第204話 怪しい気配
こんにちわ!
少しずつですが、涼しくなってきましたね。
真樹の自宅にも、近頃頻発する詐欺事件の犯人と思しき人物から電話があり、金銭の要求をしてきた。しかし、真樹は別人になりすまして犯人と会話をしながら通話を録音し、警察に通報。その後、伸治の自宅へ向かって彼の母親に確認を取ったところ、少なくとも同一犯である事には間違いなさそうだった。翌日、真樹は普段通り家を出て、電車に乗って学校の最寄り駅の成田駅についた。
「真樹、おはよう!」
そしていつも通りに慶が話し掛けてくる。
「おはよう、オニィ!」
「どうしたの?深刻な顔して。」
「いや、伸治の事がまだ心配でな。」
「そうだよね…100万も騙し取られたんじゃ…。」
「犯人が捕まって金が戻ってくるまで、平常心でいられるのは難しいだろう。」
「それより、真樹。」
「何だ?」
「伸治に犯人捕まえて100万取り戻すって言ってたけど、本当に出来るの?」
「出来るんじゃない、やるんだよ。」
「いい方法でも思いついたの?」
「ああ…だがここでは言えないな。」
「ふーん、でも絶対にもう危ないことしないでよね!」
慶は目を釣り上げながらそう言ったが、真樹を少なからす信用していた。因みに真樹が今は言えないと行った理由は、詐欺師が真樹の事を知っている節があり、学校関係者の可能性も考えられるので、どこかで聞かれて作戦が失敗する事を恐れたからだ。様々な憶測が飛び交う中、真樹達の1日は今日も始まる。
-その日の昼休み。B組の教室にて-
「ねぇ、見てみて!」
1人の女子生徒が、えらくご機嫌な様子で友人に手を見せてきた。
「渋谷に本店がある高級ネイルサロンの支店が船橋にも出来たから行ってきちゃった!」
その女子生徒の爪は、鮮やかな空色にカラーリングされ、光沢があるラメまでついている。
「ええ、いいなー!」
「香菜ずるい、私も行きたい!」
香菜と呼ばれた女子生徒にクラスメイト達はそう言いながら羨望の眼差しを向けた。その女子生徒の名前は小室香菜。B組と言う事で、伸治や武司と同じクラスだ。
「でも、よく行けたよね!」
「エヘヘ、最近景気が良くて奮発しちゃった!」
そんな時、ある人物が教室に入ってきた。
「やっほー、みんな!」
軽い感じでそう言ったのは、C組所属で学校1モテモテなイケメンボーイの裕也だった。
「きゃあ、裕也くんよ!」
「来てくれて嬉しい!」
クラスの女子生徒達が黄色い声を上げ、教室内は一気に騒がしくなる。そんな時、小室が満面の笑顔で裕也の前に出てきた。
「ねぇねぇ、裕也くん!見て〜!私、この前高級ネイル行ったの!可愛いでしょ!」
「マジ?!ホントだ、超可愛いよ!」
「ホント?!嬉しい!」
「今度渋谷でデートしよ!そのネイルに似合う服、俺が選んでやるよ!」
「きゃー、裕也くんに服選んでもらえるなんて最高!」
「えぇ〜、香菜ズルい!」
「私も選んで、裕也くん!」
「いいよ!みんなが可愛いと、こっちも嬉しい気持ちだよ!」
キャーキャーはしゃぐ小室達女子生徒と、キザなセリフを吐く裕也。その声は教室の外にまで聞こえ、トイレから出てきた真樹、杜夫、伸治、武司の耳にまで届いていた。
「おい、大和田のやつ、また女子をナンパしてるぞ。イケメンだからって調子乗りやがって!」
「怒るな杜夫。あんなバカ、気にするな。」
怒る杜夫を真樹が宥める。すると、武司が気になる事を言った。
「にしても、小室のやつ、最近高い化粧品買ったり今回も高級ネイル行ったりと、豪遊してるよな。あいつの家ってそんな金持ちだっけ?」
「知らねぇよ。金の出どころは分かんねぇけど、いいご身分だぜ。こっちは100万も取られて困ってるっていうのによ!」
伸治はそう嫌味を言った。そして、真樹は武司と伸治の言葉を聞いた瞬間、急に真剣な表情になった。
「ん、どうした真樹?」
「いや、何でもない。」
不思議そうな顔で聞いてきた杜夫に対し、真樹はどこか頭に引っかかりを感じながらそう答え、その後昼休みを終えて午後の授業を迎えるのだった。
こんにちわ!
久々に裕也登場。そして、ここに来て新キャラも出てきました。
果たして、事件はどうなるのか?
次回もお楽しみに!




