第203話 真樹の反撃?
こんにちわ!
今月最初の投稿です!
帰宅した真樹に一本の電話がかかってきた。出てみると、謎の女性が見に覚えの無い言いがかりをつけて、真樹の事を責め立てている。そして、それがここの最近千葉や東京で多発している詐欺の犯人だと察した真樹は、別人のフリをして相手を騙すことに成功。そして、そのまま警察へと通報したのだった。
「ふむふむ、なるほど。電話の声は若い女性で、見に覚えの無い因縁をつけてきたって事で間違いないですね?」
「そうなんです。何か怪しいって思って、祖父のフリをして色々聞いてみたら、怪しい事ばかり言ってて…。」
通報してすぐ、真樹の家に警察がやってきて事情聴取をしていた。そして、しばらくすると正三と多恵が帰宅した。
「ただいま…。ん、真樹。何じゃこれは?」
「どうしたんだい?この人達は、一体…?」
案の定、正三と多恵はこの状況を見て困惑している。すると、一人の男性刑事が警察手帳を見せながら二人に説明した。
「失礼いたします。私、千葉県警の者です。実は、お宅にここの所横行している連続詐欺の電話がかかってきてましてね。電話に出たお孫さんが通報してくれたんです。」
「な、なんだって?」
「真樹、大丈夫だったのかい?」
正三と多恵は心配そうに真樹に声を掛けたが、彼は冷静に返した。
「大丈夫だよ。爺ちゃん、婆ちゃん。すぐに詐欺だって分かったし、金も取られてないよ。」
それを聞いて、二人はほっとした。その後、真樹から色々と事情聴取を終えた刑事達は引き上げようとしたが…。
「刑事さん、待って下さい!」
真樹が呼び止める。
「どうしましたか?」
「実は、僕の同級生のお母さんが先日女詐欺師に100万円を騙し取られまして…。もしかしたら僕が相手した詐欺師と同一犯かも知れないんです。中山さんって言うんですけど…。」
「中山さん…?ああ、そういえばこの前被害届け出してきた人に、そんな名前の人いたな。」
「僕のやり取りは録音してます。失礼を承知でお願いしますが、確認のために今から僕を中山さんの家に連れて行って貰えませんでしょうか?」
「いいでしょう。捜査を進展させる為に、情報は少しでも多い方がいい。案内して下さい。」
こうして、真樹は伸治の家に向かうことになった。
「じゃあ、爺ちゃん、婆ちゃん。行ってくる。」
真樹は正三と多恵にそう告げると、警察車両に乗って伸治の家に向かった。
19:45、中山家にて。
真樹と警察達は、四街道市にある伸治の自宅へと到着した。車から降りた真樹は早速インターホンを鳴らす。
「はーい、って真樹?!」
ドアを開けると、伸治が出てきて驚きの表情を浮かべる。
「ど、どうしたんだよ?あと、その人達は?」
「伸治、こんな時間にすまん。この人達は刑事さんだから安心しろ。お母さんいるかい?」
「そ、そりゃあいるけど。」
そして、今度は刑事達が名乗る。
「夜分遅くにすみません。千葉県警です。中山さん、先日被害届けを出して頂いた詐欺事件に、こちらの湯川君が巻き込まれた可能性がありますので、お時間を頂けないでしょうか?」
「は、はぁ!?わ、分かりました。どうぞ。」
伸治は困惑しながら真樹と刑事達を家に入れる。そして、同じく家にいた母の美子と妹の優奈が驚いているのは言うまでもない。
「すみません、お邪魔します。」
居間に入った真樹は二人に挨拶をした。そして、頭を下げながら名乗る。
「僕、伸治君の同級生の湯川という者です。」
「初めまして。伸治の母です。」
真樹は一度だけ、風で休んだ伸治に家までプリントを届けた事があるが、その時は伸治が直接出たので、伸治の家族とはこれが初対面である。
「中山さん。先日被害届けを出して頂いた詐欺事件に、こちらの湯川君が巻き込まれた可能性があります。同一犯か確認して頂きたいので、湯川君の録音を聞いてくれないでしょうか?」
「そ、そうなんですか?!分かりました。」
こうして、美子と真樹、刑事達はソファとテーブルにかけて、真樹が固定電話の録音をスマホに転送した物を聞くことにした。その横で、優奈が伸治に問う。
「ねぇ、お兄ちゃん。刑事さんはともかく、この人何なの?」
「おい、失礼だぞ優奈。こいつは湯川真樹。俺の同級生で野球部のチームメイトだ。」
「ふーん。何か、不思議な雰囲気な人ね。」
「まぁ、変人なのは否めないが…こいつは味方につけておいた方がいいぞ。」
中山兄妹がそんなやり取りをしている中、美子は真樹が録音したデータを聞いた。聞き終えると、刑事が美子に聞く。
「いかがでしたか、中山さん?」
「そうですね…私が聞いた声によく似てます。多分、同じ人かもしれません。」
真樹の読んだ通り、電話の相手は中山家の事件と同一犯として間違いなさそうだった。しかし、一つ疑問があり、真樹がその事に関して聞く。
「おばさん。伸治からも聞きましたが、相手は中山家の家族構成を知っててかけてきたに間違いありません。詐欺師は僕の事も知っているようでしたが、今の所心当たりが無いのですが、そちらはいかがですか?」
「そうですね…私も心当たりは無いわ。それに、今思い出したら、偽物は優奈の声に似てたけど、今思い出したら微妙に違ったかも…。あぁ…何で私騙されたのかしら?」
今回真樹に掛けてきたのは優奈の偽物ではなく、怪我をした被害者役の女詐欺師で間違いなさそうだ。しかし、同一犯の可能性には近づけたが、犯人の特定にはまだ材料不足である。
「安心して下さい、中山さん。犯人は必ず捕まえます。我々に任せて下さい!」
刑事は美子にそう言った。その後もいくつか事情聴取をして、真樹と刑事達は中山家を後にすることにした。
「じゃあ、我々は失礼します。」
刑事は車に乗り、真樹も送ろうとしたが…。
「あ、僕は電車で帰れるんで大丈夫です。ありがとうございました!」
そう言って真樹は刑事達を見送って帰ろうとした。その時、伸治に呼び止められる。
「真樹!」
「どうした?」
「わざわざすまんな!こんな所まで。」
「事件解決の為だ。気にすんな。」
「でも、あの他人のフリして詐欺師とやり取りするって何だよ?失礼ながら、聞いててちょっと笑っちまった。」
「言ったろ?俺は女詐欺師達をとっちめるって。」
「お、お前…まさか…?」
「ああ。必ず表に引きずり出して、100万円取り返してやるから安心しろ。」
真樹はそれだけ言い残すと、真っ暗な道を歩いて帰宅していったのだった。
こんにちわ!
少し進展したとはいえ、犯人はまだ分かりません!
この先も進展はあるのか?
次回もお楽しみに!




