第254話 美緒、行方不明
こんにちわ。
11月最初の投稿です。
-22:15 真樹の自宅-
真樹は夕飯後、自宅でゲームをして遊んでいた。キリがいい所までプレイしたらそのまま寝るつもりだったのだが、ふと携帯電話が鳴った。
「ん、何だ?オニィからか。」
電話の主は慶だった。真樹はそのまま電話に出る。
「もしもし、真樹?」
「オニィ、こんな時間にどうした?」
真樹がそう聞くと、慶は動揺したような声で続けた。
「そ、それが…大変なことになったんだよぉ!」
「お、落ち着け…。いったい何があったんだ?」
「実はね…。」
慶は詳細を話し始めた。
-21:50 鬼越家-
「もしもし?」
「もしもし?!夜分遅くにすみません!私、お宅のお嬢さんと同じ、大谷津学院の菅野美緒の母です!」
慶の母、悠が電話に出ると、相手は美緒の母である麻子だった。かなり切羽詰まった様子で電話を掛けてきた麻子に悠は不思議そうに尋ねる。
「菅野さん、どうされました?」
「うちの美緒、そちらにいらっしゃいませんか?」
「い、いないですけど一体何が?」
「うちの…うちの娘がこの時間になってもまだ帰ってこないんです!同じ部活の人たちの所にも確認しましたが、どこにもいないし、携帯もつながらなくて、どこにいるのか…。」
「ええっ?!それは本当ですか?!ちょっと、娘にも聞いてみます!」
悠は電話を保留にし、慶の部屋に飛び込んだ。
「慶、ちょっといい?!」
「どうしたのお母さん、そんなに慌てて?」
スマホで動画を見ていた慶は、不思議そうに母の悠を見ながら言った。悠は先ほどの事を慶に説明する。
「同じクラスの菅野さん、どこにいるか心当たりある?」
「美緒?美緒なら今日練習だったから、僕たちよりも遅く帰ったはずだよ。何で?」
「今、菅野さんのお母さんから電話があって、菅野さん…この時間になってもまだ帰ってないんだって!連絡もつかないみたいだから、うちに確認を…。」
「えっ、ええ?!そ、そんな馬鹿な!大変なことになったよ、これ!」
母の言葉にさすがの慶も動揺を隠せなかった。当然慶は美緒が練習を終えて帰宅していると思っていたのでそれ以外の心当たりなどあるはずもなく、母の悠は再び電話を取り、麻子に伝えた。麻子の方は悲しそうな声で「そうですか…。夜分遅くにすみませんでした。」と言って電話を切るしかなかった。
そして、再び真樹の自宅にて。
「まずいよ、大事件になってるかもしれないよ!」
「確かにおかしい…。いくら菅野が寄り道しているにしても、こんな時間になっても帰らないのは不自然だ。」
慶から説明を受けた真樹は、険しい表情でそう言った。さすがの真樹も、自分のと同じクラスの人間が行方不明となれば、冷静でいるのは難しいだろう。
「そうなんだよ!どうしよう真樹?!」
「どうにかしたいが、こんな夜に…しかも何の手がかりもないまま下手に動くことは出来ん。菅野の親も今頃警察に通報しているだろうから、今は詳しい手掛かりが見えてくるまで様子を見るしかないな。」
「う…確かに。ごめんね、取り乱して!また明日!」
そう言って二人は通話を終えた。真樹は布団に寝転がりながら色々考えた。
「今日の菅野は別に変ったことがなかったし、失踪する心当たりも見えん。一体何が起こっているんだ?」
真樹も理解が追い付かないまま、この日は結局眠るしかなかった。
翌朝。真樹は自宅で朝食を食べながら朝のニュースを見ていた。そして、速報が流れてくる。
「速報です。千葉県で、帰宅途中の女子高校生の行方が分からなくなるという事件が発生しました。行方が分かっていないのは、千葉県船橋市在住で、成田市の高校に通う菅野美緒さん(17)。菅野さんは昨日18時半頃、部活動の練習を終えて学校を後にしたのを最後に連絡が途絶え、夜遅くになっても帰宅しないことを心配した母親が警察に通報。依然として、菅野さんの行方は分かっていませんが、警察では何らかの事件に巻き込まれた可能性も考えて、捜査するとの事です。」
「行ってきます。」
朝食を食べ終えた真樹は、いつも通りに家を出る。しかし、行方不明になった美緒の事が中々頭から離れなかった。
「朝になってもまだ見つからない。一体あいつはどこに行ったんだ?」
そんなことを思いながら真樹は電車に乗って、学校最寄りの成田駅に到着した。改札を出ると、慶が駆け寄ってきた。
「真樹!」
「オニィか!マズいことになったな…。」
二人の話題は当然失踪した美緒の事である。
「どうしよう…!何でこんなことになっちゃったんだろう?!」
「俺も理解が追い付かん!今は警察に任せて、とりあえず学校に行くぞ!」
「う、うん…。」
まだ動揺している慶と共に、真樹は学校へ向かったのだった。
真樹達が教室に入ると、案の定美緒の失踪の件で学校中が大騒ぎになっていた。勿論、同じクラスの杜夫と沙崙も激しく動揺している。
「おいおい…菅野が行方不明って…一体何が起こっちまったんだよ!」
杜夫は朝のニュースで美緒が行方不明になったことを知り、動揺を隠せないでいた。隣にいた沙崙は悲しそうな表情で口を開く。
「そんな…美緒がいなくなっちゃった…。何でよ!どこに行っちゃったのよ?!」
パニックになってる2人を真樹と慶が宥める。
「二人とも落ち着け。気になるのは当然だが、今俺達には菅野を探す手立てがない。」
「悔しいけど、真樹の言う通りだよ。警察ですら、まだ何の手がかりもないんだから…。」
現時点でどうすることもできない4人はしばらく沈黙した。そして、担任の立石が教室に入ってきて、騒ぎが収まらないままホームルームが行われた。
「えー。ニュースで見た人もいるかもしれませんが、菅野さんの行方が昨日から分かっていません!昨日バレー部の練習を終えてから帰宅途中にいなくなったみたいですが、夜になっても帰らないことを心配したお母さんからの通報で発覚しました。先生もとても心配しています!もし、何か手掛かりや心当たりがありましたら、すぐに申し出てください!今はただ、菅野さんの無事を祈ることしかできません!」
そう力強く説明した立石も、非常に動揺していることが真樹達にも伝わっていた。美緒の行方も分からず、学校も異様な雰囲気のまま、この日の授業が始まったのだった。
一方その頃…。
「ん、ん…。」
美緒が呻くような声を出しながら目を覚ました。眼を開けると、辺りは暗く、所々穴が開いた屋根から少し日が差している。
「うぅ…頭痛い。どこよここ?」
昨晩連れ去られた時に、後頭部を殴られた時の痛みがまだ残っていた美緒。そして、自分が椅子に座っていることに気付いた美緒は立ち上がろうとしたのだが…。
「な、何よこれ?!動けないわ!」
美緒の上半身は頑丈なロープで椅子の背に縛り付けられ、両手も後ろ手に縛られている。更に、足も膝から下が同じようなロープで縛られているので、完全に身動きが取れないでいた。
「何なのよ!誰よ、こんなことしたのは?!」
美緒は何が起こっているのか理解できず、そう叫ぶしかなかった。暫くすると、外から話声が聞こえてきて、美緒がいる場所に入ってきた。
「お、愛理!あいつ、起きてるわ!」
「ホントだ。でも、こんなやつ攫ってどうすんのよ?」
「まぁまぁ、面白くなるのはこれからだ!」
入ってきたのは愛理を中心とした非行グループで、美緒を誘拐した真犯人である。そして、リーダーの愛理は美緒の前に立つ。
「あんた達誰よ…?何でこんなことすんのよ!」
叫ぶ美緒に対し、愛理はフッっと笑いながら言った。
「久しぶりだなぁ…美緒ちゃん!」
不敵な笑みを浮かべながら、愛理は美緒にそう言ったのだった。
こんにちわ。
11月に入り、急に寒くなったので体調管理を気を付けたいと思っております。
皆さんも気を付けて下さい。
それではまた次回!




