第244話 級友教師の心配事
こんにちわ。
今月初投稿です。
真樹は、自身の担任教師である立石美咲を救うべく、手がかりを掴むきっかけとして、立石の友人である伊藤葵が務める新小岩高校との練習試合を提案した。試合には負けたものの、手がかりがないか相手チームの選手に聞こうとした所、伊藤葵本人が現れたのだった。
-試合後、新小岩ベンチにて-
「あれ?伊藤先生いるじゃん。」
「本当だ。大谷津学院のメンバーと話しているぞ。」
新小岩の選手が、伊藤が大谷津学院ナインと話している所を見て驚いた。他の選手たちもその光景を見て話を続ける。
「そういえば、連日嫌がらせされてる女性教師って、大谷津学院の先生らしいぜ」。」
「聞いた、聞いた。しかも伊藤先生の友達らしいな。」
「可哀想だよな。あんな嫌がらせされたら、心病むわ。」
立石の件は連日ニュースで報道されているので、勿論新小岩高校の者たちも知っている。そんな中、新小岩の監督が言った。
「おーい。心配なのは分かるが、俺たち外野がズカズカ入ったら失礼だろ。そっと見守っておいてやれ。後、片づけたら昼めし食って、午後練習だ。」
そう言われた新小岩の選手たちは、グラウンド整備をし、校舎の方へ引き上げていったのだった。
一方こちらは大谷津学院ベンチ。
「と、突然すみません。でも、皆さんがうちと試合するにあたってどうしてもお話ししたくって。」
少し悲しそうな表情をした伊藤が、真樹達にそう言った。まず最初に真樹が口を開く。
「伊藤先生。犯人の顔を見て、似顔絵を作成してもらった時、立石先生は当時教育実習の際受け持った子に似ていると言ってましたね。それで、その生徒が万引きしたのを先生が捕まえ、逆恨みによる犯行だと推測されています。その当時、立石先生から何か聞いてませんでしたか?」
真樹に問いに伊藤は真剣な表情で続ける。
「ええ、最近まで私も美咲も忘れていましたが、似顔絵見て思い出した美咲から、昨日連絡があって色々聞きました。美咲は実習最終日にその生徒を捕まえたみたいですが、知っているのはその生徒が停学になったことと、大学の推薦資格を剝奪されたことくらいみたいです。それに、犯人が本当にその生徒かもまだ断定できないみたいですし。」
伊藤の話を真剣に聞く真樹達。そんな中、美緒が口を開いた。
「とにかく、誰であろうと立石先生に嫌がらせをして、私の顔に催涙スプレーをかけた犯人は許せません。なんとしても犯人を引きずり出して、懲らしめたいんです!」
美緒に対して、伊藤は軽く頷きながら続ける。
「菅野さんだっけ?美咲も巻き込んだことを後悔してたし、私も犯人捕まえたい気持ちは一緒よ。」
そして、一緒に話を聞いていた関屋も真剣な表情で言った。
「伊藤先生でしたね。立石先生の件は、学校でも真剣に受け止め、一刻も早く解決できるように致します。わざわざお越し頂き、話してくれてありがとうございました。」
「いえいえ、こちらこそ。」
伊藤と話し、立石を苦しめる犯人のヒントが少しばかり得られたところで、真樹達は撤収し、伊藤と別れたのだった。
その帰り道。
「ねぇ、真樹。どう思う?立石先生を苦しめてる犯人について。」
慶が真樹に聞いてきた。真樹は真面目な表情で言った。
「まぁ、話聞く限り、その生徒が犯人で間違いないだろ。だが、何で7年経った今なのかは分からんが。」
「僕もそこが分からない。復讐するなら、すぐに実行してもおかしくないのにね。」
そんな慶の言葉に沙崙も首を傾げる。
「確かにそれもそうだし、何で直接先生に突撃しないんだろう。言いたいことあるなら面と向かって言えばいいのに。」
ごもっともな意見である。事件が起きてから、立石と犯人は一度も直接顔を合わせていない。なぜ直接襲撃しないかは謎であった。そんな中、美緒が言った。
「どんな理由であれ、どこの誰であろうと、そいつを野放しにできないわ!手がかりも得たし、顔も割れているから、すぐにでも反撃よ!」
美緒はまだ、自身で犯人に仕返しをしたい様だった。そんな美緒を見て、武司と伸治が困った表情で言った。
「あ~あ。菅野の方がもう止められなくなっちまったよ。」
「どうすんだよ、真樹。ここで試合までして手がかり得たんなら、何か策でもあるのかよ?」
二人の問いに対し、真樹は少し間を置いて言った。
「仕方ない。さっさと引きずり出して止め刺すか。」
真樹には何か考えがあるようだった。
こんにちわ。
連日の猛暑や、リアルの忙しさもあって、思うように更新できず、申し訳ありません。
今後もよろしくお願いします。




