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真樹VS女子  作者: 東洋連合
Episode10 死の修学旅行
166/326

第163話 沖縄初夜

おはようございます!

最近冷えてきましたね!

-18:00 糸満市のホテル-

 首里城公園での真樹と裕也の口論によって、スケジュールに遅れが出ると言うトラブルがあったものの、その後は特に事故なども無く、真樹達を乗せたバスは平和記念公園を出発し、そのまま糸満市のリゾートホテルに到着した。

「みんな、お疲れ様!1時間後に夕飯だから、まずは部屋で荷物を置いて来てください。夕飯の時間には遅れないでね。それと、他のお客さんに迷惑を掛けないように!」

 立石は真樹達A組の生徒達にそう忠告しながら、バスから降りていく生徒の人数確認を行った。他のクラスも全身が下車し、事前に決めていた部屋の最終確認を終えた後、各生徒にホテルのスタッフが鍵を渡した。真樹も鍵を受け取ると、同部屋である杜夫と共に鍵を開けて入室した。

「うおぉ、いい部屋だ!あ、ベッドがある!ダーイブ!」

 杜夫は部屋に入って荷物を置くなり、備え付けのベッドに飛び込んで行った。真樹は荷物を置きながら溜息混じりに言う。

「小学生かお前は。まぁ、ハプニングはあったが無事に着いてよかった。」

「首里城で大和田とドンパチした時はどうなるかと思ったけどな。あれからあいつ少し大人しくなったから良かったぜ。」

 あれから裕也は少し不機嫌だったが、特に真樹に絡んだりその他トラブルを起こす事は無かった。真樹は裕也の事を思い出しながら、真顔で言った。

「あいつの事だ。大人しくしてても、本心で反省なんかしているわけが無い。」

「だろうな。困った奴だぜ。」

 呆れ顔でそう言った真樹と杜夫。その後、二人を含む各生徒や引率教員達は夕飯までの時間をゆっくり過ごした。


-19:00 同ホテル内食事会場-

「やったー!ようやくご飯だー!」

 食事スペースに到着するなり、満面の笑顔でそう言ったのは慶である。食事はバイキング形式で、各生徒の座る場所は自由だが、一角に大谷津学院の貸し切りスペースが設けられており、あくまでその範囲内での話である。真樹は杜夫や慶達と共に座る場所を決めると、皿とコップを持って食事を皿によそった。メニューは色々あったが、やはり沖縄名物のゴーヤチャンプルーを選んでいる。

「け…慶、それ全部食べる気?」

「勿論、移動とかで疲れてお腹減っちゃったんだもん!」

 バイキングコーナーにあった殆どの種類の料理を持ってきた慶。そのテーブルの上を見た美緒は驚きながらそう言った。そして、全生徒が席に付いたタイミングで立石ら教員によるホテルでの注意事項等の説明を受けた大谷津学院の生徒達は、改めて食事を始めた。

「頂きます。」

 真樹はそう言ってまずは白飯から食べ始めた。その後、味噌汁とゴーヤチャンプルーを口に運ぶ。

「うん、美味いな。流石沖縄だ。」

 その隣に座っていた沙崙も食べた瞬間笑顔になった。

好食ホウジャ(台湾語で美味しいの意味)!いいわね!私が知ってる日本料理と全然違う。もう気に入ったわ!」

 沙崙は満足気な様子でそう言った。その向かいに座っていた美緒は少し疲れた様子で言った。

「でも疲れたわ。地元と違って暑いし。熱中症と日焼けに気をつけないといけないわね。」

「確かに俺、少し焼けたかも。朝になったらかっこよく焼けてたりして。」

 美緒の言葉に乗っかった杜夫がご機嫌な様子でそう言った。それに対し、伸治がやれやれといった表情で口を開く。

「いや、俺は今更日焼けはいいや。甲子園で日焼けしまくったし、これ以上焼けたら水膨れできちゃう。」

「手に水膨れと豆は作るなよ、次期エースピッチャー。」

 真樹が鋭くそう突っ込んだ。同じテーブルにいた武史の方もかなりご機嫌な様子である。

「まぁ、でもなんだかんだで楽しいし、いいじゃねぇか。にしても、ホントに美味いな。この料理。」

 各々ホテルの食事メニューには満足な様子だ。そして、一番喜んでいる慶は、満面の笑顔で大量の料理を食べ続けていた。しかし、そんな時に裕也が親衛隊の女子と共に料理を持って現れ、慶を見ながら挑発してきた。

「おい、見ろよあの量と食い方!品性も女子力もかけらもねぇじゃん!マジでダサいし、見てて恥ずかしいわ!」

「ホント、鬼越さんって可愛くないってか下品だよね。」

「あんな女になりたくないって言う悪い見本よね、あの子。」

 裕也の言葉に取り巻きの女子達も賛同した。勿論その声は慶の耳に届いており、慶は裕也達を見ると、口を閉じたまま手を振り上げて睨み返す。

「んー、ん!んー!」

「おい、汚いブタ女がなんか言ってるけど、わかんねぇから行くぞ!あんなのに関わったらメシが不味くなる。」

「うん!行こ行こ、裕也くん!」

「後で、あーんってしてあげるね!」

 口の中のものが残ったまま唸り声をあげる慶を尻目に、裕也と女子達は自分の席に行ってしまった。怒り気味の慶を真樹が宥める。

「おい、オニィ!こっちもあんな奴相手にする事無いぞ。でもまぁ、お前…食い過ぎ!」

 口の中のものを胃袋に押し込み、水を飲んだ慶はプリプリ怒りながら言った。

「だって、だって!料理みんな美味しいし、長旅でお腹減ったんだもん!それに、いくらなんでも下品とかブタとかは言いすぎじゃない?!」

「慶、取り敢えず落ち着こう!それに、あんまり食べ過ぎるとお腹壊すから気をつけて!明日もあるんだし!」

 美緒も慶の肩を撫でながら慰めた。その後、食事を楽しんで満腹になった真崎達は、ご機嫌な様子で一度それぞれの部屋に戻っていった。


 夕飯後…。

「やったー、お風呂だ!大浴場っていいよね!」

 食事の時と同様に、ご機嫌な様子で慶はそう言った。ここはホテル内の女性大浴場。慶、美緒、沙崙の3人は部屋に戻った後、ジャージに着替えて入浴に来たのだった。3人は服を脱ぎ、浴場に入ってシャワーで体や髪を洗うと、温かいお湯に満たされた巨大な浴槽に体を沈めた。

「ああ…最高だよ!体動かした後、思いっきりお湯に浸かれるっていいよね!」

「分かるわ!疲れた筋肉を一気にリフレッシュできるわよね!」

 慶の言葉に美緒も賛同した。そして、沙崙も満面の笑みを浮かべて言った。

「台湾ってお湯に浸かる習慣無いんだけど、こんなの知ったらもう戻れない!日本のお風呂最高!」

 3人とも、ホテルの大浴場には満足している様だった。そして、沙崙は美緒の方を見ながら言った。

「それにしても、美緒って肌綺麗だよね。胸も大きいし、女優さんみたい!」

「や、やめてよ恥ずかしい。沙崙も肌に艶があるし、髪の毛綺麗だし羨ましいわよ。」

 沙崙の言葉にそう言い返した美緒だが、満更でもなさそうである。更に慶も続いた。

「ホントだ。スベスベ〜。いいなぁ。」

「慶ったら、何くっついてんのよ!あ、あんたも手足長くて筋肉も丁度良くついてて、いい体してるじゃない!」

 体に身を寄せてきた慶に対し、美緒は恥ずかしそうにそう言った。その後、3人は浴槽内で楽しく話した後、風呂を出て部屋に戻っていった。


 一方こちらは男性大浴場。真樹、杜夫、伸治、武史の四人も大浴場に入浴しに来た。服を脱ぎ、体を洗って巨大な浴槽に入ろうとした時、杜夫が真樹達3人を凝視してきた。

「じーっ。」

「ん、どうかしたか?杜夫。」

 真樹の質問に杜夫はうんうんの頷きながら答えた。

「いやー、やっぱり運動部…しかも甲子園に出た野球部員は違うなーって思って。3人ともメッチャ筋肉ついてるな。」

 練習時間が他の学校に比べて少ないとはいえ、それでもやはり野球部員。関屋の工夫により、短い時間の中で効率よくトレーニングも行っている。

「そうだ!ピッチャーの筋肉舐めんなよ!来年こそはこの鍛え上げられた体で、決勝まで投げ抜いてやるぜ!洛陽の三条にも投げ勝つ!」

 そんな伸治に真樹はツッコミを入れる。

「いや、無理されてエースに故障されても困る。それと気が早い!甲子園に出てから言え!」

 武史はというと、杜夫の細くて筋肉が少ない体を見ながら笑顔で言った。

「フフフ…その体、運動不足だな。じゃあ、俺がこの場でいいトレーニングをしてやる。」

「い、いや…大丈夫です!さっきのは何でもありません!」

 真樹達男性陣も大浴場での入浴を充分に堪能し、初日の疲れを癒やしていたのだった。


-22:00 真樹と杜夫の部屋-

「消すぞー、杜夫!」

「ああ…お休み、真樹。」

 消灯時間になり、真樹と杜夫の二人はベッドに寝転がった。波乱もありつつ何とか初日を乗り切った真樹。初めての沖縄、長距離移動、裕也とのトラブル等色々な事があり、疲れが出ていた真樹は杜夫と共に翌朝まで深い眠りに就いたのだった。

おはようございます!

今回は少し、サービスシーンを入れてみました。

次回は修学旅行2日目になりますが、果たしてどうなるのか?

お楽しみに!

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