第172話 地獄はすぐそこにあり
おはようございます!
久々に雨が降りましたね。
沖縄の修学旅行を楽しむ真樹達大谷津学院2年生。しかし、その裏で恐ろしい事が起ころうとしていた。真樹の事をよく思わない裕也の親衛隊の女子達が真樹を抹殺すべく行動をしていたのだった。
「あいつの荷物は覚えてる?」
「勿論よ。ちゃんとチェックしていたもん。」
女子達はそう話しながら、誰の居ないのと真樹が気付いていない事を確認して、休憩スペースの荷物置き場に近づいてきた。生徒達は服や貴重品等はロッカーに入れていたが、海岸で使う遊び道具や飲み物等の荷物はこちらに置かれている。
「えーっと、湯川のは…これよ!」
「よーし、仕掛けちゃえ!」
そう言って、親衛隊の女子の一人がずっと持っていた瓶の中から何かを取り出して真樹の袋に入れた。誰のものかすぐにわかるように、それぞれにネームタグが付けられている。
「これでOK!」
「フフフ…これであいつももう終わりね!」
「死んじゃえ、湯川真樹!」
「ようやく邪魔者を消せるわ!」
「じゃあ、行こう!裕也くんが待ってるわ!」
女子達は楽しそうに話しながら、海岸の方へ戻って行ったのだった。
一方その頃、真樹はそんなこととはつい知らず、自由行動を楽しんでいた。
「そりゃあ!俺の勝ちだ!」
「くそぅ、見かけによらず動けるな。真樹。」
真樹は伸治とビーチフラッグスの対決をしていたのだが、結果は真樹の勝利。伸治は悔しそうにしていた。
「僕もやる!これなら自信あるよ!」
慶は対戦を申し込み、真樹と勝負になったのだが…。
「やったー、僕の勝ち!」
「あー、やっぱり無理だ。」
「へへ!さっきの水泳は負けたけど、今度はリベンジしたよ!」
「多分、この中でオニィにビーチフラッグス勝てる奴いないと思う。」
陸上の短距離で全国に行った慶に勝てる訳がなかった。そして、その近くで…。
「おい、杜夫。いつまで焼くつもりだ?」
「俺、色白すぎて貧弱に見えるからモテないと思うんだ。だから、少しでも焼いて黒くすればモテるはず!間違いない!」
杜夫はサングラスをかけた状態で砂浜に寝そべって肌を焼いていた。その様子を武史が苦笑いしながら見ている。
「あーあ、結局ガッキーにも比嘉愛未にも会えないまま三日目になっちまったよ。」
「まぁまぁ。流石にそれはレベルが高すぎるって。でもうちにも今水着美女が目の前にいるじゃねぇか。」
杜夫は武史にそう言いながら、美緒と沙崙の方を見た。どうやら美緒が海中で何か見つけたらしく、沙崙もまじまじと見ている。
「これ、ナマコよね。水族館以外で初めて見たかも。」
「ホント?これ、酢漬けで食べると意外と美味しいのよ!」
「え、食べるの?」
「うん!美緒も一度食べてみるといいわ!」
「き、機会があれば…。」
そう言って美緒は手に持っていたナマコを海に逃し、沙崙と共に海から上がった。ちょうどその時、砂浜では真樹達がビーチバレーをしていたのだった。
「真樹!」
「任せた!」
真樹と慶、伸治と杜夫のペアで戦っていたのだが、真樹・慶ペアの息の合ったプレーで杜夫・伸治ペアを圧倒している。
「おりゃあ!」
「やったー!ナイス真樹!」
真樹のスパイクが決まり、杜夫達との点差がまた開いたのだった。
「くそぅ、この二人強すぎんだろ。」
「はぁ、はぁ…。もう無理。俺、やっぱり運動だめ…。」
悔しそうな伸治と、すっかりバテている杜夫。それを見かねた美緒が声を上げて近づいてきた。
「もう!見てられないわ!公津君、私と代わりなさい!」
「す、菅野…。助かる。もう限界。」
杜夫はよろよろとコートを出て、その後に美緒が入ってくる。
「武史、お前も俺と代われ。俺、ビーチバレーのセンスないわ!」
「おう、任せた!」
伸治も審判をしていた武史と交代し、沙崙が審判になった。
「選手交代か。いくらバレー部エースの菅野も、ビーチバレーじゃ勝手が違うんじゃないか?」
「ふん!コートある所に菅野美緒ありよ!例え砂浜でも、私が負ける訳ないわ!」
挑発する真樹に対し、美緒は自信満々にそう言い返したのだった。
「僕だって今日は絶好調だよ!このまま逃げ切るからね!」
「ゆうて俺もビーチバレーあんまりやったことないんだが、大丈夫なのか?」
半分勝ちを確信した慶と、少し心配そうにそう言った武史。そして、試合が再開したのだが。
「菅野、お願い!」
「任せなさい!そりゃあ!」
慶のサーブを武史がトスしたと思ったら、美緒は強烈なスパイクを決めた。あまりの威力に流石の真樹も一歩も動けなかった。
「なっ!」
「ふん!」
唖然とする真樹に美緒がドヤ顔を向ける。その後も美緒は次々と得点を決め、最終的には大逆転勝利を収めていた。
「どう?私の実力が分かったでしょ?」
「おお、俺レシーブしかしてないのに勝った!」
決め顔の美緒に対し、武史も嬉しそうにそう言った。一方の真樹と慶は少し悔しそうにしていた。
「あー、駄目だ。菅野を舐めていたわ。完敗だな。」
「うぅ、逃げ切ろうと思ったのに悔しい!」
試合を終え、コートを出た真樹は少し喉が乾いていた。
「喉乾いたから水飲んでくるわ。」
そう言って休憩スペースの荷物置き場にやってきた真樹は、タオル等も一緒に入っている青い防水バックを手にとった。そして鞄に手を入れて水を取ろうとしたのだが…。
「うっ…!」
突如、今まで感じた事が無い衝撃が襲ってきた。そして、鞄に手を入れたままその場に倒れ込んだ。
「な、何だこれは…?くそぅ…痛い…目が…眩む。」
助けを呼ぼうにも体が言う事を聞かない。何が起こったか分からない真樹は、そのままどんどん意識が遠のいていったのだった。
おはようございます。
最後、真崎に何が起こったのでしょうか?
次回もお楽しみに!




