表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
真樹VS女子  作者: 東洋連合
Episode11 息子VS母
192/327

第187話 迷惑な母

こんばんわ!

読者の皆さん、ゴールデンウィークはいかがでしたか?

 真樹は約12年振りに実母である早紀と再開した。しかし、それは真樹自身が望んだものではなく、早紀が突如現れた挙げ句、一方的に親子に戻りたいと言い始めたのだ。彼は自分と実父を捨てて不倫相手の元へ出ていった母親を許せるわけがなく、頭の中から消したいとさえ思っていたのだが…。


 ひと悶着あった日から2日後。週が明けて真樹は普段通り学校に登校した。駅の改札に到着すると、いつものように慶が話しかけてくる。

「おはよう、真樹!」

「おお、オニィか。おはよ…。」

 しかし、慶は真樹の様子がおかしい事をすぐに察した。

「どうしたの、元気無いね。」

「そうか?いつも通りだと思うんだが?」

「ううん…なんか雰囲気が暗いよ。何かあったの…?」

「いや、大したことじゃない。」

 真樹はそう言ったが、学校内外で共に行動する事が多い慶に誤魔化しは無意味だった。

「いつも女子達に悪口言われても平然と言い負かす真樹が、暗い雰囲気をずーっと漂わせているから只事じゃないなって思ったよ。」

「…。」

「でも、安心して!話せるようになったら話してくれればいいし、僕は何があっても真樹の味方だよ!」

「オニィ、お前優しいな。」

 笑顔で慰めた慶に対し、真樹は少し安心感を覚えたのだった。


 しかし、その日の放課後に事件は起きた。

「真樹ー!帰ろうぜ!」

 そう声を掛けたのは隣のクラスの武司だ。隣には伸治も立っている。

「待ってろ。今行く!」

 真樹はそう言って荷物を持って席を立つ。

「待てよ、真樹!俺を置いていくなよ!」

 日直だった杜夫は焦りながらそう言い、大急ぎで仕事を終わらせた。

「僕達も帰ろう、沙崙!」

「そうね。あー、お腹空いた!」

 慶と沙崙も荷物を纏めて教室を出た。因みに美緒はバレー部の練習のため既に体育館に向かっていた。真樹達は昇降口を出て歩いて駅に向かおうとした。その時、予想外の事態が発生する。

「真樹〜!迎えに来たわよー!」

 背後から女性の声が聞こえた。真樹は険しい表情で声の方向を見る。すると、道路に赤いポルシェが1台止まっており、そこから一人の女性…母である早紀が手を振っていた。

(何で学校にまで来るんだよ?!)

 心の中で苛立ちながらそう呟いた真樹は、早紀の事を無視してその場を立ち去ろうとした。すると、伸治が首を傾げながら尋ねる。

「おい、あのおばさんお前の事呼んでるぞ。知り合いか?」

「いや、知らん。早く行こう!」

 真樹は他の皆と共に駅に急ごうとした。しかし、早紀は車から降りて駆け出し、真樹の前に立ち塞がった。

「もう!無視するなんて酷い!それが母親に対する態度?」

 不満そうにそう言った早紀。真樹以外はますます状況が読めなくなり、杜夫と慶が困惑した様子で早紀に問う。

「あ、あの…うちの真樹に何か用ですか?」

「それと、何処のどちら様でしょうか?」

 杜夫と慶の問いに早紀は笑顔で答える。

「あら、真樹の友達?初めまして、真樹の母でーす!」

 呑気な様子でそう言った早紀に対し、一同は驚きのあまりポカンとしている。そんな中、早紀は呑気な様子で話し続けた。

「うちの息子と仲良くしてくれてありがとうね!この子ったら昔から愛想も無いし、話も下手だから学校でも上手くやれているか心配で…。でも良かった!これからも真樹の事をよろしくね!」

 周りの状況を気にせず、一方的に話し続ける早紀に対し、真樹は苛立ちが頂点に達した。

「…。みんな済まない。コイツは俺がどうにかするから先に帰っててくれ。」

「ま、真樹…。でも…。」

 沙崙が心配そうに声を掛けたが、真樹は首を横に振りながら言った。

「これは俺の問題だ。みんなを巻き込むつもりは無い。」

 真樹がそう言うと、慶達も心配そうな表情を浮かべ、2人を残して帰って行った。そして、早紀は相変わらず空気を読まない発言を続ける。

「みんな感じ良さそうな子達ばかりね!それと、女の子2人いたけど、どっちかは彼女?私はショートの子の方「」お似合いだと思ったわ!」

「おい、いい加減にしろよ。これ以上付き纏うならマジで警察呼ぶぞ!」

 真樹はドスが聞いた声で早紀にそう言った。更に目を釣り上げながら言う。

「一方的に捨てて、10年以上放置してた癖に、今更何なんだよ。嫌がらせか?俺は長年あってないあんたに何かした覚えは無い。」

 早紀は真樹の言葉に対し、溜息混じりで言った。

「この間も言ったでしょ?親子としてやり直したいって。」

「不倫して逃げたやつが言える事か?」

「おーねーがーいー!とにかく話だけでも聞いて!聞いてくれるまで、お母さん諦めないから!」

 あまりに必死な様子に真樹も流石に引いていた。しかし、これ以上放置して祖父母や友人達に迷惑がかかるのを恐れた真樹は渋々首を立てに振った。

「分かったよ…。」

「素直で宜しい。流石私の息子!」

 そうして真樹は嫌々ながらも早紀の赤いポルシェに乗り、二人でその場を後にした。

こんばんわ!

真樹君、かなり迷惑がってました。

果たして早紀の目的は?

次回もお楽しみに!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] いや真樹よ…その判断は間違いだぞ!!そのババァには常識なんて通用しないぞ!!お前はもっと信用出来る大人や親友にも頼れ!!しかし、あのババァ本当に碌な事しねぇ……。真樹の安否が気になるな…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ