第258話 情報提供、求めます!
こんにちわ。
最近、雨が降り続いてて、太陽が恋しいです。
非行少女のグループリーダーである子安愛理に標的にされ、誘拐されてしまった美緒。暫く廃墟のような場所に閉じ込められていたが、その夜愛理は美緒を車のトランクに押し込み、どこかに移動していた。美緒は目と口を塞がれ、手足も縛られたまま車のトランクの中で揺られていた。
(愛理ちゃんったら…私をどこに連れて行こうっていうのよ?)
喋れない美緒は心の中でそう言った。そして、昔を思い出しながら呟く。
(何がどうして…あの子をあんな風にしたのよ?)
美緒は小学校時代の事を思い出した。
-6年前 神奈川県横浜市神奈川区-
「美緒ちゃん、来週の遠足楽しみだね!」
「うん!前使った水筒壊れちゃったから、新しいので行くの!」
当時小学校6年生だった愛理は、下校時に美緒と遠足の話をしていた。当時、美緒の家と愛理の家は途中まで同じ道を通るため、二人はよく一緒に下校していた。そして、途中の交差点で別れた。
「じゃあね!」
「また明日!」
そう言って二人はそれぞれの家に帰宅。これがいつもの光景だった。一方、学校生活はというと…。
「子安さん。また一桁の点数よ!宿題も全然やらないし、少しでいいから勉強して!」
「すみません。でも、難しいので無理です!」
算数のテストの返却時、愛理は女性教師から叱られていた。愛理は勉強が大の苦手で、尚且つ勉強嫌いなのもあって点数は常にクラスで最下位であった。一方美緒はというと…。
「次菅野さん。100点おめでとう!あなたなら、見ていて安心できるわ!」
「ありがとうございます!私、学級院長ですから!」
美緒は現在と同様に、小学生の時から成績優秀だった。中学受験も進められたが、塾よりもバレーボールの練習が好きという理由で断っている。勉強に関しては常にちやほやされる美緒に対して、愛理はというと…。
「子安の奴、またビリだ!」
「だっさ!」
「よっ!ミス一桁!」
一部の男子にそう言われ揶揄われることがよくあった。出席番号が愛理→美緒と続くので、二人はよく比較されていたのだった。
「畜生…。」
愛理は小さい声でそう呟くことしかできなかった。完璧で小学校で特に苦労しなかった美緒に対し、愛理にとっては苦い思い出もたくさん含まれていたのだった。
そして、現在に戻る。それでも美緒はどういう経緯で自分を誘拐しようとしたのかが理解に苦しんだ。
(小学校の時に点数をからかわれた事への当てつけ?いや、私は何も言ってない。だから意味が分かんないわ。誰か、早く私を助けて!)
今の美緒はただただ、助けをが来るのを待つことしかできなかった。
一方こちらは菅野家。
「ただいま…。」
覇気がない声で莉緒は帰宅した。そして、母の麻子も心配そうに莉緒に声を掛けた。
「お帰り。美緒の事、何かわかった?」
「学校の近くにお姉ちゃんのキーホルダー落ちてた。その後お姉ちゃんの学校の人が警察呼んで調べてもらったら、誘拐された可能性が高いって。」
「そ、そんな…。」
麻子は顔を真っ青にしてそう言った。莉緒は悲しそうに続ける。
「車で連れ去られたらしいんだけど、犯人の事もどこに連れていかれたのもわかんないって。」
「そう…。でも、私は信じてるわ。美緒は絶対帰って来るって!」
母の麻子の言葉に、莉緒は無言で頷く。そして、夕飯後に自室に戻った莉緒は、ベッドに寝転がりながら色々考えていた。
「正直、お姉ちゃんが戻ってくるまでは動画撮る気になれないな…。」
身内が行方不明とあって、大好きな動画投稿どころではなくなっていた莉緒。かといって、このまま考え込んだままでも美緒が帰ってくることはない。暫く考えていたのだが…。
「あっ!そうだ!」
莉緒は突然起き上がり、カメラを用意した。そして、スタンドを立ててカメラのスイッチを入れた後、カメラの前に立って話し始めた。
「皆さん、どうもリオリオです!本日は、お話したいことがあります!昨日、千葉県成田市で女子高生が行方不明になったことがニュースになっていますが…。その女子高生は、私の姉です!昨日から全く連絡が取れず、家にも帰ってこず、どこにいるのかもわかりません!父も、母も、私リオリオも1日でも早く姉が帰ってくることを願うばかりです!本日、刑事さんから聞いたお話によると、横浜ナンバーの白い車に乗った若い女性のグループが姉を連れ去ったそうです!そこで、視聴者の皆さんにお願いがあります!もし、何か目撃情報など手がかりになりそうなことをご存じでしたら、コメント欄もしくはDMで私に教えてください!いつもと全然違う動画になってしまったことは深くお詫びいたします!でも、私は本気で姉の事を探しています!お願いします!」
それだけ言うと、莉緒は撮影を終わらせた。そして、撮った動画の確認と編集をして、サイトにアップをした。
「お願い!情報集まって!」
投稿後、莉緒は祈りながらそう言ったのだ。
そして、ここは真樹の家。
「ほう、そう来たか。危ない賭けだが、考えたな。」
真樹は帰宅後、先ほどあった莉緒の事が気になり、試しに動画を見てみることにした。そして、彼女の動画サイトの新着動画を見つけ、美緒の事を探している旨の動画を視聴したのだった。
「ん、コメント欄に情報が集まっている。頼りにして探しに行っても大丈夫そうだな。」
真樹はそう言って動画を最後まで見た後、夕食を食べて就寝したのだった。
こんにちわ。
今日のお話は登場人物を少なめで書きました。
これからは色々なキャラが入り乱れる展開にしようかと思っております。
それではまた次回!




