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真樹VS女子  作者: 東洋連合
Episode17 真樹退学?!
291/326

第291話 真樹は針の筵

こんにちわ。

5月初投稿です。

 始業式後のホームルームが終わった直後、真樹は担任の立石経由で理事長室に行くように指示される。理事長室に行くと、理事長の上野と校長の日暮里が鬼の形相で待ち構えており、真樹に対して学校内のトラブルを一切口外しない事を要求し、守らない場合は厳しい処分を下すことを通告した。しかし、真樹がこれに応じる訳もなく、上野と日暮里を挑発。結果2人の怒りを買い、真樹を退学処分にしようという意見が固まったのだった。


「あ~、面倒臭かった。時間無駄にしたわ。」

 理事長室を出た直後に、真樹はそう呟いた。教室に戻ろうとした時に、思わぬ人物と遭遇する。

「よう、お説教は済んだか?クズの湯川君。」

 学校一モテモテのイケメン生徒、大和田裕也がなぜか待ち構えていた。真樹は面倒臭そうな表情を浮べると、無視してそのまま立ち去ろうとしている。

「おい!誰に向かってシカト決め込んでんだ?!ああ?」

「うるさい。邪魔。向こう行け。」

 真樹は不愛想にそう言い返した。雑に扱われて裕也は更に逆上し、真樹の胸倉を掴む。

「お前、そんなんだから女子から嫌わてて学校からも目を付けられるんだよ!俺みたいに女子にやさしく、上の人には素直に従えば世渡り上手くいくのにな。まあ、俺は容姿端麗で頭脳明晰だから黙っててもみんな俺に従ってくれるけど。ああ、そうか。湯川は容姿もダメだし、親もいないからそんなこと分からないか。」

「邪魔だと言っただろ。見た目は良くても、耳は悪いんだな。お前は。」

 真樹も負けじとさらに挑発する。そして、裕也がついにキレた。

「うるせぇ。女の子たちはお前がいるせいで、みんな嫌な思いしてるんだよ。つーか、速く学校辞めろ。いや、むしろ死ね!お前が学校から消えないなら、お前の家に火点けに行くからな。通報しても無駄だぞ!俺は近隣住民も、役所も、警察や国会議員だって手玉にとれるからな。お前の家の火の不始末ってことで処理されるぜ。ざまぁ!」

「やれるもんならやってみな。そんな度胸があればの話だけどな。」

 真樹は裕也に対してそれだけ言うと、腕を振り払って教室に戻って言った。

「あの野郎、許さねぇ。絶対にぶっ殺してやる。」

 裕也は怒り心頭の様子で立ち去る真樹を睨みつけながら、そう呟いたのだった。


 -13:00-グラウンドにて。

「よし、全員集まったな。練習前に話しておきたいことがある。」

 そう言ったのは野球部顧問の関屋だ。この日は始業式だったので、部活がある生徒以外は午前中で下校している。関屋は真剣な表情で続けた。

「明日から、新入生の入部届の提出が可能になる。うちは今、人数ギリギリだから新入部員がたくさん入ってきて欲しい所だ。だからこそ、1年のいい見本になるようにしっかりと練習に精を出して欲しい。それに、今年は陳がいない。台湾から応援してくれているアイツの為にも、夏は甲子園に行けるよう力をつけよう!」

「「「「はい!!!!」」」」

「よし、まずはランニングだ!」

 関屋の言葉に元気よく返事した真樹達は、軽く準備運動してランニングを始めた。走っている途中、伸治と武司が心配そうな様子で真樹に話しかけた。

「なあ、真樹。理事長室に呼ばれた時、本当に大丈夫だったのか?」

「教室では大したことないって言ってたけどよ、絶対ただ事じゃないだろ。」

 二人は状況が芳しくないことに気付いていた。真樹は少し黙った後、口を開く。

「やれやれ。3年友達でいるお前らならもう気づいちまうか。そうだ。うちの学校は今ヤバい。そして、運営陣はそれを俺のせいにしている。俺は完全に学校の癌細胞になっちまった訳だ。」

 真樹の言葉を聞いた伸治と武司は、不満そうに言った。

「何だよそれ。上がちゃんとしてないから、真樹が色々頑張ってたのに。」

「無能な何とかが道具のせいにするってどっかの国の言葉があったけど、正にそれじゃん。真樹のせいにするのはおかしい。」

 二人の言うことは最もだ。真樹は表情を変えずに続ける。

「このままでは、学校か俺か。どっちかが犠牲になる。だが、俺にも考えがある。今はまだ、言えないけどな。」

 そう言い残した真樹はそのままランニングを続け、その後の練習も何事もなかったかのようにこなしたのだった。


 そして、夕方。

「ただいま。」

「お帰り、真樹。」

 帰宅した真樹を祖父の正三が出迎えてくれた。

「婆ちゃんは?」

「夕飯の買い物に行ってるぞ。多分もうすぐ帰って来るだろ。」

「分かった。」

 真樹はそう言うと、靴を脱いで2階に上がった。そして、部屋着に着替えて本を読みながら夕飯までくつろいでいた。その後、祖母の多恵が帰宅し、入浴と夕飯を済ませた真樹は再び部屋に戻るとパソコンを起動させた。そして、ビデオ通話アプリを起動させると、どこかに発信した。

『你好、真樹!元気?』

 相手につながると、画面にはつい先日まで大谷津学院に留学していた陳沙崙が出て、笑顔で真樹に挨拶した。

「すまんな。いきなり掛けて。」

『いいの、いいの。丁度帰って来た所だし、みんなの事も気になってたから。』

 微笑みながら真樹にそう言った沙崙。因みに、今の時刻は19時半だが、時差がある台湾はそれよりも1時間遅い18時半である。

「オニィ達も元気だし、明日から入部届の受付がはじまる。新入部員が入ってくることを願っている所だ。」

『それはよかったわ。でも、真樹自身はどうなのよ?』

「俺か?まぁ、色々あった。」

 真樹はそう言うと、この日あったことを全て話した。大谷津学院が雑誌で『行きたくない学校ランキング』及び『親が子供を通わせたくない学校ランキング』の両方でワースト1位を取った事、2年連続で定員割れを起こした事、大和田裕也に絡まれた事、そして、校長と理事長が学校の評判が落ちたのを真樹自身のせいにし、学校から処分されそうになっている事を洗いざらい全部言った。それを聞いた沙崙は怒りだした。

「え?ひどくない、それ。私も真樹のおかげで助かったし、実際学校はどんなトラブルがあっても何の対処もしてなかったじゃない。運営が何もできないから真樹が手を下したのに、真樹ばかり悪者にして追い出そうとするのは違くない。」

 彼女も伸治や武司と同意見だった。しかし、真樹は深刻な表情で続ける。

「その通りだ。だが、このままでは俺が消えるか、学校が倒産するか、あるいはその両方が起こる。」

「でも…真樹は何も悪くないのに…。」

 沙崙は悲しそうな表情でそう言った。そして、真樹は続ける。

「安心しろ、その両方を解決するための考えがある。内容はまだ秘密だが。」

 そう言った真樹。その後、二人はしばらく話した後、通話を切ってこの日を終えたのだった。

 

こんにちわ。

沙崙の事ですが、帰国してもこまめに登場させる予定です。

それでは、また次回。

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