第200話 事件の詳細
こんにちは!
大台の200話目です!
近頃、千葉県北西部から東京都東部にかけて詐欺事件が頻発している。主な手口としては女子学生を名乗る詐欺師が金銭トラブルに巻き込まれ、父兄に電話をして保証金を振り込ませると言うものだった。そして、真樹の友人である伸治の母親もその餌食になってしまった。事件があった夜、伸治達はすぐに警察に被害届けを提出。母親である美子はその詳細を話した。
事は全日の夕方に遡る。伸治の母、美子は在宅でアクセサリーのデザイナーの仕事をしており、一日の大半を家で過ごしている。この日もいつも通り自宅で仕事をしていたのだが、そんな時に家電が鳴った。
「あら、誰かしら?」
美子は電話に出る。
「もしもし?」
「もしもし、お母さん!」
電話からは慌てた様子の若い女性の声が響き渡っていた。
「もしもし、優奈?」
「うん、私よ!優奈よ!」
相手は長女の優奈を名乗った。優奈を名乗る女性は早口で続けた。
「お母さん、ごめんなさい!私、自転車とぶつかっちゃって、相手の人が怪我しちゃったの!」
「え!?ちょっと、どういう事?!」
「私は大丈夫なんだけど、相手の人が手をついたときに骨が折れたかもって…ごめんなさい!」
話しを聞いて呆然とする美子。すると、電話からは別の声が聞こえてきた。
「もしもし?優奈さんのお母さんですか?」
その相手も女性だった。女性は強い口調で美子を攻め立て始めた。
「あんたの娘がよそ見して、私自転車ごと転んだのよ!そのせいで、右腕怪我して動かないんだけど!」
「申し訳ございません!」
「私、手を使う仕事してるから、これじゃあ仕事にならないんだけど!どうしてくれんのよ!」
「すみません。治療費はこちらでお支払いしますから!」
「当たり前でしょ!」
状況がいきなり過ぎる上に、強い口調で責立てられた美子は、すっかり冷静さを失っていた。
「あんたの娘、学生でしょ?今後の進路に響いたら困るわよね?」
「はい…。」
「じゃあ、治療費と怪我して働けない分の給料として今から言う口座に100万円振り込んで!」
「分かりました。すぐにご用意致します!」
こうして、美子は女に言われるがまま指定された口座に100万円を振り込んてしまった。そして、しばらくして…。
「ただいまー!」
長女の優奈が帰ってきた。美子は優奈に対し、血走った目で問い詰める。
「ちょっと、優奈!あんた、自転車とぶつかって相手の女の人に怪我させたんですって?」
「は、いきなり何言ってんの?」
優奈は心当たりが無く、そう言い返した。
「少し前に電話がかかってきたのよ!大怪我だから、治療費等で100万円振り込んでおいたわ!」
それを聞いた優奈は顔を真っ赤にして怒り出した。
「知らないわよ、そんなの!大体私今日みんなと図書館で勉強してたし、帰りも誰ともぶつかってないわ!」
「え、そんな、だって…。」
「お母さんのバカ!振り込め詐欺よ、それ!なんで引っ掛かるのよ!」
こうして詐欺が発覚。現在に至るのであった。
そして、ここは大谷津学院の2年A組の教室。先程、昼休みに伸治から話しを聞いた真樹、慶、杜夫、美緒、沙崙は深刻な面持ちで話していた。
「うん、その女詐欺師、許せないな。すぐに引きずり出して金を取り返し、豚箱送りにしたいんだが。」
「真樹、そんなこと言っても、相手がどこの誰かわからないんじゃ、どうしようもないよ。」
慶が真樹に冷静にそう言った。
「けど、本当にこのあたり詐欺が増えたよな?何でだろ?」
杜夫の疑問に対し、美緒が腕組みしながら言った。
「もしかして、犯人は東京か千葉に住んでいる…とか?」
「あ、それそうかも。ターゲット探しは近い方がやりやすいもんね。」
沙崙が美緒に同意した。そして、真樹も表情を強張らせながら言った。
「犯人が俺達のすぐ近くにいる可能性も考えられる。他の地域に逃げられる前に、何としても捕まえなきゃな!」
「だからどうやって?」
「今考えてる。」
ツッコむ慶に対し、真樹はそう答えた。具体的な案はまだ見つかってないが、真樹としては伸治を救い、詐欺師をやっつけたい思いでいっぱいだった。
こんにちは!
今、台風が来てますが、物語も嵐の予感!
真樹は果たしてどうするのか?
次回もお楽しみに!




