第226話 野球部の名物?
こんばんわ。
1月最後の投稿です。
12月28日。クリスマスも過ぎ、寒さも増してきた頃、真樹がいる大谷津学院野球部は朝から学校のグラウンドで練習に勤しんでいた。
「次、内野ノック行くぞ!湯川!」
「はい!」
気合が入った顧問の関谷に声に対し、真樹も気合が入った声で答えながら1塁の守備に付く。この日の真樹は妙に気合が入っており、10本連続ノーエラーと絶好調だった。
「いいぞ、湯川!次!」
真樹はノーエラーのままノックを終え、ベンチに下がってきた。そんな真樹に沙倫が話しかける。
「お疲れ様、真樹!」
「どうも。」
「今日は、妙に気合入ってたけど何かあった?」
「勿論、あの日だからに決まってんだろ。大野を痛めつけられるチャンスがもう一回来たんだ。」
真樹の言葉に沙倫が首をかしげながら聞く・
「この前のクリスマス会の事は慶から聞いたわ。ヒーローに変身して大野さんを追い払ったのは笑っちゃったけど。」
「お前にも見せたかったよ。」
「そう?まぁ、見たかったけどね。」
沙倫は微笑みながらそう言った。真樹は更に続ける。
「正直言って、大野はあの程度であっさり引き下がるような奴じゃない。もう少し揺さぶりをかけるつもりだ。」
「それが今日って訳ね。」
沙倫は何かわかりきったような様子でそう言った。真樹は更に続ける。
「恥かかされたままじゃ、アイツも落ち着かんだろうからな。仕返ししてくるなら今日だな。間違いない。」
真樹は自信満々にそう言い切った。因みに普段なら野球部は午前中で練習を終えることも多いのだが、この日は午後まで練習する予定である。なにせ、この日は野球部の練習納だからだ。
「上手くいくと思う?真樹。」
「さぁな。でも、確率は高いだろうな。今日の事もSNSに書いたし。」
真樹はスマホを取り出しながら言った。沙倫は頷きながら言う。
「分かったわ。真樹を信じる。」
「ありがとう。まぁ、見ていてくれ。」
そんなことを話している真樹と沙倫。何やらこの日も真樹のたくらみがあるようである。そして、午前の練習とごとの練習も問題なくこなした真樹達は、何事もなくその年最後の練習を終えたのだった。
そして、練習が終わった時にはすでに夕方になり日が沈み始めて周囲は薄暗くなっていた。そんな中、顧問の関屋が話す。
「みんな。今年もお疲れ様。今年の練習はこれで最後だが、来年もこのメンバーで甲子園に行こうという気持ちだけは忘れないでほしい。次の練習は1月4日だが、それまでゆっくり休んで備えてほしい。俺かは以上だ。じゃあ、次。湯川からも一言頼む。」
関屋に言われて、真樹も 前に出て話し始める。
「えー、皆さん今年もお疲れさまでした。今年は甲子園3回戦で負けてしまいましたが、来年こそはもっと上、いや優勝を目指して頑張りたいと思います。来年もよろしくお願いいたします。以上!」
そう言い終えた真樹に拍手が送られる。それからさらに関屋が続けた。
「よし、みんな今年もよく頑張った。だから、この後毎年恒例の練習納めの慰労会をやるぞ!」
関屋のその言葉を聞いて部員たちは歓声を上げた。そう、野球部は大谷津学院が共学化後に創設されたので歴史は6年と浅いが、関屋は部員たちのモチベーションを高めるべく毎年練習納めに忘年会を開いている。因みに、今年は真樹が関屋に店を自分で選ばせて欲しいと直談判し、関屋も真樹のお勧めの店を承認した。そして、最後のミーティングを終えてその年の練習は終わった。大谷津学院野球部一同は着替えて忘年会の会場に向かうことになった。その道中、武司と伸治が真樹に話しかける。
「真樹、この間変なコスプレして大野を追い払ったんだって?」
「さすがは真樹だな。あんだけみんなが手を焼いた大野を簡単に撃退しちまうなんて。」
二人の言葉に真樹は苦笑いしながら答える。
「正直言って苦渋の選択だった。だが、何らかの形で仕返ししないとあいつは調子に乗るからな。」
真樹はその後真面目な表情で続ける。
「それに、俺の周りでも被害者が出てるからとーってもきついお仕置きしないとな!この前だけじゃ物足りない。もっと痛めつけてやろう。」
そう余裕のある表情で言い切った真樹。大野への仕返しはまだまだ終わらないようだった。
こんばんわ。
色々あって話の進行が遅れてしまって申し訳ありません。
次回もお楽しみに!




