第255話 捕らわれた少女
こんにちわ。
美緒はどうなってしまうのでしょうか?
菅野美緒は部活の練習を終えて帰宅する途中、何者かに殴られた後に車で連れ去られた。そして、目が覚めるとボロボロの廃墟の様な場所で椅子に縛り付けられ、完全に身動きが取れなくなっていた。そこに彼女を連れ去った4人組の少女たちが入ってきたのだが、グループのリーダー格である愛理は美緒の前に立っていう。
「小学校卒業以来の再会だねぇ。どう?目が覚めて縛られてるって知った気分は?」
愛理の言葉に美緒は怪訝な表情を浮べながら言った。
「何よ…何であんたが私の事知っているのよ?」
「酷いねぇ…。頭いいくせに昔の同級生忘れるなんて。」
愛理にそう言われて、美緒は何かを思い出したかのように言った。
「小学校…?あ、あんたはまさか…愛理ちゃん?子安愛理なの?」
「正解!やっと思い出してくれたか。」
愛理は笑みを浮かべながらそう言い、仲間の少女たちの方に向き直る。
「あ~、遅くなったけど紹介するわ!こいつ、菅野美緒。私と小学校一緒だったの。クソみたいに堅物でつまんない奴だったけど。」
愛理の言葉に他のメンバーたちは少し驚きながら言った。
「え~、こいつって愛理の同級生だったの?」
「うそ~。マジ~?」
「確かに真面目ちゃんって感じ!うちらとは真逆ね~。」
喋っている愛理達に美緒は噛みつくように言った。
「ちょっと!さっさと解きなさいよ!大体、何でこんなことすんのよ!」
怒る美緒に対し、愛理はあざ笑うかのように言った。
「残念でした!それは出来ないから、しばらくそのままでいてね!これからうちらのお楽しみの時間だから!」
「お楽しみって…何のことよ?」
美緒の問いに愛理は小馬鹿にするような表情で返事する。
「まだ秘密~!今までその辺の奴から金取ってばかりだったから、もっと面白い事しようと思っただけ!」
「じゃ、じゃあ…今まで起きた強盗傷害事件って…?」
美緒がその話題を出すと、愛理は笑いながら言った。
「そ!全部私達!でもまだ見つかってないから大丈夫だよ~!」
愛理に続いて、仲間の少女3人も自慢げに言った。
「うちらを捕まえるなんて、無理だね!」
「うん。一度も捕まったことないから!」
「その通り!今回も逃げ切るわ!」
勝手なことばかり言う愛理達に対して美緒は完全に呆れていた。そして、もう一つ気になっていたことを聞く。
「大体、私達同い年なのに、何であんた車運転してんのよ?免許は?」
美緒の問いに愛理はやれやれと言った表情で言った。
「持ってるわけないでしょ!車は路肩に放置されてんのを適当に持ってきただけだから!」
「車の窃盗に無免許運転…どこまで腐ってんのよ?!」
そう言われた愛理は、カチンときた様子で再び美緒の前に立つ。そして、美緒の顔を思いきり殴った。
「きゃっ!」
その反動で美緒は椅子ごと床に倒れてしまった。横に倒れたまま動けない美緒に対し、愛理は美緒のポニーテールの髪を掴みながら言った。
「あー、やだやだ。これだから真面目ちゃんは嫌いなのよね!あんたのそういう所が昔っから気に食わなかったの!」
「そんな、勝手な…。」
「とにかく!私たちの為にもう少し付き合ってもらうから!準備あるからしばらくそこでくたばっときな!美緒ちゃん!」
愛理はそう言って仲間たちを連れて外に出て行った。美緒は床に倒れたまま悲しそうな表情で呟いた。
「愛理ちゃん…何で。昔はあんな子じゃなかったのに…。」
美緒は小学校時代を思い出す。子安愛理とは小学校1年からの付き合いで、クラスもほとんど一緒だった。見た目もごく普通の少女で、悪事を働いているイメージはない。しかし、今の愛理は金髪にピアス、派手なジャンパーを着た絵に描いたような不良少女へと変貌していたのだった。まだ理解が追い付かない中、美緒は縛られたまま時間が過ぎていくのを待つしかなかったのだった。
一方こちらは大谷津学院。1限目の授業が終わり、休憩中の真樹は廊下で伸治と武司と話していた。内容は勿論美緒の事である。
「お前ら、ニュース見たか?」
真樹の問いに伸治と武司は戸惑いながら頷く。
「ああ、びっくりだよ。菅野が行方不明って。」
「しかも、昨日帰る途中にいなくなったんだろ?何があったんだ?」
2人も理解が追い付いてない様だった。真樹は真剣な顔で続ける。
「俺も分からん。ただ、家出するような奴じゃないから、もしかしたら誰かに攫われた可能性が高いな。」
真樹の言葉に武司が顔を青くしながら言う。
「攫われたって…いったい誰に?」
「あくまで推測だ。まだ警察も足取りを掴みきれていないしな。」
真樹がそう言うと、伸治も不安そうに続く。
「仮にそうだとして、いったいどこの誰が…?あいつ美人だから、犯人はストーカーか?」
「それならあいつは誰かに愚痴るだろ。だからこそ余計に分からないんだ。」
真樹も未だに美緒の失踪理由を突き止められないでいた。結局何もわからないまま3人はそれぞれの教室に戻るべく廊下を歩いていたのだが、C組の教室から騒がしい話声が聞こえてくる。
「菅野の奴、いなくなったってよ!マジでウケる!」
そう話していたのは、学校一イケメンで女子生徒からモテモテの大和田裕也である。彼は美緒の失踪を知って心配するどころかむしろ嬉しそうだった。机の上に座りながら、裕也は話し続ける。
「美人なのに糞真面目でマジ気に入らねぇ。俺のスクーターも馬鹿にしたし、もうアイツ戻ってこなくていいし!」
裕也の言葉に取り巻きの女子生徒達も賛同する。
「うん、裕也君の言う通り!」
「いつも酷いこと言われて、裕也君可哀想!」
「天罰よ、天罰!」
「ホントは湯川にいなくなってほしかったけど、菅野さんも別に帰ってこなくていいよね。」
好き勝手言う女子に賛同するように、裕也は楽しそうな表情でしゃべり続けた。
「あ~、最高!口うるさいのがいなくなってホッとするわ!やっと平和な学校生活が送れるぜ!」
裕也たちは自分の同級生がいなくなったにもかかわらず、不謹慎なことを話し続けていた。
「…。」
「…。」
伸治と武司はそんな裕也を見て、怒った表情で彼を睨む。そんな二人に対し、真樹は言った。
「行くぞ。馬鹿の話を聞いてたら、こっちまで馬鹿になる。」
そう言って3人は美緒の事が気になりつつも、それぞれの教室に戻って行った。
こんにちわ。
美緒と愛理は再会しましたが、依然として謎は残ったまま。
一体どうなってしまうのか?
次回をお楽しみに!




