第199話 中山家の惨劇
こんにちは!
久々に投稿します!
真樹の友人で野球部のチームメイトでもある中山伸治は、朝から暗い表情をしており、同じく野球部の友人である武司に宥められていた。その時に丁度登校してきた真樹と慶が心配そうに尋ねたところ、何と彼の母親が詐欺に遭い、100万円を騙し取られたと言う事だった。重苦しい雰囲気のまま午前の授業を迎え、昼休憩の際に真樹は伸治から話を聞くことにした。
「で、伸治。一体何があったんだ?」
真樹は心配そうに伸治に聞く。因みに場所はB組の教室で、同じB組の武司だけで無く、慶、沙崙、杜夫、美緒も心配そうな表情で駆け付けてきた。そんな中、伸治は悲しそうな表情で口を開く。
「俺も、まだ完全に理解が追いついてないんだが…。」
伸治は分かっている範囲で話し始めた。
-昨日19:00 中山家-
「ただいまー!」
この日は野球部の練習だった為、普段より遅く帰宅した伸治。玄関から居間に入ると、何やら騒がしくなっていた。
「ご、ごめんなさい!」
伸治の母親がこの世の終わりの様に青ざめた顔でそう言っている所が見えた。更に…。
「もう、お母さんのバカ!」
「お前ってやつは、どうしてそう考えが甘いんだ!?」
家族が修羅場と化している状況に、理解が追いつかない伸治は、戸惑いながら尋ねる。
「あ、あの~、これはどういう状況?」
そう聞くと、一人の少女が駆け寄る。
「ねぇ、お兄ちゃん!聞いてよ!お母さんったら、私の偽物の詐欺師に騙されたのよ!100万円も取られて!」
彼女は伸治の2つ年下で中学3年生の妹である、優奈だ。優奈の話しを聞いた伸治はますます訳が分からなくなる。
「は?詐欺?おい、母ちゃん!どういう事だよ?!」
「ごめんなさい!優奈が学校帰りに人とぶつかって怪我させて、その相手から治療費100万振り込めば許してくれるって言ってたから、気が動転してつい…。」
伸治の母、美子は今にも泣きそうな表情でそう言ったが、伸治の父親の祐三は怒り心頭である。
「そんな事を鵜呑みにしたのか、お前は?!冷静になって優奈の携帯に直接掛けて確認すれば防げたかもしれないんだぞ!」
「そうよ!大体、ぶつかった位で治療費100万もする怪我って何よ!その時点でおかしいって思うのが普通でしょ?!」
2人の指摘はごもっともだった。雰囲気が悪くなる中、伸治は何とか落ち着こうと必死で3人を宥めた。
「と、とりあえずさ。今喧嘩してもどうにもならないだろ?!警察言って被害届け出しに行くぞ!母ちゃんも、ほら!しっかりしろよ!」
崩れ落ちた美子を立ち上がらせ、その後一家全員で警察署に被害届を出しに行った。部活の練習後にそんな事があったので、伸治は普段の倍疲れ果ててしまったのだった。
「こんな感じ。だから家の中メッチャピリピリしてて、やばい。」
げっそりとした様子で伸治は話し終えた。話しを聞いた慶は怒りながら言う。
「何それ?最近詐欺が多発してるけど、僕たちの友達まで巻き込むなんて!地獄に落ちるべきだね!」
すると杜夫が困った表情で言った。
「でもよぉ…確かにこの辺で詐欺がやたら多いけど、どの事件も犯人まだ捕まってないんだろ?どうやってとっちめるんだ?」
杜夫の言葉に一同が黙り込む。そんな中、美緒が口を開いた。
「話しを聞く限り、その詐欺師は中山君の妹さんになりすましてたって事よね?そして、その偽の妹さんが、怪我をさせたから治療費を要求した。…犯人はグループを組んでいる可能性が高いわね。」
美緒の意見に沙崙も頷きながら言う。
「聞いた事ある。こういうの、日本語で劇場型詐欺って言うんだっけ?随分手が込んでるわね。そこまでしてお金が欲しいのかしら?」
皆、伸治の今の状況を本気で心配し、詐欺師にも怒り心頭だった。そして、真樹は優しく伸治の肩に手を置いて言った。
「伸治、大変な状況なのに話してくれてありがとう。大丈夫だ。こんなふざけた真似、逃げ切れるわけがないし、俺がもし見つけたら地獄に突き落としてやるよ。」
「真樹、みんな…。心配かけてすまん。」
伸治はそう頭を下げながら言った。しかし、真樹達は勿論、地元警察ですら、多発する詐欺事件の犯人の尻尾を未だに掴めないでいた。
こんにちは!
伸治の家族が初登場です。
そして、真樹はどう行動に出るのか?
次回もお楽しみに!




