第197話 事件の臭いはすぐそこに
こんにちわ!
新章始まります!
早紀との一件が終わり、真樹にはいつもの日常が戻ってきた。この日も学校を終えた真樹はいつも通りに帰宅し、祖父母と共に夕飯の食卓を囲んでいる。そして、真樹はそこで今まであった事の全てを話した。
「実はな、爺ちゃん、婆ちゃん。今回の事の顛末なんだが…。」
早紀と不倫相手の娘が病気である事、早紀に肝臓を寄越せと言われた事、菜穂が亡くなってしまった事を淡々と説明する真樹。正三と多恵は渋い表情を浮かべたが、二人は真樹に優しく声を掛けた。
「そうだったのか。まぁ、確かに後味が悪いが、お前は何も悪くない。気にするな。」
「そうよ。そんな事言うなんて、神経疑うわ。でも大丈夫よ。私達は何があっても真樹の味方だから。」
祖父母にそう言われた真樹は、ほっとした表情で微笑みながら言った。
「ありがとう、爺ちゃん、婆ちゃん。俺の家族はやっぱり二人だけだ。」
穏やかな雰囲気になった食卓。そんな時、TVのニュースである報道が流れた。
『本日、千葉県習志野市で、市内に住む60代の女性が、50
万円を騙し取られる事件がありました。警察によると、被害者の女性宅に電話がかかってきており、「あんたの娘に怪我をさせられた。治療費を払って。」と言われ、女性は相手の言う通りに、指定された口座に50万円を振り込んだとのこと。その後、被害者の長女に確認した所、そのような覚えはないと言われ、詐欺が発覚。警察に通報し、被害届けを提出。電話の相手は、娘を名乗る女性と怪我をさせられた女性の二人いたとの事で、警察ではグループ詐欺事件として捜査を進めています。』
「ん~、またこの手の詐欺が。つーか、最近多くね?特にこの辺で。」
真樹が思わずそう呟いた。ここ数日、千葉県や東京都東部を中心に、中年以上の男女が現金を騙し取られる事件が多発。そして、どれも共通しているのが、電話の相手が全て女性で、相手に怪我をさせた、会社のお金を無くしたと言って被害者に振り込ませると言う手段だった。
「全く、年寄を馬鹿にしおって!親の顔が見てみたい!」
そう怒る正三に、多恵もうんうんと頷きながら言った。
「全くです。お金を騙し取って、何が面白いんだか!」
そんな二人に、真樹は渋い表情で言った。
「まぁ、俺は騙されないけどな。爺ちゃんも婆ちゃんも、簡単に人の話し信じないで、冷静に確認する癖をつけてくれよ。」
そう注意した真樹。だが、そんな魔の手が真樹の身近に迫っている事を彼はこの時考えもしなかった。
そして、ここは千葉県内のとあるカラオケボックス。
「やったー!今日も大量、大量!」
「上手く騙せたわね、ザマァ!」
「あー、気持ちいい!こんなに簡単に設けられるなんて、最高!」
数人の若い女性が、歌いもせずに通帳の額を見ながらはしゃいでいる。
「これからもっともっと、絞り取るわよ!」
「勿論よ!女は色々お金かかるし!」
「バカが使わずに溜め込んだお金を、私達が代わりに有効活用してあげてるんだから、感謝して欲しいわよね。」
不謹慎な会話を続ける女性達。彼女達は、また世間を騒がす事件を起こそうとしていた。
こんにちわ!
今回の章はいつも通りに戻って、スカッと成敗する系のお話にするつもりです!
よろしくお願いします!




