第177話 修学旅行打ち切り
こんにちわ!
久々の投稿です!
裕也の親衛隊の女子達の陰謀によって、クラゲに刺された真樹は宜野湾市内の病院に入院していた。取り敢えず一命は取り留めて容態も安定し、付き添いの立石も一度ホテルに戻ることになった為、現在病室には真樹一人である。
「まぁ、誰がやったかは何となく想像できるが、証拠が無いしなぁ。」
そう呟いた真樹。自分にこんな事をした人物に心当たりが無いわけではなかったが、決定的な証拠も無く、裁きを下したいのにそれができない事に困り果てていた。そして、数時間後。日が沈みかけた時に病室を誰かが訪ねてきた。
「どうぞ。」
ノックの音にそう返した真樹。すると、ドアが開き見知った顔が数人入ってきた。
「真樹!よかった、無事だったんだね!」
真っ先に駆け寄ってきたのは慶だった。真樹は少し驚いた顔で聞く。
「オニィ!それにみんなも…。どうしてここが分かったんだ?」
「立石先生に聞いて来た。みんなお前が心配だったからな。」
そう答えたのは杜夫だ。そして、沙崙が今にも泣きそうな表情で真樹の手を握りながら言った。
「本当によかった!倒れた時はどうなるかと思ったけど、無事で何よりよ!」
更に伸治と武史も微笑みながら言った。
「流石は真樹だな。クラゲ如きじゃ相手にならねぇよな!」
「俺達は信じてたぜ。お前がそう簡単にやられないってね!」
皆が真樹を励ます声を掛ける中、美緒が咳払いをしたあと前に出てきた。
「湯川君。無事で良かったわ。でも申し訳ないけど残念なお知らせをしなければならないの。」
深刻な様子でそう言った美緒。その経緯は、立石が真樹の病院から戻ってきた時まで遡る。
-数時間前-
「えー、皆さんにお話があります。」
ホテルの大広間に集められた大谷津学院の生徒達に対し、立石は険しい表情で言った。そして、深刻な声色で続ける。
「湯川君は一命を取り留め、今病院で入院しています。数日もすれば退院できるでしょう。」
その言葉を聞いて、慶は安心した表情で言った。
「よかった!真樹が無事だった!」
しかしその一方、裕也や他の女子達は不満そうに文句を言い始めた。
「はぁ?!マジかよ、つまんねえ!やっと邪魔者が死んで楽しい修学旅行になる所だったのに!」
「もう、最悪!なんでこんなにしぶといのよ!」
「まるでゴキブリじゃん!」
「やめなよ!湯川と比べたらゴキブリが可哀想よ!」
慶達以外は立石や他の教員達にブーイングを浴びせ始めた。それに対し、立石はものすごい剣幕で怒鳴った。
「うるさい!静かにしなさい!とにかく、こうなった以上もう修学旅行を続ける事はできません!他の先生やガイドの玉城さんとも話し合って、本日で修学旅行を打ち切り、明日の夕方の便で千葉に帰ります!異論反論は一切認めません!」
立石のその言葉に、裕也は立ち上がって顔を真っ赤にして怒り始めた。
「ふざけんじゃねぇよ!湯川がいなくなって楽しい修学旅行になるタイミングで打ち切りだぁ?!そんなの認められるわけ無いだろ!この子達の気持ちを踏みにじりやがって!教師失格だ!クビにしてやる!」
「そーだ、そーだ!」
「ろくでなし!」
「鬼、悪魔!」
「帰りたきゃ、お前らだけで帰れよ!」
「湯川が悪いのに、なんで私達まで巻き込まれなきゃいけない訳?」
「立石のクソババァ!海に沈んでサメの餌になれ!」
裕也の言葉に親衛隊の女子達が続く。頭に血が上った裕也達は暴言と共に周りにあったホテルの備品を立石達目掛けて投げつけ始めた。その状況を見て、美緒が怒りながら止めに入る。
「やめなさーい!あんた達、状況分かってんの?こんな事になって、何事も無かったかのように続けるなんて無理に決まってるでしょ?!」
更に杜夫、武史、伸治も仲裁に加わる。
「おい、お前ら!馬鹿な真似はよせ!」
「人一人死にかけたんだぞ、逆ギレしてんじゃねぇよ!」
「おい、馬鹿!物を投げるな!物を!」
そして、沙崙は悲しい表情で怯えたように言った。
「なんで、こうなるのよ?真樹も、先生も何も悪くないのになんでここまで言われなきゃならないの?」
こうして、暴動はホテルのスタッフ十数名が駆けつけて仲裁に入るまで続き、その結果大広間は物が散乱し、立石や他の教員も軽く負傷する等滅茶苦茶な状況になったのだった。
「そうだったのか。それは酷いな。」
事の経緯を美緒から聞いた真樹は、厳しい表情でそう言った。
「本当に酷いよね!どっちが雰囲気ぶち壊してんだか!」
「俺も、あいつ等と修学旅行続ける気にならないから、打ち切りで正解だと思った。」
慶と杜夫はそれぞれの気持ちを言った。そして、沙崙はプリプリと怒りながら言う。
「でも、本当に許せない!あのクラゲだって、絶対に誰かが仕掛けたに決まってる!見つけて、袋叩きにしてやるんだから!」
その言葉に、美緒が申し訳なさそうに言った。
「私もそうしたいけど、決定的な証拠が無いわ。悔しいけど、今は手も足も出せない状態よ。」
残念そうにそう言った美緒に対し、真樹が口を開く。
「安心しろ。ここまでやられたんだ。俺が絶対に証拠を掴んで、奴らを処刑してやる。」
「何か手がかりがあるのか?」
「あいつ等、自分たちは何も悪くないって今でも言い張ってんぞ!」
武史と伸治がそう言ったが、真樹は目に強い意志を宿しながら言った。
「今は無い。だが、あれだけ雑で大胆なやり方に、証拠が残らない訳がない。絶対に真犯人を突き止めて制裁を下してやるからよ!」
そう言い切った真樹。彼は敗北を喫しても、決して泣き寝入りする事が無いと心に強く思っていたのだった。
こんにちわ!
えー、ますます大変な事になりました。
真樹は一体どうするのか?
次回もお楽しみに!




