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真樹VS女子  作者: 東洋連合
Episode3 恐怖の体育祭
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第27話 真樹、ご機嫌斜め?

こんにちわ!

急に夏みたいに暑くなりました。

ストーリーも熱くなってきます!

「はぁ、これは何の嫌がらせだよ。」

 不満げに溜息をつきながらそうボヤいたのは真樹だった。今は2時間目の授業中で科目は体育だ。本来体育の授業は男女別々に行う為、女嫌いの真樹にとって部活以外で唯一気が休まる授業のはずなのだが、今回は違った。その理由はというと…。

「はーい、みんな!ちゃんと整列して!ほら、ダラダラしない!時間少ないんだから!」

 そう声を掛けて、列を整理しているのは真樹のクラスの学級委員長、菅野美緒である。なぜ女子生徒の彼女が体育の時間に真樹と一緒にいるのかというと、今回は体育は体育でも体育祭の予行演習だからである。体育祭が近づくと、普段の体育の授業時間を利用して入退場行進の練習やクラスの団体競技の練習時間に当てられるのだ。勿論、全体練習なので男女ともにやらなきゃいけないのだが、真樹にとってこの状況に不満があるのは言うまでもない。

「おーい、A組は揃ったかー?」

「大丈夫です。揃ってます。」

 体育教師が確認を取り、美緒が返事をする。因みにこの日焼けした中年の男性教師は名前を上野拓郎(うえのたくろう)といい、大谷津学院の体育担当でサッカー部の顧問をしている。上野は揃ったのを確認すると、その場にいた全員に声を掛けた。

「よし、AもBも揃ったみたいだな。みんな、今日から本格的に予行演習に入る。本番迫っているから真面目にやれよ!じゃあ、まずは入場行進から!」

 上野がそう言うと、まずはA組が先にグラウンドの中央を目指して行進する。今の時間は普段通り、A組とB組の合同練習になっており、A組の入場後にB組が入場するという段取りだ。因みに、1学年はこの他にC組とD組も含めた4クラスあるのだが、この2クラスとは体育の時間がずらされているので今の時間は不在だ。A組は誘導役の美緒に続いて指定された場所へ行進して行き、全員が位置に付いた所でその場に座る。真樹は今にも不満が爆発しそうだったが、渋々行進を終え、その場に座る。

「まあまあね…って言いたいところだけどまだバラバラよ!先頭は私の誘導を見て!それ以外の人も前の人との距離感に注意して!」

 まだ始めたばかりということもあってか、A組の列は前がつっかえたり、後ろが遅れがちになったりと息は全く合ってなかった。美緒は当然その指摘をクラス全員にしたのだが、今度は真樹の方を向いて言った。

「それと湯川君!」

「…。」

「湯川君!聞いてるの?」

「聞いてるけど、何で俺?」

「あなたが一番乱れているからでしょ!前の人と距離開けすぎよ!一番後ろだから、あなたが取り残されているみたいじゃない!」

 美緒は真樹に突っ込んできた。各クラス、入場の列は出席番号順、しかもこの学校では五十音順なので真樹が一番後ろになるのだ。そして、前の列が女子生徒だったので必要以上に近づきたくない真樹はそっと距離を取ったのだが、その様子は完全にクラスの列から離脱していた。

「距離が近すぎると思って開けたんだけど。」

「離れ過ぎって言ってんの!ちゃんと列の中に入ってよ!」

「女子に近づきたくないし、前の女子も俺に近づいて欲しくないと思うんだけど!」

「知らないわよそんなこと!とにかく勝手な行動は許さないわよ!」

「そっちこそ勝手に言いがかり付けるなよ!」

「な、何よ!ちょっと勉強できるからていい気になって!」

 美緒もイライラしていたが、真樹も女子に言い負かされまいと反論する。例によって険悪な雰囲気になろうとしていたが、すかさず慶が割って入る。

「す、菅野さん!ひとまず落ち着いて!とりあえず関係ないことで怒るのはやめよう!」

「う…分かったわよ。」

「真樹も!嫌かもしれないけど、今は少しだけ我慢しよ!体育祭終わるまでなんだからさ!」

「…。分かったよオニィ。」

 慶の仲裁によってとりあえずその場は収まったが、他の女子生徒達の中に不満がたまっているのは当然だった。そして、真樹と美緒が言い争っている間にもB組の列が息の合った行進で入場してきたのだった。とりあえず、A組とB組が指定の位置に揃った所で、上野もやってきて全員に声を掛ける。

「これで全員集合だな。B組、なかなかいいぞ!A組はもう少し揃えような!じゃあ、次はクラス対抗の大縄跳びの練習だ。縄はそこに置いてあるからそれぞれ使え。残りの時間はチャイム鳴るまで各クラス練習するように!じゃあ、始めていいぞ!」

 上野はそれだけ言うと、グラウンドの端にあるベンチの方へ下がっていった。A,Bそれぞれのクラスが縄を地理に行こうと移動し始めた時、ふと真樹は声を掛けられる。

「相変わらずだな、湯川。」

 真樹が声の方向を見ると、サッカー部のイケメン裕也が軽蔑したような表情で真樹を見ていた。しかも、裕也のファンである同じクラスの女子生徒達も何人か馬鹿にするような目で一緒に真樹を見ている。

「何なの?」

「A組は険悪だな。誰かさんのせいで。」

「俺のせいって言いたいのか?」

「他にないだろ。女子に反抗的で生意気な態度ばかり取って。あ~あ、お前さえいなければ女の子は皆楽しく行事に参加できるんだけどな。」

「お前に言われる筋合いはない。」

「湯川が言えた立場か?見るに耐えられないんだよ、お前みたいに男女の溝を深めようとする奴がな!はぁ、ホント。A組の女子が可哀想。」

「好きなだけ言ってろ。」

 真樹はそれだけ言うとプイとそっぽを向き、裕也も他の女子たちと共に縄の元へ向かった。その時女子の一人が真樹にあかんベーをしたのだが、真樹は全く見ていなかったので気付いてない。

「もー、やってらんねよ!こんな茶番!」

 真樹はグラウンドの砂を思い切り蹴り上げて、不満を爆発させた。そんな真樹にとって地獄の体育祭の予行演習はまだまだ続く。

こんにちわ!

本番前からバチバチでした。

真樹は無事練習を乗り切れるのか?

次回もお楽しみに!

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