第160話 いざ沖縄へ
こんにちわ!
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朝、真樹はいつもより早めに目が覚めた。布団から体を起こし、窓を開けて伸びをする。
「ん〜。よし、いい天気だ。フライトには問題なさそうだな。」
外が晴れているのを確認した真樹はそう言った。この日はいよいよ、街に待った沖縄修学旅行の出発日なのである。寝間着から制服に着替え、荷物をチェックしてから真樹は祖父母がいる居間へ向かった。
「おはよう、真樹!」
「ご飯出来てるわよ。」
「うん、ありがとう。」
真樹も食卓に座り、ご飯と味噌汁、目玉焼きを食べた。
「真樹、今日は修学旅行だろ?沖縄は暑いから、熱中症にきをつけてな!」
「いっぱい楽しんできてね!あと、もし見つけたらお土産に島唐辛子よろしくね!」
「あと、ハブ酒も頼んだ!」
「爺ちゃん…俺未成年だから買えねぇって。」
「そうよ、何言ってんの?」
賑やかな朝の食卓で時間を過ごした真樹は、最後にもう一度忘れ物が無いかを確認し、リュックとキャリーケースを持って家を出た。
「じゃあ、行ってきます!」
「行ってらっしゃい!」
「気をつけてね!」
正三と多恵に見送られて、真樹は家を出た。ゴロゴロとキャリーケースを転がす音を朝の住宅街に響かせながら真樹は駅に向かい、電車に乗って成田空港第1ターミナルに向かった。電車を降り、国内線のチェックインカウンター前に到着すると、既に立石を含む各クラスの引率教員、旅行会社の添乗員の他、何人かの生徒が先に到着していた。その中に美緒もいた。真樹は到着すると、 まずは立石の所に向かう。
「おはようございます、先生。」
「おはよう、湯川君。体調は大丈夫?」
「勿論ですよ。」
「なら良かったわ。取り敢えず、一旦班別に集まってくれる?」
「わかりました!」
そう言って真樹は美緒のもとに向かう。真樹に気付いた美緒は声を掛けてきた。
「あ、湯川君おはよう。」
「おう。早いな。」
「班長だから当然よ。」
「他の奴らは…まだ来てないみたいだな。」
「そうね…慶と沙崙ならともかく、公津君は大丈夫かしら?」
美緒は心配そうにそう言った。すると、5分後に慶と沙崙が現れるた。
「おっはよー、真樹に美緒!」
「ガウザー(台湾語でおはようの意味)!いよいよ今日ね!」
「オニィに沙崙。一緒だったのか。」
「うん、成田駅ついたタイミングでね!」
「空港か…前にお父さんとお母さんを見送って以来ね。」
「おはよう、慶に沙崙。後は、公津君だけね。」
集合時間まではまだ30分程あった。しばらく待っていると、杜夫が目の下にクマをこしらえた状態で現れた。
「おはよう…みんな。」
「おう…ってどうしたんだ杜夫?」
真樹が少し心配そうに杜夫に尋ねる。
「いやぁ、寝坊するのが怖くて色々考えてたら殆ど寝れなかった。」
そんな杜夫に美緒は溜息混じりで言った。
「もう、子供なんだから。取り敢えずうちの班はみんな来てるわね。先生、菅野班は全員集合です!」
美緒は立石に集合の報告をする。そして、その傍らで一際騒がしい所があった。
「ウェーイ、みんなノッてるかー?」
「イェーイ!」
「裕也くんと修学旅行なんてサイコー!」
最早、学校1のイケメンである裕也の独裁国家と化しているC組だった。裕也とその取り巻きの女子達が人目もはばからず馬鹿みたいに騒いでいる。更に…。
「あそこにいる学校の癌細胞、湯川真樹なんか気にするな!あんなのはいないものと思って修学旅行楽しもうぜ!」
「はーい!」
「湯川なんて大嫌い!」
真樹を指差しながら、名指しで悪口を言う裕也とそれに呼応する取り巻きの女子達。というより、その中にはA組とB組の女子も結構混ざっていた。あまりに騒がしいので、すかさず立石達各クラスの担任がやめさせる。
「ちょっと、大和田君にみんなもいい加減にしなさい!」
「もうすぐ、全体の集合時間なんだよ!」
「周りに迷惑になるような事するな!」
しかし、裕也は反省どころか食ってかかった。
「うるせぇな!集合は10:00だろ?まだ9:57だからセーフでーす!」
屁理屈をこねる裕也を援護するかのように、他の女子たちも応戦する。
「先生たちは黙ってて!」
「これから気分上げていこうと思ったのに!」
「マジ萎える…最悪!」
それでもなんとか立石達は裕也達を黙らせて、全員の集合が確認出来た所で、添乗員の説明が始まった。
「えー、それでは皆さん。おはようございます。那覇まで添乗させて頂く、千葉トラベルの鈴木です。これから皆さんに航空券をお配りしますので、出発までなくさないでください。あと、これから保安検査があります。ハサミやカッター等刃物といった危険物は持ち込めないので、もし持っていたら今のうちに出してください。到着後は大型バスで移動いたします。何か気になることがあればいつでも申してください。」
添乗員の説明が終わり、真樹達に航空券が配られる。その後、各生徒達はスーツケース等を預けたり、お手洗い等を済ませたあとに保安検査を受け、飛行機に乗る事に。真樹も保安検査を受け、何も引っかからなかった。
「当然だ。どうすれば引っかからないかは調査済みだからな。」
そう言いながら出発ゲートに向かった真樹。搭乗時刻になり、大谷津学院一同はぞろぞろと飛行機に乗り始めた。真樹の席は壁側の2列の席で、真樹は通路側、隣の窓側の席は杜夫が座ったのだが…。
「あぁ…眠い。」
「那覇まで3時間位あるんだ。それまで寝てろ。」
眠そうに着席した杜夫に真樹はそう言った。その直後、通路を挟んで真ん中5列の席に、武史と伸治が座った。
「よう、真樹に杜夫。」
「杜夫、どうしたんだよ?」
「ああ…寝坊が怖くて寝れないとか言ってたらこうなったんだとさ。気にすんな。」
真樹は二人にそう説明した。そんな時、周りの席からヒソヒソ話が聞こえてくる。
「沖縄まで3時間でしょ?」
「えー、じゃあそれまで機内で湯川と一緒って事?」
「やだー、汚い。」
「同じ空気吸ったら死にそう。」
「何で来るのよ?」
「空気読んてバックレて欲しかったわ。」
「湯川は学校のゴミね。飛んでる間に空から海に捨てたいわ。」
離陸までの間、女子達が真樹の悪口を言い始めた。勿論それらは皆真樹の耳に届いていたが、当の本人は気にしていない。心配した伸治と武史は真樹に優しく声をかけた。
「何だよ、こんな時にまで悪口とか…。真樹、気にすんなよ!」
「いざとなったら、俺達もいる。安心して楽しもうぜ。」
「ああ、心配してくれてありがとう。」
二人に礼を言った真樹。そして、杜夫は既に爆睡状態だったが、飛行機はいよいよ出発の時間を迎えた。
『ご搭乗の皆様。当機はまもなく離陸の準備に入ります。シートベルトをお締めになり、席を立たないでください。また、携帯電波は電源をお切りになるか機内モードに設定し、ご使用をお控え下さい。』
アナウンスが入り、真樹の乗る飛行機は、那覇空港へ向けて成田を飛び立ったのだった。
約3時間後。
『長らくのご搭乗お疲れ様でした。当機は間もなく、那覇空港に到着いたします。シートベルトをお締めになり、席を立たないで下さい。』
「おい、杜夫!もうすぐ到着だぞ!そろそろ起きろ!」
飛行機が着陸準備に入った所で、真樹は杜夫の体を揺すって起こした。杜夫はあくびをしながら目を開ける。
「ふぁぁ…おはよう真樹。サーターアンダギーまだ?」
「寝ボケるなよ。いいから降りる準備しろ!」
真樹と杜夫がそんなやり取りをしている間に飛行機は那覇空港の滑走路に着陸した。飛行機も到着旅客を降ろす準備が整い、真樹達はぞろぞろと飛行機から降りていく。預けていたキャリーケースも受け取り、真樹は到着口からロビーに出た。
「ここが沖縄…ついに来たぞ。」
そう言った真樹。大谷津学院の沖縄修学旅行が、今始まったのだ。
どうも!
ようやく真樹達が沖縄に到着しました。
なるべくグタグタにならないように頑張りますので、どうぞよろしくお願いします。
次回もお楽しみに!




