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真樹VS女子  作者: 東洋連合
Episode1 女嫌い現る
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第1話 女嫌いな湯川君

この物語は、極度の女嫌い男子の湯川真樹君が、女性が多い環境下で様々な女性を倒していくお話しです。

胸キュンはありません!

その代わりスカッとさせますんで、予めご了承をお願致します。

 人の嗜好、性格などは幼少期の経験によって形成されると言われている。たとえば親が野球好きだった影響で野球を始めたり、甘やかされて育った結果わがままな人間に育ってしまったなどが分かりやすい例だろう。また、幼少期に受けたトラウマが原因でその対象に対し極度に嫌悪、恐怖感を抱いてしまう事もある。今回のケースも、そのような経験によって心に深い傷を負った人物の物語である。


 季節はまだ暑さが残る9月。学校で言えば新学期が始まっている時期だ。そんな日の朝、千葉県佐倉市にある一軒の古い木造の民家の玄関から一人の少年が出てきた。

「行ってきます。」

 色白の肌、少し逆立った短くて黒い髪、緑色のブレザーを身に纏っているせいか少し着やせしているようにも見えるが、バランスよく筋肉がついた体格。鋭く吊りあがった目元の影響で強面な雰囲気もあるが全体的に整った顔立ちの少年だ。少年は玄関の方向にそう言い、自宅を出発した。彼の名は湯川真樹。4月に進学した高校一年生だ。彼はいつも通り小鳥が囀る中、通学するために最寄駅を目指していた。やがて、最寄り駅である佐倉駅に到着。佐倉は東京のベッドタウン故、平日の朝は通勤客で溢れるのは日常茶飯事なのだが…。

「学校がこっち方面でよかった。混雑に巻き込まれないで済む。」

 彼の通う学校は逆方向なのでむしろ空いていた。やがて、東京方面へ向井列車がすぐに満員になる中、真樹は空いている普通列車に乗り込んで開いている席に座った。車内の利用客はまばらで、彼の隣には誰も座っていない。

「のんびり通学できるのはいい。本でも読も。」

 真樹は鞄から文庫本を取り出して読み始めた。すると、隣に女性が座ってきた。

「危ない危ない。寝坊した。」

女性は20代前半といったところだろうか。カジュアルな服装に身を包んでおり、汗をかきながらか走って電車に乗り込み、真樹の隣に座る。女性は比較的整った顔立ち、客観的に見て美人に分類されていいだろう。真樹と同年代である男子高校生がこのようなシチュエーションに遭遇した場合、行動にはでなくとも内心喜ぶ場合が多いが、真樹の場合は違った。

「…ッチッ!」

真樹は聞こえない程度に舌打ちをして女性を睨みつけた後、そのまま隣の車両へ移動していった。むろん、女性の方は息切れをしていたので気付いていなかったが。

「隣に女性が座るとか、今朝は災難だったな。」

そう不満げに呟いた真樹。そう、彼は極度の女嫌いな男子高校生なのだ。どうしようもない場合を除いて、女性が自分の近くにいる状況を非常に嫌う彼は誰も座っていない場所を見つけて座り、再び本を読み始めた。真樹は心の中でこう秘めている。女性に対していい思い出が無い、女性に関わるとロクなことが無いと。幼少期の経験から彼は強くそう思うようになったのだが、それが原因でこれから起こる事に巻き込まれるとは、この時真樹は考えもしてなかった。


「着いた。早く学校行こう。」

真樹が通う高校の最寄り駅である成田駅に到着。改札を抜けて、学校がある西口の階段を下りた所で背後から真樹に声をかける人物がいた。

「おーい、真樹ー!」

真樹が振り返ると、一人の女性が駆け寄ってきた。ショートカットの黒髪に、少し日焼けした肌。すらりとした長身にどこか中性的な雰囲気が出ている。普通なら、女性が声をかけると嫌がって逃げる真樹だったが…。

「何だ、おニィか。おはよう。」

「もう、テンション低いなぁ。せっかく僕が元気よく挨拶したのに!」

おニィと呼ばれたこの少女。名前は鬼越慶といい、真樹と同じ高校に通う一年生だ。一人称に僕を使用するいわゆる僕っ娘で、女性であるにもかかわらず真樹が嫌がっている様子はない。

「朝電車に乗ったら女が隣に座ったせいでテンション下がったんだ。」

「相変わらず、僕以外の女性には嫌悪感出すんだね。別に何もしないんだから放っておけばいいのに。」

「嫌な物は嫌だ。因縁つけられて痴漢扱いされたらどうするつもりだよ?」

「考え過ぎだって。とにかく早く行こ!」

慶の言葉にもあるように、真樹は大の女嫌いだが例外的に彼女だけは平気で接している。今まで女性と仲良くした事が無い真樹の唯一の異性の友人だ。二人は仲良く話しながら駅から高校へ向かう。その間同じ高校に通う緑色のブレザーを着た女子生徒が何回も通り過ぎたものの、真樹が声をかける事も、掛けられる事も無かった。一方の慶は時々挨拶をされていたが。それから数分後、二人が通う高校、大谷津学院高校に到着した。

「着いたー。それにしてもまだ少し暑いね。教室クーラー効いてるかな?」

「これ位平気だろ。あんまり冷房の下にいすぎるのも良くないぞ、おニィ。」

「そうだけどさ…僕、暑いのあまり好きじゃないし。」

「とにかく行くぞ。荷物が重いから早く置きたい。」

「あっ、待ってよ真樹ー!」

歩き出す真樹を追いかける慶。女嫌いな少年と、唯一心を許している少女の学園生活が今日も始まったのである。

こんばんわ。

もう少し早連載したかったのですけど予定がだいぶ遅れてしまいました。

真樹は普段どんな学園生活を送っているのかは次回で書きますのでお楽しみに!

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