第294話 大谷津学院、身売り計画
こんばんわ。
夜遅くの投稿になりますが、よろしくお願いいたします。
大谷津学院高校の3年生、湯川真樹は窮地に立たされていた。真樹は学校内で起こる問題を次々と解決してはそれを世間に公にしており、結果大谷津学院の悪評が知れ渡り、新入生が2年連続で定員割れを起こしてしまった。本来であれば学校の運営側が再発防止に努めるべきなのだが、大谷津学院の理事長上野と校長の日暮里は対策はおろか、加害者生徒を擁護した上に真樹を学校運営の邪魔者と判断し、退学処分にして追い出そうとしていた。真樹は自分に退学処分が言い渡される覚悟はできていたが、このまま相手の思い通りにはさせまいと思い、オリエント通信の飯田から、彼の大学時代の友人である弁護士の岩本を紹介してもらった。岩本も真樹の証言や、理事長室での録音を聞いて退学処分を取り消す事は可能と判断したが、真樹は大谷津学院の赤字経営はもう取り返しがつかず、いずれ潰れると思い、学校の身売りを提案したのだった。
「身売りか…。確かに退学阻止と学校の維持の両立としては最善な案だな。」
真樹の言葉を聞いた岩本は難しい顔をしながらも頷いた。飯田も共に頷きながら言う。
「確かに、こんな運営陣に任せておくよりは他の所に身売りして、空気を一新するのもありかもしれないな。」
少し微笑んだ様子でそう言った飯田だが、岩本は難しい顔をしながら続けた。
「確かに、大谷津学院は経済的にも人道的に考えても、まともな経営が出来ているとは思えない。仮に湯川君を追い出したとしても、この様な経営を続けている以上、入学者離れは止まらずにいずれは倒産するだろう。湯川君の提案は一番理にかなっている。だが、そう簡単な事ではないんだ。」
岩本の言葉に対し、真樹も複雑な表情で答えた。
「身売り先を見つける事、ですよね…。」
真樹の言葉に対し、岩本は再び頷きながら言った。
「そう。この独裁気質な経営陣が簡単に身売りに同意するとも思わないし、一度悪評を付いた学校を買い取ってくれる企業を見つけるのはかなり難しい。やるとしても、長期戦を覚悟しなければならないな。それでも君は、この道を選ぶかい?」
岩本の問いに対し、真樹は少し考えた後に答えた。
「はい。やります。このままだと、うちの学校はダメになりますし、何の罪もない友達や先生が苦しむ未来なんて見たくありません。それに、陳沙崙の思い出の場所を消すことになれば、アイツも悲しむでしょう。でも、俺は戦います。俺の方でも、アイツらが身売りせざるを得ない状況まで追い込んで見せます。」
真樹は力強くそう言った。それに飯田も同調する。
「僕は湯川君や陳さん達を去年から見てきたし、これ以上こんな勝手な経営陣に振り回されるのを見るのは辛い。俺からも頼む、岩本。」
真樹と飯田からそう頭を下げられた岩本は、少し間を置いた後に微笑みながら答えた。
「分かった。弁護士としても、ここまで酷い経営や脅迫するような上層部は見逃せないな。相手の処罰や身売り先の企業の選定に関しては、僕が何とかする。少し時間がかかるかもしれないけど、任せてくれ。」
岩本が協力してくれると知り、真樹も微笑みながら岩本に礼を言った。
「あ…ありがとうございます!よろしくお願いします!」
こうして、強力な見方を得た真樹の反撃が始まろうとしていたのだった。
翌日。
「真樹!こっち、こっち!」
日曜日。朝の成田駅で手を振りながらそう言ったのは慶だった。トレーニング用のジャージとリュックサックを背負った姿で、改札前で真樹を出迎える。真樹はそんな慶を見て普段通りに挨拶する。
「オニィ、おはよう。早いじゃないか。」
「真樹、選抜で忙しかったから久々にトレーニングするの楽しみでさ。」
「俺もだ。とりあえず行くか。」
真樹はそれだけ言うと、慶と共に近くの公園に行き、準備体操をしてからランニングを始めた。並走しながら、真樹は慶に言った。
「そう言えば、オニィに言わなければならないことがある。」
「どうしたの、真樹?」
「俺は今、完全に理事長と校長を敵に回した。このまま何もしなければ、俺は間違いなく退学になるだろう。」
「えっ…。」
真樹にそう言われて、慶は思わず足を止めてしまった。そして、再び真樹に言う。
「そ、そんなのおかしいよ!元はと言えば校長と理事長が碌に改善もせずに、お気に入りの生徒ばかり贔屓してたツケが来ただけなのに、真樹のせいにするなんて酷くない?」
「まあ、それも織り込み済みだ。取り敢えず、もう少し走った後に詳しく話そう。」
真樹はそう慶に言って、ランニングを再開した。
そして、走り終えた後。
「はぁ、はぁ。疲れた。それにしても真樹、一体どうするつもりなの?」
ランニングを終えて息を切らしながらそう言った慶に対し、真樹はスマホを取り出しながら言った。
「今話す。スペシャルゲストと共にな。」
真樹はそう言うと、どこかに連絡を始めた。ビデオ通話モードになっており、真樹のスマホに相手の顔が映る。
「ヤッホー、真樹。どうしたの?」
「陳。いきなり掛けてすまんな。」
相手は沙崙だった。真樹は真顔のまま話を続ける。
「お前に聞いて欲しい話がある。一緒にトレーニングしているオニィも一緒だ。」
真樹はそう言ってスマホの画面を慶の方に向ける。すると、沙崙と慶は笑顔になって話した。
「慶!久しぶり!陸上頑張ってる?!元気そうでよかった!」
「沙崙!元気~?!僕は元気だよ!台湾に戻ってからどう?そっちも元気?!」
そんな感じでテンション高めな2人は女子トークを始めた。話しの区切りがいい所で、真樹は再び口を開く。
「よし。フリートークは一旦ここまでにして、二人に話しておきたいことがある。」
真樹はそう言うと、慶と共に近くのベンチへ移動して詳しく話し始めた。
「結論から言うと、俺はこのままじゃ間違いなく退学になる。だが、俺を追い出したとしても、あんな馬鹿な経営陣じゃ間違いなく学校は倒産する。俺たちの代は母校を失い、後輩達や罪もない先生達は路頭に迷うだろう。それだと、みんな困るだろうから俺なりに考えた。」
そして、真樹は前日で飯田と岩本に提案した事を話した。そして、理事長室での録音を聞かせた後にこう言った。
「だから、学校を身売りしようと思う。もう、これしかない。」
真樹の言ったことに対し、慶と沙崙は一瞬沈黙した後に尋ねた。
「が、学校を身売り?つまり、売っちゃうってこと?」
「ま、真樹らしいとは思うけど、一体どうするの?」
二人の疑問は最もだった。真樹は真顔のまま話を続ける。
「うちの校長と理事長は、今までの事を全部隠ぺいするつもりだったが、それが出来なくなった原因である俺を色々因縁付けて退学処分にしようとした。だが、今までの闇は全部世間にさらされており、アイツらが学校のトップにいる以上、近いうちに募集停止になって潰れるのは目に見えている。つまり、経済的にも人道的にも腐りきっている大谷津学院という学校法人に代わって、もっとマシな企業に買い取ってもらい、学校を立て直してもらおうってことだ。」
あまりに壮大な話を真樹をポカンとした表情で見る慶と沙崙。真樹は更に続ける。
「まあ、理解できないのも無理はない。だが、俺の退学阻止と、残された罪もない先生や後輩達を守るためにはもうこれしかない。飯田さんから弁護士の先生も紹介してもらって、今身売り先を探している所だ。俺の方でも校長と理事長を追い詰める方法を模索している。理解不能な作戦かもしれんが、少しでもわかってくれるとありがたい。」
真樹がそう言った後、慶と沙崙は頭の中を整理した。そして、理解が追い付いたのか、笑顔で真樹に言った。
「うん。今ようやくわかった。その通り!真樹ばかりに罪を擦り付けて、お気に入りの生徒の悪事を野放しにするなんて許せないよね!僕も真樹に協力する!あの悪徳経営陣を追い出そう!真樹を退学になんかさせない!」
「私も賛成!私が苛められた時も、学校側は立石先生と関屋先生以外何もしてくれなかったしね。録音も聞いて、校長と理事長の人格疑ったわ。絶対身売りして、アイツらを追い出そう!」
「分かってくれて感謝する。正直、身売り先がいつ見つかるか分からないが、よい結果が来ることを信じよう。」
そう力強く言った真樹。それからしばらく任で話した後に電話を切り、二人は練習を再開したのだった。
こんばんわ。
話しのスケールが大きくなりすぎてしまった気がしますが、どうか最後まで見て頂けるとありがたいです。
それではまた次回!




