第184話 悪魔の再来?
こんにちわ!
段々暑くなってきましたね!
-およそ10年前 都内のとある家-
「じゃあ、私は幸せになるから!あんた達もせいぜい生き延びなさい。」
一人の女性がキャリーケースを持って出ようとしていたが、その時に男性と小学生位の男の子にそう言い放っていた。男性は女性に問う。
「最後の台詞がそれか。俺はともかく、真樹にも申し訳無いとかは思わないのか?」
男性の言葉に対し、女性は鼻で笑いながら言った。
「思わないわね!あんたと結婚して私の経歴に傷がついたし、真樹は完全な失敗作。私に黒歴史植え付けた事を謝罪して欲しい位よ。じゃあね。」
去ろうとする女性を男の子…当時7歳の真樹が追いかける。
「待ってよ母さん!僕と父さんを置いてかないでよ!」
しかし、女性は近づいた真樹を睨みつけながら張り手で突き放した。
「うっ!」
「真樹!」
男性が真樹を抱き抱える。そして、女性は怒りながら言った。
「近づくなクソガキ!あんたみたいな出来損ない、私の子じゃない!二度とその面見せんな!」
そう言って女性はさっさと出ていってしまった。泣き叫ぶ真樹を男性は優しく宥めていた。
-土曜日 AM6:00-
「うーん…。」
真樹は唸りながら布団から体を起こした。昨日の電話の事が中々頭から離れず、中々寝付けなかった上、やっと寝れたと思ったら…。
「嫌な夢を見た…。」
夢のせいで目覚めが悪くなっていたようだ。あまりいい気分とは言い難かったが、真樹は体を起こし、着替えと朝食を済ませて練習に向かった。
そして、大谷津学院のグランドにて。
「みんなおはよう!次の試合に勝てば来年春の選抜に近づける。気合入れていこう!」
「「はい!!!」」
関屋が真樹達野球部員に対し、そう言った。大谷津学院は秋季大会も好調で、来年のセンバツ高校野球出場を目指していた。因みに真樹もクラゲの毒から完全に回復し、他の皆と同じ練習メニューへの参加が許された。
「よーし、各自準備運動してからランニング!その後は打撃練習だ。」
関屋がそう言って練習開始。言われたとおり、準備運動、ランニングで体を温め、打撃練習の時間になった。
「そりゃ!」
真樹の番が回ってきて、彼はバッターボックスでボールを打ち返す。空振りは少ないが、長打コースもやや少なめと言う内容だった。
「ありがとうございました!」
真樹はそう言って打撃練習を終えた。そんな真樹に関屋が声をかける。
「湯川。悪くない。だが、俺はお前をクリーンアップで使おうと思っている。もっと力いっぱい振っていいんだぞ!」
「分かりました。すみません。」
関屋にそう言われて、真樹はベンチに戻ろうとした。その時、一年の丈と登戸が心配そうな表情で話している。
「今日の湯川先輩、なんか暗くない?」
「いつも無愛想だけど、今日は確かに元気ないよね。」
二人に心配されながら真樹はベンチに腰掛ける。すると、武司と伸治、沙崙が話しかけてきた。
「真樹、今日はテンション低いがどうした?クラゲの毒はもう大丈夫なんだろ?」
「また女子と喧嘩したか?いや、違うな。お前はそんな事で落ち込む奴じゃない。修学旅行の件は解決したし。」
「ねえ、真樹。悩んでる事あるなら話して。選手の心のケアもマネージャーの仕事よ!」
真樹はあまり話したくなさそうだったが、心配してくれる仲間に全部隠すのは気が引けると思い、抽象的ではあるが話す事にした。
「大した事じゃない。昨日悪い夢…しかも思い出したくない内容の物を見てな。少し頭に引っかかっていただけだ。」
真樹がそう話すと、三人は微笑みながら言った。
「まぁ、そういう時もあるよな。だが、今いるのは現実だから、そっちで流れを良くしようぜ!」
と言ったのは伸治。
「お前が元気ないと、次の試合も勝てる自信無くすわ。切り替えて元気出してこうぜ!」
と励ましたのは武司。
「私、来年春に台湾帰るんだから、その前にあと一回甲子園に行かせて!頼んだわよ、真樹!」
帰国まであと半年を切った沙崙もそう言った。
「お前ら…。そうだな。気にしてても仕方ない。心配かけて済まなかった。」
そう言った真樹の表情には僅かだが明るさが戻り、その後は守備練習等をこなしてこの日の練習を終えた。
練習終了後。
「じゃあ、俺帰るから。」
「じゃあな、真樹!」
「またねー!」
「再見!」
学校を出て、真樹達はそれぞれ帰宅していった。真樹は電車に乗り、最寄りの佐倉駅に到着して自宅に向かう。家までもう少しの所まで来た時、何やら大きな声が聞こえてきた。
「帰れ、どの面下げてきた!?」
「今更会わせるつもりはないわ!」
声に反応する真樹。物陰から隠れてみると、祖父母の正三と多恵が家の前で険しい表情をしているのが見えた。
「爺ちゃんに婆ちゃん…それともう一人いる?」
どうやら二人の口論の相手はそのもう一人の様だ。相手は40代後半〜50代と思われる女性と思われる。女性は二人に引き下がる様子を見せない。
「何よ!私だって血が繋がった家族よ!少し位話をさせてもらったっていいじゃない!」
「いいから帰れ!あの子は今いない!」
「いたとしても絶対に会わせませんからね!」
彼女の言葉と声に効き覚えがあった真樹。そして、意を決して3人の前に出てきたのだった。
「爺ちゃん、婆ちゃん。何してんの?」
真樹の言葉に正三と多恵が振り返る。しかし、それよりも先に反応したのは相手の女性だった。
「真樹?真樹でしょ?!久しぶり、会いたかった!」
「母さん…。」
相手はなんと真樹の母親だった。予期せぬ人物の再会はまた一騒動を巻き起こすのであった。
こんにちわ!さぁ、また新たなキャラが出てきました!
ひと悶着起きそうですが、どうなるのか?
次回もお楽しみに!




