事は険しい表情で続ける。

「山下明子。貴様は大谷津学院に賄賂を渡す代わりに、自分の塾生を大量に入学させようとしていたな。誤魔化してもダメだぞ。証拠の映像もしっかり残っているからな。」

「い、いや…。その…。悪気はなくって…。うちも、最近一流校への合格実績が落ちてきていまして、これも商売と言いますか…。仕方ない事なので…。」

 反省の色もなく、見苦しい言い訳を続ける山下に対し、警官は呆れながら言った。

「言い訳は結構。どんな理由であれ、これは立派な犯罪だ!山下明子。貴様を贈賄罪の容疑で逮捕する!」

「そ、そんな…。」

 こうして、合格実績に目が眩んで賄賂を払ってしまった山下もあっさりと逮捕された。こうして、上野たちを完膚なきまで叩きのめし、学校から追放することが出来た真樹の完全勝利になったのだった。

 

こんばんわ。

本当は昨日の日中に投稿する予定でしたが、色々あって今日になりました。

ごめんなさい。

本エピソードもいよいよラストスパート。

次回もお楽しみに!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ