第212話 伸治、元気になる。
こんにちわ!
この章はこれで最後です!
伸治の母親を騙した女詐欺グループの正体は、なんと彼と同じ2年B組クラスメートである小室香菜であった。更に、詐欺仲間である田中と佐藤という少女も相次いで逮捕され、事件は解決。中山家が騙し取られた100万円も真樹の大胆な作戦の元、取り返すことに成功した。こうして、事件以降気まずい雰囲気だった伸治の家族も元に戻ることが出来たのだった。
翌日。真樹がいつも通り登校し、教室に入った途端に事件が起きた。
「おい、湯川!ちょっと来い!」
真樹の2年A組の教室に怒鳴り声が響く。ドアの所を見ると裕也がものすごい形相で立っており、真樹を見つけるなり教室の外に連れ出した。
「なんだよ、朝からうるさいな。いつもみたいにくだらない絡みでストレス発散したいなら、10円やるから帰んな。」
面倒臭そうに裕也を煽る真樹。一方の裕也は胸倉を掴みながら真樹に詰め寄る。
「昨日、香菜ちゃんが逮捕されたのはお前のせいだって噂で聞いたぞ!どういうことだ?」
「あ~、あれね。伸治の家族が詐欺師に騙されてたから、おびき出して仕返ししようと思ったら出てきたのがあいつだったってだけ。大したことはない。」
「ふざけんなよお前!俺は来週香菜ちゃんと一緒にお洒落しながら渋谷で遊ぶ約束してたんだぞ!どうしてくれるんだ?」
「知るか、そんなこと。犯罪者は捕まって当然だ。その約束は諦めな。」
真樹の言葉に裕也はさらに逆上する。
「香菜ちゃんはな、綺麗で可愛くなるために色々努力してたんだぞ!お前みたいな陰キャには女の子が可愛くなるためにどれだけお金ががかるか知らないと思うけどな、頑張って稼いでいたんだぞ!そんな香菜ちゃんを騙して陥れただけじゃなく、友達まで逮捕するとかお前おかしいぞ!この悪魔、ゴミ、詐欺師!お前みたいなやつ、今すぐ死ね!」
そう言って真樹の頸を絞めようとする裕也だったが、真樹も腕を掴んで反撃しながら言い返す。
「あいつは、人を騙して金をむしり取ってたんだぞ。それなのに犯罪者擁護するお前の方が悪魔だ。あいつらに騙されるつらさを思い知らせたから、俺は当然のことをしたまでだけどな。」
「うるせぇ!俺はいつだって可愛い子の味方だ!その辺のさえない奴が、金なくなってのたれ死のうが知ったこっちゃねぇんだよ!」
激しく言い合う二人に対し、出勤してきた立石が注意を促す。
「ちょっと、湯川君に大和田君!何朝から言い争ってんのよ!」
裕也はすぐに手を放し、舌打ちしながら真樹に捨て台詞を吐いた。
「覚えてろよ、女の子の敵が!生きて学校卒業できると思うな!」
「お前こそ、将来真っ当な暮らしができると思うなよ。」
こうして、朝のひと騒動は終わった。
その後、教室に戻ってきた真樹に慶が話しかけてきた。
「真樹、大丈夫だった?全く、ひどいよね。大和田君の倫理観めちゃくちゃだよ。」
「平気平気。あんな奴気にしないでいい。」
「でも、すごいよね。騙されたふりして、詐欺師を騙しちゃうなんて、さすが真樹だよ。」
そう感心する慶。そして、すでに登校していた杜夫と沙倫も話しかけてきた。
「聞いたぜ真樹。詐欺師騙して捕まえたんだって?しかも、班員は小室だったんだよな。世間って狭いよな。」
「伸治君のお母さんが騙し取られた100万円も取り返したんだって?やるわね、それに小室さんのグループ、ざまぁって感じ。」
そう話していると、昨日現場にいた美緒が登校してきた。
「おはよう、みんな。」
「あ、おはよう美緒。そういえば美緒も昨日現場にいたんだよね。」
慶が美緒に聞く。美緒は少し笑いながら昨日のことを話した。
「ええ、練習試合の帰りにたまたま中山君と湯川君を見かけて。でも可笑しかった。だって湯川君、おじいさんの物真似で犯人騙したんだもん。」
それを聞いて杜夫と沙倫も笑いながら言った。
「詐欺師を騙せるレベルの物真似って…お前今度の物真似グランプリ出て来いよ。」
「うんうん、真樹なら優勝しそうね!応援するわ!」
「ネタでやったんじゃねぇよ。」
そう微笑みながら言った真樹。こうして、この日も平和に過ごしたのだった。
放課後。ここは千葉県内の刑務所。ここには先日詐欺で逮捕された小室、田中、佐藤が収監されている。
「由香、理子…つまんない!」
「本当よ、なんで私たちが捕まらなきゃいけないの!」
「服とかエステのお金が欲しかっただけなのに。」
そう話す三人。しかし、会話からは反省の色が見られなかった。そんな時。
「3人とも、面会だ。」
看守にそう言われた3人は、手錠をかけられた後に鎖でつながれて一列に並んだ状態で面会場に連行されていった。面会場に着き、そのにいたのは…。
「お、お前は…?!」
「よう、どうだ?人を騙して牢屋に入れられた感想は?」
小室が驚いたのも無理はない。煽るようにそう言葉をかけたのは真樹だったのだ。隣には伸治もいる。
「あんたのせいで、あんたのせいでこんな目に遭ったのよ!どうしてくれるのよ!」
小室が怒り出すと、田中と佐藤も怒り出して真樹を責め立てる。
「そうよそうよ、300万出すなんて嘘ついて!何てことしてくれんのよ!」
「私たちの人生台無しじゃない!ほんの数百万でここまでする事ないでしょ!女の子はお金がかかるのに!」
好きかって言う彼女たちに対し、先に怒ったのは伸治だった。
「お前ら、ふざけんなよ!お前らのせいで、俺ん家色々大変だったんだぞ!どうしてくれんだってのはこっちのセリフだ!」
更に、真樹が止めのセリフをいい放つ。
「いい気味だ。昔やってた詐欺師が騙される漫画あったけど、お前ら正にそんな感じだよ。でも、俺を騙すにはもうちょーっとお頭の働きが足りなかったよねー!じゃあ、そのちっぽけな脳みそでよーく考えながら反省するんだな!帰るぞ、伸治!」
「ああ。」
そう言って刑務所を後にする真樹と伸治。小室達3人は愕然としながら再び牢屋に戻されたのだった。そして、その帰り道に真樹は伸治に言った。
「すまんな、伸治。こんなところまで付き合ってくれて。」
「いいんだ。あいつらにもう一言いいたかったし。連れてきてくれてサンキューな。」
「いいのいいの。それより、お前の家族はどうだ?」
「ああ。母ちゃんも元気出たし、親父も気を付けるって言ってたし、優奈も機嫌治って受験勉強に打ち込んでるよ。」
「ならよかった。これで心置きなく週末の試合で投げれるな。」
「ああ、任せとけ!絶対抑えてやるから。」
そう話した二人は、生き生きした表情で帰宅していった。
そして、その週末。関東大会にて…。
「ストライク、バッターアウト!ゲームセット!」
「ナイスピッチ!」
都内の球場で行われている試合で、伸治はマウンドに登り、気迫の投球を続けた。その結果、この日の対戦相手である東東京の強豪、錦糸町高校相手に3安打完封勝ちを決め、ベンチでは関谷が喜びのあまり叫んだ。
「やったぜ、伸治!これでベスト8だ!すごかったぜ!」
「ああ、自分でもびっくりだがいい球投げれてよかった!」
笑顔で声をかけた武司に対し、伸治も満面の笑みでそう答えた。
「お前、騙された次の日、完全に顔が死んでたもんな。今日とは別人なくらいに。」
「あん時はどうなるかと思ったけど、真樹のおかげで助かった。」
伸治と武司は既に整列の準備をしている真樹の方を見て言う。
「やっぱり、真樹ってすごいよな。」
「ああ、俺の家族まで救っちまった。」
そう話す武司と伸治。真樹によってまた一人の人生に平和が訪れたのだった。
こんにちわ!
10月最後の投稿です。
11月から新章ですので、お楽しみに!




