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真樹VS女子  作者: 東洋連合
Episode10 死の修学旅行
165/328

第162話 平和への祈り

おはようございます!

今月初投稿です!

 修学旅行で沖縄を訪れた真樹達。無事に那覇空港へ到着した彼らは、そのまま首里城公園に来ていた。修繕中の正殿周辺以外にも見所はたくさんあり、真樹は慶達と公園内を回っていた。そして、集合時間が近付いたのでみんなで入口の杜館前に戻ってきた。

「ソフトクリーム美味ぇ!」

「本当にアイス屋あったよ…。」

 美味しそうにソフトクリームを食べる杜夫に対し、真樹は少し驚いた感じでそういった。因みに真樹もソフトクリームを購入している。

「でも色もキレイだし、美味しいよ!この首里城ソフト!」

 慶が嬉しそうにそう言った。今回購入したソフトクリームは普通のソフトクリームではなく、首里城ソフトと言う限定販売のソフトクリームである。ピンク、白、黄色の3色で出来ているのが特徴で、観光客に人気の品である。因みに、美緒や沙崙、武史と伸治も購入していた。

「にしても、もうすぐ集合時間なのに大和田君達遅いわね。何かしでかしてなければいいけど。」

 美緒が眉をひそめながらそう言った。現在時刻は14:20であり、集合時間である14:30まであまり時間がない。にも関わらず裕也と親衛隊の女子達は戻って来なかった。そして、集合時間丁度になっても裕也達は現れず、更に5分が過ぎた。ガイドの玉城も困り果てている。

「あのぉ…そろそろ出発しないとこの後のスケジュールが…。」

「すみません、すみません!うちのクラスの生徒が申し訳ありません!」

 裕也の担任である男性教師が頭を下げている横で、立石もイライラしていた。

「全く、大和田君ったら…。どれだけ好き放題すれば気が済むの?」

 そして、集合時間から10分が過ぎた頃にようやく裕也達が現れた。

「あー、楽しかった!夜はみんなでゲームやろ!」

「さんせーい!」

「夜も裕也くんと遊べるなんてサイコー!」

 集合時間に遅れたにも関わらず、急いでいる様子も反省する様子も見られない裕也達。裕也のクラスのであるC組の担任教師は彼らを注意した。

「おい、お前たち!集合時間10分も過ぎてるんだぞ!ちゃんと時間守って行動せんかい!」

「えー、ちゃんと戻ってきたんだから別にいいじゃん。たかが10分位でうるせぇって。」

 裕也は全く反省の色が見えなかった。そして、親衛隊の女子達も男性教師に反抗する。

「そうよ、そうよ!」

「いちいちうるさいわよ!」

「裕也くん、理不尽に怒られて可愛想!」

「そっちが謝れ、クソ教師!」

 裕也と親衛隊の女子達のあまりの横暴さに対し、先に堪忍袋の緒が切れたのは真樹だった。

「おい、お前らいい加減にしろよ!迷惑掛けておいて、その態度マジで無いから!」

 怒りながらそう言った真樹を裕也はよっぽど気に入らなかったのか、真樹に近づいて胸倉を掴んだ。

「ああ?湯川の分際でこの俺に説教するってのか?!非モテのクズのくせに、この俺に楯突いたらどうなるか分かってんだろうな?」

 裕也はそう言うと左腕で真樹にヘッドロックを掛け、右手で真樹の頭や顔を殴り始めた。

「何考えてんだバカ!修学旅行中だぞ!」

「うるせぇ!お前みたいなキモいやつが修学旅行にいる方が迷惑なんだよ!ここで死ね!」

 真樹に注意されても裕也は攻撃をやめない。そんな裕也に親衛隊の女子達は声援を送り、真樹には罵声が浴びせられた。

「裕也くん、いけー!」

「説教にも負けなくて、カッコいい!」

「湯川を殺せー!」

「害虫駆除よ!」

 その様子を見て、慶と美緒が怒りながら飛び出して行った。

「みんな何考えてんの?もうやめなよ!」

「みっともないわよ!いい加減にしなさい!」

 真樹と裕也の仲裁に入った二人を杜夫達も援護する。その後、二人は引き剥がされてそれぞれの担任の所に行った。

「湯川君、騒ぎを起こさないで…って言いたい所だけど今回は気持ち分かるわ。でも、こういう時は先生に任せて頂戴。」

「はい、すんませんでした。」

 もみくちゃになり、制服も乱れて顔にアザをこしらえたまま、真樹は立石の話を聞いていた。そんな真樹に武史と伸治が心配そうに声を掛けてきた。

「おい真樹、大丈夫か?」

「全く…あいつらのせいで、とんだ修学旅行になりそうだな。」

「いや、いい。気にすんな。バカの事を気にしたって何の意味も無い。」

 真樹は不機嫌さを隠しきれない様子でそう言った。その後、何とか騒ぎは収まり、大谷津学院一同を乗せたバスは予定より30分遅れで出発したのだった。


 

(な、何なのこの学校?)

 出発したバスの中で、ガイドの玉城は大谷津学院2年のあまりに異様な雰囲気に頭がついて行けず、心の中でそう呟いた。彼女はA組のバスに乗っていたのだが、その時に立石が謝りに来た。

「先程はうちの生徒がご迷惑をお掛けしました。申し訳ありません。」

「い、いえ。大丈夫です。先生は気にしないで下さい。」

 そうは言ったものの、経験した事が無い雰囲気に飲まれて、玉城はすっかり疲れ切っていた。そして、その後ろでは真樹が隣に座る杜夫に心配されていた。

「真樹、本当に大丈夫なのか?傷だらけだぞ。」

「気にすんな。この程度で参る俺じゃない。」

 真樹は杜夫にそう言った。そして、斜め上の席に座る沙崙も心配そうに声掛けてきた。

「でも真樹、痛々しいわよ。後で痛いの痛いの飛んでいけーってやってあげるからね。」

「いや、俺もうそんな歳じゃないし、そんなんじゃ怪我治んないぞ。」

「冗談、後で絆創膏あげる!」

 沙崙とそのようなやり取りをした真樹。その後、一行を乗せたバスは南の方へ移動していった。


-16:00 糸満市、平和記念公園にて-

「えー、予定が遅れてしまいましたが、こちらが平和記念公園です。今から自由行動ですが、ここは戦死した方の慰霊碑もありますので、くれぐれも騒がないように。」

 玉城は少し疲れた様子でそう言い、生徒達はそれぞれの好きな場所に移動していった。

「ハァ…行こうぜみんな。」

 裕也は不機嫌な様子でそう言って、親衛隊の女子達と何処かへ行ってしまった。それでも先程の事で注意されたこともあってか、おとなしくしている。

「真樹!」

「どうした、オニィ?」

「僕達も行こう!さっきの事は気にしなくていいよ!悪いのは向こうなんだし!」

「ああ、行くか。それと、さっきの事は気にしてないから大丈夫だ。」

「なら良かった!」

 慶はそう言うと真樹の手を引き、首里城の時と同じ面子で平和記念公園を回った。あまり時間が無かったが、資料館を少し見た後、平和の礎を一通り見て、平和の火の所で休憩を取っていた。

「ああ…なんか腹減った。真樹、俺アグー豚食いたい!」

「何で俺に言うんだし?」

 腹を空かせ、疲れ切った武史に真樹は苦笑いしながらそう言った。そこに美緒が現れた。

「大丈夫よ。この後はホテルに行くし、休憩後に19:00から夕飯だったはずよ。」

 美緒がそう説明すると、杜夫と伸治が嬉しそうな表情を浮かべて言った。

「マジか。海ぶどうとタコライス出ないかな?」

「俺はゴーヤチャンプル食いたい!沖縄って言えばやっぱりこれだろ!」

 その後ろでは、慶と沙崙がご機嫌な様子で海に沈む夕日を見ていた。

「色々あって疲れたけど、沖縄楽しいね!夕日もキレイだし!」

「この海の更に先に私の故郷、台湾があるわ!お父さんとお母さんが見守ってくれている感じがして安心するかも。」

 まだ初日だが、一同は概ね沖縄修学旅行に満足している様だった。真樹は海の遥か先に沈む夕日を見ながら呟いた。

「果たしてこの修学旅行、俺は平和に過ごせるのだろうか?そうなって欲しいのが本音だが。」

 昼間の裕也との騒動もあり、真樹は先行きに不安を隠せないでいた。それでも、折角の修学旅行なのでやはり最初から最後まで平和でいたい。そう願っていた。

おはようございます!

早速ですが、小競り合いが起きてしまいました。

真樹の平和への願いは届くのか?

次回もお楽しみに!

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