第198話 悲劇は突然に?!
こんにちわ!
今月最後の投稿です!
季節は12月になり、この年も残り1ヶ月になった。空気もすっかり冷え込み、コートやマフラーを身に着ける人もどんどんと増えている。真樹はそんな中でもいつも通りに慶と共に登校したが、同じタイミングで出勤してきた立石に呼び出され、教室よりも先に職員室に向った。
「湯川君、この間のことだけど…。」
「母親の事ですか?」
「…。ええ、言いたくなければ言わなくていいわ。」
「別にイイっすよ。終わったことですし。」
真樹は先日の早紀の件を全て立石に話した。異父妹の菜穂への臓器提供を諦めなかったこと、菜穂が既に手遅れで死亡した事、早紀も精神的ショックで廃人同然と化している事を包み隠さす話した。因みに、早紀の再婚相手の会社であるスギタカンパニーは、社長である不倫相手の男が飲酒運転によって事故死した事を皮切りに、社員へのパワハラ、不正融資、脱税等の多数の悪行が明るみになった事で、とっくに倒産している。
「そう…大変だったのね。」
「どうってことないですよ。あいつの悲しむ顔見れて寧ろ清々しました。」
「湯川君が女性を憎む理由が分かったけど、間違っても人としての道を外れないでね。」
「分かってますよ。」
真樹はそれだけ言って職員室を後にし、教室へと戻ったのだった。中に入ると、慶の他に杜夫、沙崙、美緒が既に登校していたのだが…。
「ん、なんだこれは?」
真樹は杜夫のもとに来て聞く。よく見ると、美緒がこれまで見たことないほどニコニコ笑顔で着席していた。そんな美緒を3人が囲んでいる。
「ああ、菅野の奴、ハイスピードなんたらの映画の舞台挨拶付きの試写会の抽選に当たったんだとよ。いいよなぁ。俺、そういう抽選とか全部外してんのに。」
杜夫は羨ましそうにそう言った。美緒が好きな漫画原作のバレーボールアニメ、ハイスピードスパイクの劇場版が年明けに公開されるのだが、声優の舞台挨拶付きの試写会に美緒が行ける事になったのだ。それが決まったのは昨日の事の様である。
「普通に映画見るのも面白いけど、こう言う特別なイベントもいいよね。羨ましいな。」
慶が微笑みながらそう言うと、沙崙が苦笑いしながら続いた。
「でも、あまり笑わない美緒がこんなにニコニコしてるの、すごく意外って言うか、逆に怖い。」
そんな中、美緒は真樹が来ている事に気付き、ニコニコ笑顔で挨拶した。
「おはよう、湯川君。元気そうね。」
「当たり前だ。それと、当選おめでとう。」
「当然よ、ウフフフ。これで声優さん達に会えるだけでなく、世界最速で劇場版が見れるわ!」
「お、おう。楽しんでこい。」
真樹もいつもの美緒と違う事に困惑していた。それでも、この日は至って平和に過ごす真樹達であった。
翌日。真樹はいつも通りに家を出て、成田駅に到着した所で慶と出会う。
「おはよう、真樹!」
「おう。オニィか、おはよう。」
「そう言えば、昨日美緒がハイスピードスパイクの話ししてたけど、ダイノイドももうすぐクライマックスだね!」
「ああ、ヘルズメテオとの最終決戦が楽しみだ。」
二人は、真樹の野球部の先輩の稲毛秀太の姉、智子が出演するSFアニメ、機動恐竜ダイノイドの話に花を咲かせていた。このアニメももう最終回が近づいている。そんなこんなで学校に付いた時、異変が起きていた。
「あぁ…終わった。」
「お、おい!伸治!しっかりしろ!」
教室の前で、伸治がこの世の終わりの如く青ざめた表情で何かを呟いており、それを武司が必死で宥めていた。
「おい、どうしたんだ二人共?!」
「ただ事じゃ、なさそうだけど。」
真樹と慶が二人のもとに駆け寄る。
「おお、真樹に鬼越!伸治の奴、朝あった時からずっとこんなんで…。」
真樹と慶も伸治に問いかける。
「伸治。何があった?お前がそんな顔するなんて、普通じゃない様だが…。」
「伸治、もしよかったら話してくれるかな?僕達で良ければ、何か力になるよ。」
武司、真樹、慶にそう言われた伸治は、悲しそうな表情でようやく重い口を開いた。
「う…うちのお袋が…詐欺で100万騙し取られた。」
こんにちわ!
明るい日常回、と見せかけて最後に事件が起きてました。
次回は8月になってから投稿します。
お楽しみに!
それと、読者の皆様も良い夏をお過ごし下さい!




