第186話 乗れない提案
こんにちわ!
今月初投稿です!
真樹は実母である早紀と再会した…いや、厳密には早紀の方が押しかけてきたのだが。かつて息子である真樹の事を捨てて家を出た早紀だが、そこでとんでもないお願いをして来た。
「ねぇ、お願い。もう一度親子としてやり直そう!あの時の事は謝るから!」
両手を合わせてそう真樹にすり寄る早紀。しかし、勿論真樹は首を縦に振らない。
「いや、無理だから。今更何言ってんの?」
「無茶なこと言ってるのは分かるわ!でも、私は本気よ!」
「知らないよ、そんな事。1億貰っても嫌だね。」
「もうあんな事しないって誓うわ!お願い、戻ってきて!」
勝手に不倫して出ていったのに、もう一度やり直そうなどと言う早紀に対し、真樹は呆れていた。あまりにもしつこく食い下がる早紀に軽蔑の視線を送ると、真樹は席を立った。
「ちょっと、真樹?!」
「帰る。話にならん!勝手に出ていった挙げ句、父さんの葬式にも来なかった奴の提案なんか乗れるか!」
そう突き放すように言った真樹は、自分の分のお茶代だけ置くと、そのまま店を出ていってしまった。
「ったく、やってられっか!」
怒りながら家に向かう真樹。家に着くと、正三と多恵が心配そうに迎えてくれた。
「真樹、大丈夫だったか?」
「変なこと言われてない?」
そんな二人に真樹は微笑みながら言った。
「大丈夫!とんだ無駄話だった。もう会うこともないだろ。」
真樹はそれだけ言うと、自室に戻って部屋着に着替える。
「はぁ…。」
真樹は溜息をついた。自分を捨てた母親にしつこく戻ってこいなどと迫られて、頭が混乱するのも無理はない。
「マジで、ふざけんなよ。俺と父さんの気持ちも知らないで。」
あまりに自分勝手な早紀に対し、真樹の心は怒りに満ちている状態だ。しかし、分からない事が一つあった。
「俺達を捨てて幸せになるとか抜かしといて、何で今更やり直そうなんて言ってきたんだ?」
自分達を置いて出ていってまで、早紀は不倫相手と幸せになると言っていた。それなのに、あそこまで必死に自分に戻ってきてくれと懇願する理由も分からなかったし、知りたいとも思わなかった。
「まぁ、いいや。あいつがどうなろうと、関係ないね!俺は知ーらないっと!」
そう言って自室を出て、今に来た真樹は気を取り直してテレビを点けた。しかし、後日さらなる悲劇が待ち受けていると、この時の真樹は予想できなかったのだった。
こんにちわ!
段々事態がややこしくなって来ましたね!
果たして真樹はどうなるのか?
そして早紀の目的は?
次回もお楽しみに!




