第247話 救われた担任
こんにちわ。
9月最初の投稿です。
真樹の策略によって、立石に対して執拗な嫌がらせをしていた秋山絵美はついに捕らえられた。その後、慶が警察に通報して、駆けつけた警察官によって秋山は連行されていった。その状況を見送る際、真樹がため息交じりで話す。
「はぁ…こんなくだらないことですべて失うとか。あんな大人になりたくないよな。」
「僕もそう思うよ。だって全部自分が悪いんじゃん。」
慶も頷きながらそう言った。その横で杜夫も続く。
「全部アイツが悪いってことは、俺のカメラでもう証拠抑えたからな。いくら言い訳しても無駄だだろうよ。」
警察は現場に到着後、秋山の連行前に杜夫が撮影した映像を確認し、カメラを預かった。これで秋山はもう罪から逃れられることはないだろう。そな時、武司と伸治が言った。
「でもよ、あんなに上手くいくとはな。」
「ああ、菅野が体張って相手に不意打ち食らわせてたもんな。」
二人は美緒の方を見て言った。因みに、今回の作戦を立案した真樹は、替え玉でおびき出すことを最初に伝えたのだが、その替え玉を美緒が是非やらせて欲しいと志願したのだった。
「あいつが私にしたことと、同じことをしてやりたかっただけよ。あ、先生。服ありがとうございました。洗濯して明日返します。」
「あ、いいのよ。私がやるから、菅野さんは気にしないで。」
長期間苦しめられた相手が捕まり、ほっとした立石は美緒に対して優しくそう言った。その横で、沙崙がやれやれといった表情で言った。
「全く。部活とか大学とか、思い入れがあるなら最初から万引きなんてしなければよかったのに。ほんと馬鹿よね。」
ごもっともな意見である。すべてを見届けていた伊藤は複雑な表情で呟いた。
「でも、悲しいわね。美咲の事を苦しめたのが、美咲の昔の教え子だったなんて。私も同じ目に遭ったら、怒りを通り越して悲しくて泣くと思うわ。」
そんな伊藤に立石は優しく声を掛けた。
「葵なら大丈夫よ。ちゃんと生徒に向き合って、ダメなことはダメって注意する。頑張ってる葵なら生徒たちみんなついてくるわよ。」
「美咲…。」
立石の言葉に伊藤は何とも言えない表情を浮べた。その後、真樹が皆に言う。
「さぁ、みんな帰るぞ。先生だって疲れてるんだ。」
「そうだね。先生さようなら。」
「ゆっくり休んでくださいよ、先生!」
慶と杜夫がそう言った。その後、(美緒は着換えて服を立石に返した)他の面々も帰宅していき、今回の騒動は幕を閉じた。そんな時、伊藤が言った。
「ねぇ、美咲。あの湯川君って子、只者じゃないわね。」
「そうね。学業優秀だし、部活も頑張ってるんだけど、不愛想なのが原因で女の子たちに理不尽に嫌われてて、可哀想なの。」
「でも、それでも美咲の事助けてくれたじゃない。大事にしてあげなよ。」
「勿論よ。」
「フフ。じゃあ、事件は解決したし、久々に飲みに行きましょう。」
「いいわね!行こう行こう!」
こうして、伊藤はすっかり元気を取り戻した立石を連れて居酒屋へ向かったのだった。
その後、逮捕された秋山に対して、警察による取り調べが行われた。秋山は万引きで捕まった後、部活も退部になり、大学の推薦も取り消されたので一般受験するも失敗。1浪して地元川崎の短大に行き、卒業後は小さな印刷会社の事務員として細々と生活していたとの事だった。万引きがバレるまでは華やかな学生時代を送っていた秋山にとっては耐え難い現実だった。そして、甲子園に出た大谷津学院をテレビで見た際、偶然映った立石を見てその時の恨みが再燃。長い期間を費やしてチャンスをうかがっていたとの事だった。因みに、当時他に万引きを働いた者も、秋山と違って逮捕こそされていないが、行きたい大学に進学ができなかったり、思うように就職活動も上手くいかなかったりと、華やかな生活とは程遠い日々を送っている様だった。秋山は自分は悪くないと最後までゴネていたが、杜夫が提出した証拠映像もあって結局言い逃れできず、器物損壊及び住居不法侵入、更に美緒への傷害の容疑で逮捕されたのだった。
月曜日。教室にて。
「おはよう、みんな!朝のホームルーム始めるわよ!」
朝のホームルームで、立石は教壇の上で元気よくそう言った。嫌がらせを受けていた時は覇気がなかったが、もうすっかり元の立石に戻っている。そんな立石を見て、慶が真樹に囁いた。
「よかったね、先生が元気出て!」
「不届き者が成敗されたからな。先生ならすぐ吹っ切れるだろ。」
ぶっきらぼうにそう言った真樹だが、立石の事を少し心配していた為、ほっとした部分もあった。こうして、また元の平和な日常が戻ってきたのだった。
こんにちわ。
今回のエピソードは終わりです。
次回から新章になりますので、よろしくお願いします。




