第175話 悔しい…!
おはようございます!
2月最初の投稿です。
大谷津学院の修学旅行は、今とんでもない状況と化していた。真樹をよく思わない女子生徒の手によって、真樹はクラゲに刺され、気絶したまま宜野湾市内の病院に立石に付き添われて搬送された。
「患者は17歳男性。左手をクラゲに刺されて意識不明。呼吸低下!」
「酸素マスクを!それと点滴も忘れるな!」
「湯川さーん、分かりますか?!病院着きましたよ!」
医師や看護師は真樹を救おうと懸命に治療し、真樹にも声掛けをしている。今の真樹は辛うじて呼吸をしている程度でまだ意識は戻らない。だが、その後の懸命な治療によって何とか容態を安定させることは出来たのだった。
「先生、脈拍及び呼吸が安定してきました。」
「良かった。すぐに病室に運ぼう。」
医者はそう言うと、ストレッチャーに真樹を乗せて病室に入れるために治療室を出る。すると、外には付き添っていた立石が心配そうな表情で近づいてきた。
「せ、先生!湯川君は大丈夫なんですか?」
「最初はどうなるかと思いましたが、ご安心ください。もう容態は安定してます。薬が切れたら目が覚めるでしょう。」
「よ、良かった…。」
医者の話を聞いた立石は、そう言いながらその場に座り込んだ。
「にしても、聞いた話だと鞄の中にクラゲがいたみたいなんですが、どうしてそんな事に?しかも、あのクラゲはに毒性が強いハブクラゲですよ。」
「わ、分からないんです…。私も何がなんだか…。」
真樹はまだ眠っているし、立石もこれが親衛隊の女子生徒による陰謀であるとまだ気付いていない。深まる謎に医者も立石も首をかしげるしかなかった。
それからおよそ1時間後。
「んん…はっ!」
ようやく意識を取り戻した真樹は、少し驚いた様子で飛び起きた。周りを見回すとそこは病室で、ベッドの脇には立石と医者、看護師が数人いた。
「こ、ここは…俺はどうなったんだ?」
「ゆ、湯川君!良かった、無事で!」
状況が読めていない真樹に立石が安心した様子でそう言った。そして、真樹が左手に巻かれている包帯をふと見ると、医師から説明が入る。
「君はハブクラゲに刺されて、その毒にやられたんだ。クラゲは何故か君の鞄の中にいたらしいんだけど、何か心当たりはあるかい?」
医者の言葉を聞いて、真樹は何かを悟ったような表情を浮かべた。そして、目を伏せながら話した。
「無いですね…。でもまぁ、誰がやったかは何となく想像付きますけど、取り敢えず死ななくて良かったなって思います。」
真樹はそう言うと、再びベッドに寝転がった。医者は何かあったら呼ぶように伝え、真樹と立石を残して病室から出ていった。
「湯川君!良かったわぁ…先生ずっと心配してたんだから!」
「ご迷惑をお掛けしました。」
「でも、一体どうして湯川君の鞄の中にクラゲなんか入っていたのかしら?」
「分かんないですけど、まぁ俺の事をよく思わない女子の仕業でしょうね。」
「それが本当だとしたら、ひどい話ね!なんてことを!」
立石も真樹の話を聞いて怒りが込み上げてきた。そして、真樹は悔しそうな表情を浮かべる。
「俺のミスだ。俺がもっと警戒していればこんな事にならなかったのに!くそぅ…!」
「湯川君、あんまり自分を責めないで!こんな事、誰も予想できる訳無いんだから!」
「でも、この俺が…この俺があんな女子達に負けるなんて…!」
真樹は苦虫を噛み潰した表情を浮かべ、左手の痛みを堪えながら拳を握りしめた。そして、目を釣り上げながら言った。
「絶対に、許せない!」
怒りを込めてそう言った真樹。今までどんな仕打ちも回避してきた真樹だったが、今回は完全敗北だった。
おはようございます!
真樹の悔しそうな様子、なんとも言えませんでした。
リベンジの機会はあるのか?
次回もお楽しみに!




