第191話 世界一嫌な三者面談
こんにちわ!
今月初投稿です!
真樹の実母、早紀が約10年ぶりに彼を訪ねてきた理由、それは不倫相手との娘である菜穂への生体肝移植のドナーになって欲しいと頼むことだった。真樹はいきなりそんな事を言われて同意できる訳もなく、冷たく突き放して病院から帰宅した。そして翌日の昼、予想外の出来事が真樹を待ち受けていた。
「真樹、昼飯にしよ!」
「ああ。」
杜夫に声を掛けられて、慶、沙崙と共に昼食の食べようと集まった真樹達。因みに3人共、真樹が何か訳有なのを察して前日の早紀に関しては触れないでいた。そんな時、校内放送が響く。
『2年A組、湯川君。至急応接室まで来てください。』
立石の声だった。慶と沙崙は心配そうに真樹に声をかける。
「真樹、なんだろう?」
「何かやった?」
「いや、知らん。行ってくる。」
真樹はそれだけ言うと、教室を出て応接室に向った。そして、応接室に来るとドアをノックする。
「失礼します。」
真樹がそう言って中に入ると、思わず唖然とした。
「あ、湯川君。この人は…。」
出迎えた立石が困った表情をしている。立石の真向かいに座っているのは、なんと早紀だった。
数分前。
「ん、何かしら?」
職員室にいた立石に一本の電話が入った。
「はい、立石です。」
「あ、立石先生。事務所の田中です。」
電話は受付の事務員からだった。
「どうしました?」
「いや、その…『私は湯川真樹の母親だ。まず息子の担任に合わせてほしい!』としつこく騒ぐ女性がいまして…。」
「え…?」
立石は話を聞いて、訳が分からなくなっていた。しかし、自分のクラスの生徒の名前を出せれて無視もできなかった。
「分かりました。向かいます。」
立石はそう言うと、事務室に向った。すると、早紀が必死の形相で待ち構えていた。
「あ、先生ですか?!私、湯川真樹の母の杉田早紀と言うものです。」
「湯川君の担任の立石美咲です。本日はどのようなご用件で?」
「息子に会わせて下さい!でも、あの子…私から言っても絶対に会ってくれないので、先生から呼び出して下さい!お願いします!」
立石は完全に困り果てていた。何せ、彼女も真樹から母親がいないと聞かされていたからだ。
(湯川君、両親はいないって言ってたような…それに名字も違うし…。でも、このまま騒がれ続けてもみんなの迷惑になるし、本人に会わせて確認取ればいいわよね。)
心の中でそう呟いた立石は真顔で早紀に言った。
「分かりました。今本人を連れてきますので、応接室にご案内します。」
「ほ、本当ですか?ありがとうございます!」
こうして、立石は取り敢えず早紀を通し、応接室まで案内した後に真樹を呼び出したのだった。
「真樹〜!あんたならまた来てくれると信じてたわ!学校なのにありがとう!」
早紀はやってきた真樹に対し、特に悪びれる様子もなくそう言った。一方立石は少し困った様子で真樹に聞く。
「ねぇ、この人本当に湯川君のお母さんなの?」
「不倫して俺と父さんを捨てて、男と出ていくようなクズですが、一応生物学上は俺の母親って事になりますね。」
皮肉たっぷりの真樹の返答に立石は絶句した。そして、覚悟を決めた真樹は立石の隣に座り、早紀と向かい合う。
「とっとと話して終わらせようぜ、俺も先生も暇じゃないんでね。」
こうして殺伐な雰囲気の元、奇妙な三者面談が始まった。
こんにちわ!
立石先生が久々の登場でしたが、彼女にも活躍の機会はあるのか?
次回もお楽しみに!




