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真樹VS女子  作者: 東洋連合
Episode14 立石美咲の受難
251/325

第246話 見つけた!

皆さんこんばんわ。

8月最後の投稿です!

 真樹達が練習試合を終え、立石の自宅に来たその日の夕方。ある人物が八千代市内にある立石のアパートに向かっていた。

「今日で止めを刺してやる。覚悟しろ!」

 上下グレーのジャージを着て、リュックを背負った人物。一見すると、どこかにトレーニングしに行く人に見えないこともないが、そうではない。連日立石に嫌がらせをしている犯人だ。

「この私に屈辱的なことをして、これからまともに生きられると思うな。」

 犯人はどんどんと立石のアパートに近づき、ついにエントランスの近くまでやって来た。

「フフフ。あんたもおしまいだ。立石美咲!」

 そう呟いた犯人は、アパートやその周辺に人の気配がない事を確認すると、裏側に忍び込んで排水管を上り始めた。そして、立石の部屋のベランダに侵入し、部屋を覗き込む。すると、立石が机に突っ伏して寝ているのが見えた。

「私にあんなことして、呑気に昼寝とか増々目障りだわ。お仕置きしなきゃ!」

 そして、ベランダの窓が開いているのを確認すると、犯人はそっと部屋に入って起こさないように気を付けながら立石の後ろに回り込む。

「あばよ!地獄に落ちろ!」

 犯人は金づちを取り出して立石の頭めがけて振り下ろした。しかし、立石がうつ伏せのままその手を掴んで受け止める。

「なっ!!!」

「残念ね、お馬鹿さん!」

 そう言って顔を上げた立石…ではなく、立石の服を着て変装した美緒だった。犯人は驚きつつも美緒の手を振りほどき、逆上して襲い掛かろうとしたが…。

「この前あんたにされた事、そのままお返しするわ!」

「ぎゃぁっ!」

 突然犯人が悲鳴を上げた。美緒は以前犯人に催涙スプレーをかけられたときと同じように、隠し持っていたシェービングクリームを犯人の顔めがけて噴射した。完全に視界を奪われた犯人はあっという間に美緒に取り押さえられた。

「菅野、大丈夫か?!」

「俺たちも助太刀するぞ!」

 伸治と武司がそう言って勢いよく部屋に入ってきて、美緒と一緒に犯人を床に押し倒すように取り押さえる。その直後に真樹と杜夫が入ってきた。

「犯人さんよ。来ると思ったぜ。こんなにあっさり俺の考えた罠に引っ掛かるとはな。」

 真樹はクリームまみれの犯人の顔を見下ろすように言った。しかし、犯人は食い下がる。

「私は違う!排水管と窓の点検をしに来ただけで。」

 あまりにも苦しい言い訳をする犯人に対し、今度は杜夫が勝ち誇ったように言った。

「残念でした。俺が仕掛けた隠しカメラで全部見てたから言い逃れできないよ!写真部のカメラ使いを舐めてもらっちゃ困る!」

「うん、さすがは杜夫だ。」

「エッヘン!」

 真樹に褒められて、誇らしげに立つ杜夫。そして、慶と沙崙に連れられて立石、そして以前唯一犯人の顔をはっきり見た伊藤が現れた。

「さあ、観念するんだ、犯人め!僕たちの先生に酷いことして、許さないよ!」

「立石先生、そして伊藤先生。確認お願いします。前回顔を見たっていう犯人なのかと、本当に立石先生の元教え子なのかを。」

 慶が犯人の顔を拭いてクリームを落とした後、沙崙の問いかけに対し、まずは伊藤が頷いた。

「そうよ、この人よ!前に美咲の家の前にいたのは。」

 そして、その言葉に対し立石は少し悲しそうな表情で言った。

「まさか、少しは嘘であってほしいって思ったけど、残念ながら本当にあなただったのね。秋山絵美さん。」

 立石の言葉通り、今までの嫌がらせの犯人は、立石が教育実習時代に担当した生徒の一人である秋山絵美だったのだ。立石の言葉に対し、秋山は往生際悪く悪態をつく。

「うるさい!だったら何だって言うのよ!私にあんなことして、自分はなりたい仕事して、ふざけんじゃないわよ!」

 捕まっても尚、立石に暴言を吐く秋山。その横から慶と沙崙が突っ込む。

「いや、万引きして反省ゼロは無いでしょ。」

「そうよ。全部あんたが悪いんじゃない。」

 二人に言われて秋山は更に逆上する。

「ただの若気の至りだから、見逃してくれれば済んだ話なのに、大袈裟にしやがって!あんたのせいで…私も、チクられた友達もみんな部活も辞めさせられて、大学にも行けなくて…。ショックで引きこもっちゃた子だっていたのよ!ホントはいい大学行って華やかな社会人生活したかったのに、今じゃ零細企業で安月給で働かされる始末…。全部立石、あんたのせいだ!教育実習終わってさっさと教師になったあんたは知らなかっただろうけどね!」

 秋山は万引きしたことを全く反省していなかった。それどころか、自分が上手くいってないことを全て立石のせいにしようとしていたのだ。そんな中、真樹は気になっていることを聞いた。

「質問に答えろ。なぜ今になって、先生を襲った?」

 真樹の質問に秋山は答えた。

「大谷津学院が去年甲子園言った時、学校関係者の応援席に立石が座っているのを見つけた。それを見てから、沸々とあの日の怒りがこみあげてきて、学校の近くであんたを張り込んだり、後をつけて家も調べた。そして、ずっとチャンスを待った。あんたに復讐をするチャンスを。」

 それを聞いて、一同は完全に引いている。

「いや、完全に自業自得じゃん。」

「ダサいし、普通に気持ち悪いわ。」

「もう意味が分かんない!とにかく、私もあんたを許さないから!」

 ドン引きしている武司と伸治、そして怒りがまだ収まらない美緒。秋山は3人に抑えられて身動き取れない中、まだ暴言を吐き続ける。

「フン。あんたたちも立石なんかに教わってるから、私の気持ちが分からないような貧相な考えになってしまったようね。あー、可哀想!糞教師に教わると、生徒まで糞になっちゃうんだ!」

 秋山がそう言った途端、立石が腰を下ろしてその直後にパァンと言う音が響いた。立石が秋山に平手打ちをしたのだった。

「いい加減にしなさい!私の事を恨んでも構わないし、悪口言うのも構わない!でもね、私の大事な生徒を侮辱するなんて許さないわ!私はあの時、教師を志す人間として、善悪を正しく判断できるようになってほしい、反省してほしいって思ったからあなたを捕まえた。でも、あなたは反省せずに全部人のせいにしてたのね。私こそ、教えた子の中にあなたみたいな犯罪者が出てきたことにがっかりよ。」

 立石の剣幕に、黙り込むしかなかった秋山。その後、伊藤が警察に通報し、秋山はパトカーに連行されていったのだった。

 

こんばんわ。

この章もうすぐ終わります。

9月中に新エピソード出そうと思ってますので、よろしくお願いします。

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― 新着の感想 ―
[一言] これで一応の決着…かな?立石先生にとっても苦い終わり方になってしまいましたな…
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