第205話 犯人はすぐそばにあり?
こんにちわ!
まだまだ暑いですね。
伸治の母が詐欺師に騙されて、100万円を取られてしまった事件から3日が経過した。警察の方でもまだ犯人の特定には至っていないものの、真樹はどこか引っかかる様な気持ちでいた。その日は特にいつもと変わらない日を過ごし、授業を終えて帰宅。夕飯後、真樹は部屋に戻るとスマホを取り出して伸治に電話をかけた。
「もしもし。」
「おう、真樹。どうした、こんな時間に?」
「お前に少し話したい事があってな。学校じゃ話せないから、今かけた。」
「何だ?まぁ、聞くけど。」
そんな感じで真樹が伸治に話そうとした時、別の着信があった。慶からだった。
「ごめん、オニィから着信だ。まぁ、あいつにも聞いてもらおうと思うからグループビデオモードにするわ。」
そう言って真樹は通話をビデオモードに切り替え、慶も通話に追加した。
「ごめん、真樹。伸治と通話中だったの?」
「構わないが、どうしたオニィ?」
「いや、なんだか真樹が午後から深刻な顔してたから気になって。」
「まぁ、そのことに関して伸治と話そうと思ってたところだ。折角だし、オニィにも聞いてもらおう。」
真樹がそう言うと、伸治が首を傾げながら質問した。
「で、どうしたんだよ真樹?」
「今回の事件なんだか…犯人、もしくはその関係者がうちの学校内にいる。」
「「ええっ?」」
伸治と慶が驚きながらそう声をあげた。続けて、経過したが真樹に質問する。
「ど、どうしてそう思ったの?」
「伸治にはこの前、俺の家の通話の録音を聞いて貰ったらから分かるかもしれないが…俺は電話を出た際、自分の名前を名乗っていない。」
「まぁ、声変えて別人になりすましてたもんな、お前。」
伸治は先日、真樹が警察と共に家に来た事を思い出しながらそう言った。更に真樹は続ける。
「なのに、相手は俺が言う前に『湯川さん』の名前を出した。俺の事を知ってなければできないはずだ。」
「た、確かに。でも、何で真樹の事を知ってたんだろう?」
慶も疑問に思いながらそう言った。真樹は尚も、冷静な表情で続ける。
「恐らく、今まではランダムに選んでいたが、今回は最初から俺の事をターゲットにしている可能性が高い。だから、犯人グループの1人が学校内にいるのは間違い無いだろう。」
真樹はそう言ったが、伸治にはまだわからない事があった。
「で、でもよ…それじゃあ何でうちが狙われたんだ?相手は俺の妹の名前を使っていたみたいなんだけど…。」
「恐らく、犯人は学外にもいて、妹さんの制服から学校を特定。家も突き止めたけど名前までは分からなかったから、電話番号を突き止めた後、電話を掛けて伸治のお母さんに名乗らせるように誘導したんだろう。あくまで推測だが。」
真樹の推理に慶と伸治は深刻な表情で黙った。そして、少し間が開いた所で慶が言った。
「随分手の混んだ事するね。それにしても、うちの学校内にそんな怪しいやついたかな?」
慶がそう言った後、伸治が何かを思い出したかのように叫んだ。
「あ、あいつだ!小室だよ小室!うちのクラスの!あいつ最近、高い化粧品買ったり、脱毛やネイルにかなり注ぎ込んでやがる!ホント、最近急にだ!」
「そう言えば小室さん最近、雰囲気が妙に派手になったり、持ち物自慢する事が増えたよね。僕は話さないけど、そうしている所を遠巻きに何回か見たよ。」
2人のその言葉に、真樹は冷静に答えた。
「俺も、今日の昼間に小室を教室で見かけた時に引っかかってた。だが、まだ確証はない。だから、恐らくまた奴らがうちに電話を掛けてくるだろう。その時が勝負だ。」
そう言って、真樹達は通話を終えた。真樹としてもまだ犯人の確証は得てないが、今週中に犯人を引きずり出し、騙し取られた100万円を取り返す気でいたのだった。
こんにちわ!
犯人の特定には至りませんでしたが、一歩前進しましたね。
果たして真樹はどうするのか?
次回もお楽しみに!




