第189話 何だこれは?
おはようございます!
もうすぐ5月も終わりですね!
「じゃあ、失礼します。」
そう言って体育館を出たのはバレー部所属で真樹のクラスの学級委員長である菅野美緒である。彼女は練習を終えて自宅に帰ろうとしていたが、校門を出ようとした所で後ろから声を掛けられる。
「あ、菅野先輩!」
美緒が振り返ると、お下げの髪型の女子生徒が一人立っていた。
「貴方は確か…吹奏楽部の。」
「大神です!」
真樹達が甲子園に行った時、上級生の反対を押し切って応援に駆けつけた一人である、大神である。
「吹奏楽部も練習終わったの?」
「はい。菅野先輩も練習終わりですか?」
「そうよ。」
そんな感じで軽く雑談しながら校門を出た2人。その時、大神がある話題を切り出した。
「そう言えば私、練習の休憩時間中に変な物見たんですけど。」
「変な物?」
美緒が首を傾げる。
「はい。なんか、外の道路沿いで湯川先輩らしき人が、女の人と何か言い合って、その後車で一緒にどっか行っちゃったんですが。」
「???何よそれ?よくわかんないんだけど。」
美緒は訳が分からなくなっていた。そして、大神に更に問う。
「それって連れ去られたの?」
「いえ、誘拐って感じじゃなかったです。湯川先輩も渋々って感じでしたが。」
「うーん、何だか知らないけど、嫌な予感がするわ。」
二人共、何が起こっているのか理解出来ていなかったが、しばらく話ながら帰宅した。
一方こちらは真樹が早紀に連れてこられた御茶ノ水の大学病院である。早紀が受付で何やら話している間、真樹はその後ろで腕を組みながら何やら考え込んでいる。
「全く…何なんだ?この病院に何があるって言うんだ?」
まだ完全に状況が飲み込めていない真樹。そうしている内に早紀は受付を済ませて、真樹の手を引いて来た。
「さぁ、行くわよ真樹。」
「引張んなよ。つーか、どこに連れてくんだよ?」
「いいから、いいから。」
そう言って、早紀は半ば強引に真樹を連れて行く。エレベーターで10階まで上がり、そこを降りて更に奥の方へ進むと個室病棟にたどり着いた。そして1010のナンバープレートが張られている病室にやって来ると、早紀はドアをノックする。
「入るわよ。」
そう言って早紀と真樹は部屋に入った。中に入ると、およそ7,8歳位の少女があまり元気が無い様子でベッドに寝ていた。
「菜穂。どう?元気?」
「ママ。うん、まぁまぁ。」
やや小さめな声でそう言った少女。そして真樹が聞く前に早紀が勝手に少女に紹介を始める。
「菜穂、この子は真樹。貴方のお兄ちゃんよ!」
「菜穂のお兄ちゃん?」
菜穂と呼ばれた少女は首を傾げている。そして、ようやく早紀から真樹に説明が入った。
「この子は菜穂。再婚した後生んだ私の娘。つまり、あなたの妹よ!」
「まぁ、そんな事だろうと思ったよ。」
真樹は大方の予想は付いていた。しかし、なぜ今更父親違いの妹に会わせられたのかは分からなかった。そんな時、早紀は真樹を病室の外に連れ出す。
「真樹、ちょっとこっち来て。」
「何だよ。入れだの出ろだの騒々しいな。」
面倒臭そうにそう言いながら真樹は早紀と共に病室を出る。すると、今度は早紀が話す前に真樹が質問した。
「そろそろ教えてもらおうか?何で俺をここまで連れてきたのか?」
真樹がそう言うと、早紀は一瞬バツが悪そうな表情を浮かべた後、頭を下げながら言った。
「一生のお願い!真樹、あなたにあの子を…菜穂を助けて欲しいの!」
必死の形相でそう言った早紀を、真樹は疑念が残る表情でただ見ていた。
おはようございます。
すごい展開になりましたが、果たして真樹はどうするのか。
次回もお楽しみに!




