第181話 地獄からの仕返し
こんばんわ!
先日は諸事情で更新できなくてごめんなさい!
修学旅行中にクラゲに刺され、入院する羽目になった真樹は一命を取り留め、無事千葉に帰還した。そして、帰還後初の登校日を迎えた。
「行ってきます。」
正三と多恵にそう言って家を出た真樹は、いつも通り電車に乗って成田駅に到着した。改札を出ると、聞き慣れた声が聞こえてくる。
「真樹!」
真樹が振り返ると、そこには慶がいた。休日中に杜夫と共に会ってはいたが、制服で会うのは久々である。
「オニィ…おはよ。」
「おはよ!無事に登校出来て何よりだよ。」
「当たり前だ。このままアイツらに好き放題されたまま、くたばれるか!」
「うん。ギャフンって言わせてやろうよ!」
そんな事を話しながら、二人は学校へと歩いて向かったのだった。
そして、2人は学校に着いた。他の女子生徒から白い目で見られているのを無視して真樹と慶は教室に入る。そんな真樹をクラスの女子達は一斉に非難した。
「おえー、湯川が来たよ!」
「来んじゃねーよ!」
「死ねよ、ゴミクズ!」
「お前のせいで犠牲になったクラゲに謝れ!」
「ろくでなし!」
「退学、退学!」
好き放題言う女子生徒達に対し、慶はアカンべぇをし、真樹は溜息混じりに挑発した。
「そう言っていられるのも今のうちだぞ。お前たちの方が、もうすぐ終わるんだからな。」
そう言った真樹。その直後、厄介者がもう一人現われた。
「おいおい、何で湯川がここにいるんだ?お前は沖縄で死んでいなきゃいけない人間なのに、しぶとく行きのこりゃがって!この俺がこの場で始末してやろうか?」
裕也だった。裕也は真樹が生きて帰ってきたのが気に食わず、鞄からカッターナイフを取り出して脅すようにそう言った。しかし、真樹は動じない。
「馬鹿か!ダサっ!始末されるのはお前だ、大和田!」
真樹がそう言った直後、背後がざわつき始めた。
「刑事さん、こちらです!」
杜夫の声と共に、その後をスーツを着た男性数人かついてきた。スーツの男性達は、真樹の鞄にクラゲを入れた4人の女子の前に立った。
「な、何よあんた達?」
「千葉県警の者だ。案内してもらった公津杜夫君のカメラの映像に、男子荷物置き場に入り込む君達が映り込んでいた。」
「だったら何なんですか?」
警察相手でも喧嘩腰の女子達。自分達の犯行だとバレない自信があるのだろう。しかし、刑事達も冷静に続けた。
「その海岸近くの茂みから、空の瓶が埋められているのが見つかった。そして、その中にはクラゲの細胞が残っていた。」
「加えて、表面には指紋が4つ付着していて、4つとも大谷津学院が宿泊していた一室の物と一致していた。その部屋に止まっていたのは君たちだよね?この意味分かる?」
4人は次第に冷や汗をかき始めた。しかし、その横で裕也が激昂しながら突進してきた。
「この糞ポリ公が!何の罪も無いこの子達を一方的に疑いやがって!人権侵害だ!俺がぶっ殺してやる!」
手に持っていたカッターナイフを振りかざして刑事達に切りかかろうとしたが、あっさりとカッターナイフを叩き落とされて取り押さえられる。
「痛ぇ!離せよ!俺にこんなことしてただで済むと思うな!死刑にしてやる!」
「はいはい、冗談も程々にね。取り敢えず、公務執行妨害で現行犯逮捕するから。」
裕也は喚き散らしながら刑事に連行されていった。一方の犯人の女子達はまだ言い訳を続けた。
「そんな、指紋なんて何かの間違いですよね。そもそも、私達が湯川君を殺す動機は無いですし、他に大した証拠もありませんよね?」
「見苦しいわよ、あんた達!」
背後からまた別の声がした。振り返ると、そこには美緒が仁王立ちしていた。
「これ聞いても、まだ言い訳できるっていうの?湯川君が病院に運ばれた日の夜のホテルでの音声よ!」
美緒はあの日、班長任務のホテル巡回の際、犯人の4人がホテルのロビーにいるのを見つけた。怪しい雰囲気を感じ取った美緒は、見つからないようにこっそり会話を録音していたのだった。
『もう、湯川死ななかったじゃん!クラゲの毒じゃ弱かったかな?』
『でもいいんじゃない?傷跡は付けたんだし、病院送りにはできたじゃん!』
『それに、瓶だってちゃんと埋めたし、バレるわけないわ!』
『湯川が倒れるのを見れただけでも満足よ!』
録音を聞き終えた後、4人は一斉に冷や汗をかきながら顔を真っ青にした。そして、美緒は誇らしげに言った。
「刑事さん、これって証拠になりますよね?」
「うん、勿論だよ!そういう訳で四人共、重要参考人として署まで来てもらおうかな。」
首謀の女子4人は刑事達に連れられて、警察署へと連行されて行った。その様子を、丁度登校して来た沙崙が見ていた。
「ねえ、真樹。あいつ等捕まったの?」
「そうだ。色々誤魔化してたみたいだが、もう終わりだろ。あと、大和田も暴走して捕まった。」
「そうなんだ。ザマァ無いわね!」
沙崙は笑いながらそう言った。そして、真樹は美緒の方を向いて言う。
「菅野。助かった。感謝する。」
「湯川君も病み上がりの中、証拠色々集めていたみたいね。修学旅行は中止になったけど、最後に班長らしくしたかったし。」
美緒はサラリとそう言った。そして、杜夫と慶も誇らしげに言った。
「フン、これでアイツらも終わりだな。偶然とはいえ、俺のカメラで真樹を救えて助かったぜ!」
「当然の天罰だよ。いくら誤魔化しても、神様はどこかで見ているってことを思い知らされたんじゃない?」
ホームルームの為に教室へ向かっていた立石も、裕也や主犯格の女子4人が逮捕される所を見ていた。しかし、立石も彼らにフォローすることなく、冷めた目で見送るだけだった。
「大方予想はついていたけど、やっぱり湯川君は悪くなかったのね。」
そして、教室に着くと復帰した真樹を見て微笑みながら言った。
「お帰りなさい、湯川君。」
「只今戻りました、立石先生。」
真樹もいつもの様なぶっきらぼうな様子でそう言った。命を落としかけた真樹だったが、負けずに逆転勝利を収めそうであった。
こんばんわ!
本編の更新が遅くなりました。
今月の更新はこれで最後です。
次回は4月初旬に本章のラストを掲載します。
お楽しみに!




