第233話 立石の愚痴
こんにちわ。
投稿が遅れてごめんなさい。
朝、立石は自室のベッドから起き上がった。時間通りには起きたものの、目覚めがいいというわけではなさそうだ。
「何だろう?疲れがたまってるみたいね。」
そう言いながらも着替えて朝食をとり、学校へと出勤する。いつもと変わらない日常の始まりである。
「おはようございます。」
立石は他の教員に挨拶して、自分のデスクに着いた。朝のホームルームと1時間目の授業をしている時、関屋が声を掛けた。
「おはようございます、立石先生。」
「あ。関屋先生。おはようございます。」
「あの…なんか顔色が悪いみたいですけど、大丈夫ですか?」
「大丈夫です。何か、最近疲れちゃって…。」
「そうでしたか…。あまり無理しないでくださいね。」
「ありがとうございます。」
二人はそんな会話をして、朝の仕事の準備に取り掛かった。
そして、2年A組の教室。
「…という訳で、3月には学期末テストがありますから、まだ時間があるからって勉強を怠けない様に。皆さんは次は3年生なので進路の事も考えてください、以上!」
立石はそう言って朝のホームルームを終え、職員室に戻って行った。そんな立石の様子を、真樹は難しそうな顔で見ている。
「んー…。」
「どうしたの、真樹?」
慶が気になって声を掛けてくる。
「いや、先生の雰囲気がいつもより暗く感じる。」
「そうかなぁ?僕はあまり変わらないような気がするけど。」
そして、杜夫と沙倫も会話に加わる。
「真樹の言うことも分からなくはないな。声のトーンが年明け前より低い。」
「確かに、最近笑っている所見た事ないかも。」
そんな時、美緒がチクリと真樹の方を見て言った。
「湯川君が色々騒動巻き起こすからじゃないの?それで、周りから色々言われて疲れているとか。」
「ちげぇよ!って言いたいところだが、全否定できない自分が悲しい。」
真樹も誰かを守る為に大胆な作戦を実行し、結果大騒ぎになってしまうことばかりであった。結果、真樹は学校内で要注意人物として扱われ、その担任である立石にも目が向けられるのは仕方ないだろう。
「だが、ここまで元気を吸い取られていると少し心配になるな。」
真樹も少し罪悪感があるのか、雰囲気が暗い立石の事が気になっていたのだった。
そして、その日の夕方。
「終わった。帰ろう。」
立石がその日の仕事を終え、帰ろうとした時にメッセージの着信音が鳴った。スマホの画面を見ると、『伊藤葵』という名前が表示されている。
「何かしら?」
立石がスマホを開くと、メッセージが書かれている。
『美咲、久しぶり!今日暇?もし時間あれば二人で一杯やらない?』
メッセージを見て、立石は微笑んだ。
「葵、久しぶりね。最近会えてないし、お酒も飲みたい気分だから行くわ!」
立石はそう言うと、早速返信した。
『久しぶり、勿論OKよ!行きましょう!』
そうメッセージを送り、立石は学校を後にした。
-19:00 船橋駅前-
「美咲、久しぶり!」
「葵も久しぶり!去年の同窓会以来じゃない?」
「うん、とりあえず行こう!店は私が見つけたから。」
スーツを着た小柄でショートカットの女性が手を振りながら立石を迎える。その葵と名乗る女性はそう言って立石を店に連れて行った。そして、二人はそれぞれ好きなものを頼んで、来るまでの間談笑する。
「どう、美咲?元気でやってる?」
「うーん、最近色々ありすぎて疲れたわ。そっちは楽しそうね。」
「うん!って、美咲大丈夫?」
そんな話をする二人。立石を気遣うその女性は伊藤葵と言い、二人は葛飾大学教育学部の同級生である。伊藤は卒業後、立石とは別の都内の学校に勤務し、現在もそこで英語教員として働いている。
「何か…ちょっと癖の強い子がうちのクラスにいてね。悪い子じゃないんだけど、その子を中心に色々騒動が起きているっていうか…。」
「そ、そうなんだ…。私もさ、チビだからって生徒たちみんなに馬鹿にされて、ちゃん付で呼ばれたり、敬語も使ってくれなくて、舐められてるみたいでキツいの。」
「いいじゃない。愛されてるみたいで。」
「そうなんだけどね。威厳は取り戻したいわ。」
そう話している時に、伊藤は何かに気付いたように立石に言った。
「もしかしてだけど、その癖の強い子って、甲子園で物投げられながら野次られてた子?」
「なんで分かったの?」
「だって、美咲。うちのクラスの子が甲子園行ったって喜んでたし、それにホームラン打って物投げつけられる子なんて他にいないでしょ?」
「ま、まぁ…普通はね。そうなんだけど…。」
「他にも、修学旅行で殺されかけたり、陸上の姫宮麻衣や声優ユニットのトライスターズの不祥事暴いて逮捕に貢献したっていう噂も聞いてるわ。」
「噂広まるのって本当に早いわね。そうよ、何もかも事実よ。悪いのは湯川君じゃないけど。でも、あの時は本当に大変だったんだから。」
少し疲れた表情で立石は言った。真樹が悪いわけではないが、騒動の渦中に彼がいると担任として心配になるからである。
「でも、その子だって悪気がある訳じゃなくない?話聞く限り、彼が被害者のパターンもあるみたいだし。」
「そうなんだけどね…。でも、成績も優秀だし部活も頑張ってるから、私なりに期待してるのよ。」
「そう来なくっちゃ。美咲は真面目で優しいから、あんまりため込みすぎないようにね!」
「葵はもう少し、中身も大人になりなさい!だから、生徒たちに舐められるのよ。」
「うっさいわね!とりあえず、来たんだし、飲も!」
「うん、お疲れ!」
「「カンパーイ!」」
こうして、つかの間の癒しの時間を過ごした二人。立石に、災難が迫っているとも知らず…。
こんにちわ。
リアルでの生活が現在ドタバタしているので、前みたいに毎週投稿はしばらくできません。
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