第248話 悩み事多き少女
こんにちわ。
今回より新章に入ります。
もうすぐ1月が終わり、2月を迎えようとしている中、相変わらず寒い天気が続いている。そんな寒い朝、部屋の中で一人の少女が目覚めた。
「んん…。もう朝か…。」
背が高く、すらりと伸びた長い手足。寝ぐせで少し乱れているが、艶のある黒いロングヘア。狼の様に鋭い吊り目をもち、色白で顔立ちも非常に整っている。少女の名前は菅野美緒、真樹と同じ大谷津学院に通う生徒の一人だ。
「6時か…。二度寝怖いから起きよ。」
そう言って美緒は部屋の中で軽いストレッチをした後、リビングに移動して朝食をとる。その後、着替えて学校に向かうのだった。
「行ってきます。」
氷点下の中、美緒はスタスタと駅に向かったのだ。
そして、美緒は学校に無事に着いたのだが…。
「ヒュー!朝風に打たれながら学校に通うのもいいねぇ。」
ブーンというエンジン音と共に、楽しそうな男性の声が聞こえてきた。美緒が振り向くと、一人の男子生徒がスクーターに乗って校舎に入ってきたのだった。それを見た他の女子生徒たちは…。
「きゃー!
「裕也君、カッコいい!」
「スクーター似合う~!」
その男子生徒の名は大和田裕也。美緒や真樹と同学年で、学校一の美少年として女子生徒からモテモテの男子である。女子の歓声を聞いた裕也は満面の笑みを浮かべながら言った。
「だろ?昨日免許取って、親父がご褒美に150万の新型電動スクーター買ってくれたんだ!自転車より速くてカッコいいから、俺みたいな男には相応しい!」
そう自慢げに言う彼に対し、女子は更に歓声を上げる。しかし、美緒だけは違った。
「ちょっと大和田君!スクーターで学校来ちゃダメでしょ!何考えてるの!」
美緒は裕也に注意をしたが、裕也は聞く耳を持たない。
「うるせぇ!俺がいいって言ったらいいんだよ!折角の気分に水差すな!」
「とにかく、こんな馬鹿なことはやめなさい!」
「黙れ、菅野!お前みたいに可愛げの欠片もない女は邪魔だ!轢き殺してやる!」
裕也の言葉に取り巻きの女子たちも「そうよ、そうよ!」「あんな石頭轢いちゃえ!」等の声を裕也に送る。裕也はスクーターを加速して美緒に突進してきた。
「きゃっ。何すんのよ!」
「うるせぇ!」
尻もちをついた美緒に対し、裕也はそれだけ言ってスクーターを自転車置き場に停めに行った。
「なによ、もう…。」
朝から災難に巻き込まれた美緒だった。
お昼休憩にて。
「見ろ!この前の写真部の活動で河口湖行った時撮った富士山だ!すげぇだろ!」
杜夫がデジカメの保存画像を見せながら楽しそうに話している。それに対し、真樹が笑顔で頷いた。
「うん。さすがは杜夫だ。俺も河口湖行きたくなったぞ!」
そして、慶と沙崙も笑顔で言った。
「いいなぁ、僕も行きたい!昔合宿で行ったっきりだから、観光したいな。」
「私も!帰国まで時間ないから、それまでに富士山近くで見たいわ。」
そんな話をしていると美緒が何かに気付いたかのように言った。
「河口湖…富士山…。あっ!そうよ、次の大会の会場山梨だったわ!」
美緒は今度出場するバレー部の大会の事を思い出していた。それを聞いた慶と沙崙が美緒に激励の言葉をかける。
「そうだ。美緒も大会控えてるんだよね!頑張ってね、応援するよ!」
「私も!美緒のいいとこ見せてきなよ!」
「ありがとう、みんな!」
美緒が微笑みながらそう返した。真樹と杜夫も頷きながら言った。
「菅野は春季大会。俺たちも選抜の結果がそろそろ届くころだから負けてられないな。」
「真樹も選抜出れることを信じようぜ。」
そんな感じでこの日の昼休憩は終わった。
放課後。体育館にて。
「そこ、もっと反応速く!」
「はい!」
「もっと強くサーブ打たないと、相手にしてやられるわよ!」
「すみません!」
バレー部が練習中だった。コートで実戦練習をしていたのだが、そこで美緒が1年生達にげきを飛ばしていた。
「じゃあ、今度はこっちから行くわよ!それ!」
美緒がそう言って鋭いサーブを打ち、実戦練習を続けていく。そして、大会が近い事もあって普段以上に練習に熱が入った美緒たちは、最後辺りはすっかりへとへとになっていた。
「はい、じゃあ今日はここまで。練習に精を出すのはいいけど、ケガだけはしない様に。以上!」
顧問がそう言って、部員たちはゾロゾロと帰って行った。美緒も着替えを済ませ、校舎を出て駅に向かう。
「あー、疲れた。ちょっと気合入れすぎちゃったかしら?にしても寒い!早く帰らなきゃ!」
足早に駅に向かった美緒。ドタバタしながらも、彼女の学校での1日は何とか終わったのだった。
こんにちわ。
新しい章を考えるのに時間がかかってしまいました。
今後も、こまめに投稿したいと思います。
よろしくお願いします。




