第194話 もう手遅れ
おはようございます!
体調が回復したので、久々に投稿します!
「もう助からない?」
「何でそんな事が分かるんだよ、真樹?」
真樹は異父妹の菜穂はもう助からないと言ったが、慶と杜夫はその言葉に驚きを隠せなかった。真樹は冷静に答える。
「実は、あいつに病院に連れて来られた帰りに、医者達が話し合っているのを盗み聞きしたんだが…。」
-昨日の夜 御茶ノ水の病院にて-
「あ〜あ、時間無駄にしたわ。帰ろ!」
早紀との話を切り上げた真樹は、病室を出て家に帰ろうとしていた。そんな時、ある部屋から話し声が聞こえた。
「杉田菜穂ちゃんの事ですが…。」
「うーん…。」
どうやら二人の医者が菜穂の事を話し合っている様だった。真樹はこっそり物陰に隠れて聞き耳を立てる。
「症状の進行が思った以上に早いです。」
「確かに、ここの所の生体機能の低下も著しい。」
「初めはドナーさえ見つかれば、肝臓移植も考えたのですが…。」
「これじゃあ、移植しても結果は同じですね。」
「もって、あと2~3ヶ月と言った所でしょうか。」
「お母さんには申し訳ないけど、こればかりは…。」
そんな会話が聞こえてきた。話を聞いた真樹は、複雑な思いでその場を後にしたのだった。
「そういう事だ。だから俺から肝臓取っても全く意味がない。」
真樹は真顔のまま説明を終えた。その場にいた全員が話を聞き終えた後、どんよりとした気分になっている。そんな中、美緒が口を開く。
「確かに、生まれた子供に罪は無いけど、私が湯川君の立場でも同じ判断をするわ。ずっと音沙汰無かったのに、今更助けてくれは虫が良すぎるし。」
続けて沙崙も。
「可哀想だとは思うけど、仕方ないわよね。真樹ももうこれ以上干渉すること無いと思うわ。」
最終的に少し重い雰囲気になってしまったが、真樹達は気持ちを切り替えて午後の授業に臨むのだった。
一方こちらは菜穂が入院している御茶ノ水の大学病院である。菜穂の病室には早紀が見舞いに来ていた。
「ママ…苦しいよ。早くお外に出て遊びたいよ。」
「大丈夫よ菜穂。絶対に治るから!」
「本当に?」
「勿論よ!お兄ちゃんが助けてくれるから!」
「真樹…お兄ちゃん?」
「そうよ!お兄ちゃんの肝臓を菜穂にあげれば助かるかも知れないのよ!」
「本当に?」
「本当よ!治ったら3人で遊園地行きましょ!」
「うん…。」
だが、医者からは菜穂が既に手遅れと言う事は早紀に伝えられておらず、早紀の方は真樹からの生体肝移植を諦めていなかった。
おはようございます!
今月最後の投稿です!
そして、本エピソードももうすぐクライマックスです!
お楽しみに!




