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真樹VS女子  作者: 東洋連合
Episode10 死の修学旅行
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第157話 真樹の苦い思い出

こんにちわ!

今月最後の投稿です!

 とある日曜日。この日、野球部は練習も試合もなかった為、真樹にとって完全にオフだった。そんな彼は朝になって布団から起き上がり、着替えて朝食を食べる。そして、歯を磨いた後、荷物を持って家を出た。

「行ってきます。」

「行ってらっしゃい。」

「気をつけるんだぞ。」

 多江と正三に見送られ、真樹は駅に向かった。それから電車に乗り、千葉駅に到着すると、改札を出た所である人物が真樹に手を振った。

「おーい、真樹!」

「佳久!お待たせ!」

 相手は真樹の中学時代の友人である初富佳久だった。この日、二人は千葉駅付近にある映画館で映画を見る予定だった。

「じゃあ、行こうぜ真樹!」

「ああ。」

「楽しみだな、科学探偵の劇場版!」

「どんな手の混んだトリックを使うのか楽しみだ。」

 佳久が目を輝かせている横で、真樹は普段通りクールに振る舞っている。佳久が言っていた科学探偵とは、人気テレビドラマシリーズであり、主人公は科学者としては優秀だが、あまりに変人過ぎて呆れられ、大学の研究室に入れてもらえなかった若い男性。しかし、科学力を探偵に活かせると踏んで探偵事務所を開業し、その優れた頭脳を活かして様々な事件を解決していくサイエンスミステリーである。既にシーズン3まで制作されており、年明けにはシーズン4の放送が決まっている。二人はその劇場版を見に来たのだった。映画館に到着後にチケットを購入し、映画を見る。見終わったあとは丁度昼時だったので、近くのラーメン屋で昼食を取ることにした。

「あー、面白かった!来年のシーズン4も楽しみだ。」

「相変わらず登場人物多いし、トリック複雑だよな。」

 佳久はいたって満足気であり、真樹も内容が気に入ったのか微笑みながら話している。二人はラーメンを食べながら色々な話をしていたが、そのうち修学旅行の話になった。

「そう言えば、真樹の所も修学旅行だって?」

「ああ。沖縄行ってくる。初めてだから楽しみだ。」

「いいなぁ、沖縄。俺の所は北海道だ。」

「北海道も楽しそうじゃないか。」

「そうだけどな、あえて欲を言うならハワイとか行きたかったな。」

「いくら修学旅行で海外行く学校があるにしろ、それは贅沢過ぎだろ。」

 楽しそうに修学旅行の話す二人。そんな中、真樹が少し表情を曇らせて言った。

「取り敢えず、中学の時みたいな事が起こらないのを願う。」

「ああ、あれは酷かったもんな。」


 それは4年前、真樹が中学2年生の頃だった。彼らは修学旅行で京都に来ており、京都市内の旅館に宿泊していたのだが、2日目の夜にそこで事件が起こった。

「無い!」

「どうしたの?」

「私の下着が1枚無いの!間違いなくカバンに入れていたのに!」

 ある女子生徒が泣きながらそう言った。持ってきたはずの下着が1枚なくなっていた。ルームメイト達も探したが見つからず、一人が窓が開いていたのに気付く。

「そう言えば、閉めた筈なのに窓開いてない?ヤダ、鍵壊されてる!」

「下着泥棒よ!」

「キャー!」

 事態は騒然となった。そして、他の女子生徒や見回りに来た引率教師にもこの事は伝えられた。しかし、事態は思わぬ方向に進んでしまった。

「あんたがやったんでしょ!」

「そうよ、こんな事するのは湯川以外あり得ない!」

「最低!」

「ケダモノ!」

「犯罪者!」

「死刑よ!」

 女子生徒達は、真樹をロビーに呼び出して犯人だと決めつけたのだった。真樹は当然心当たりなど無く、女が嫌いなのに下着泥棒を犯すと思われた事に怒りを覚えた。

「何で俺がそんな事しなきゃならないんだよ。女の下着なんか見たくも無い!お前らみたいな女共に犯人扱いされて正直侵害だわ!」

 怒りながら真樹がそう言っても、女子生徒達は聞く耳を持たず、被害者の女子生徒も泣いてばかりで何も話そうとしない。

「こいつ、反省して無いんだけど!」

「最低すぎるわ!」

「普段女子から嫌われてる腹いせにやった癖に!」

「謝ってよ!」

「あんたみたいな犯罪者と同じ格好にいたくないわ!」

「修学旅行を台無しにして!」

「さっさと転校しろよ!」

 大勢の女子に囲まれて責め立てれても真樹は一歩も引かない。そこへ佳久が通りかかって真樹から事情を聞き、フォローを入れた。

「お、おい。女嫌いな真樹が女子の下着なんか盗む訳無いだろ。窓の鍵壊してまでして…。証拠もなく一方的に犯人扱いするのは良くないって。」

「初富君は黙ってて!」

「普段の行いから、湯川君が犯人なのは間違いないわ!」

「湯川の存在その物が犯罪なのよ!」

 やはり女子達は聞く耳を持たなかった。その後、教師達によって全生徒が集められて事情聴取が行われた。無論、真樹もである。

「湯川、本当にやってないんだな?」

「勿論です。」

「女子達は皆のお前が犯人だと言って聞かないんだが。」

「やる訳がありません。ましてや、こんな無茶苦茶な方法使ってまで。」

 真樹も自分が犯人じゃないと必死に教師に訴えた。結局、証拠不十分で女子達の主張は保留にされ、真樹が処分されることはなかったが、修学旅行は最終日まで険悪モードで、「史上最低の修学旅行」と揶揄されるくらいだった。その後、警察が旅館の防犯カメラを調べた結果、宿泊客では無い不審な男性が旅館内に侵入していた事が判明。現場に残された指紋や靴の跡を手掛かりに、犯人は府内に住む職業不詳の40歳の男性と特定。犯行時の服や鍵を壊すときに使った工具も発見され、逮捕された。因みに犯人の男は、散歩中に被害者の女子生徒が観光中の所を見て一目惚れし、旅館まで後をつけていたとの事だった。そして、部屋をこっそり覗くだけでは我慢出来なくなり、次の日自由行動で部屋を空けた隙を見て鍵を壊して侵入。被害者の鞄も既に把握していたので容易く下着を盗んだのだった。真樹への疑いは完全に晴れたが、女子生徒からの謝罪は一切無く、むしろ「疑われる方が悪い。」「湯川にだけは謝りたくない。」と勝手な意見を主張していたのだった。


「全く、人を勝手に下着泥棒にするとか許せん!」

「いやぁ、あん時はどうなるかと思ったぜ。」

「あんなバカ共のせいで、こっちが修学旅行台無しにされたわ!」

「まぁまぁ、あんな事はもう二度と起きないって!真樹も沖縄楽しんでこいよ!」

「だといいけどな。先日、修学旅行の話し合いをしようとした時、女子共が俺と修学旅行行きたくないって騒ぎ立ててな。俺だってお前らと修学旅行なんて、本当はゴメンだわ!」

「真樹…無事に帰ってこれることを祈るよ。」

 佳久は真樹を取り巻く女子生徒達との関係を本気で心配しながらそう言った。その後、真樹の機嫌も直り、二人はゲームセンターやショッピングで楽しい1日を過ごしたのだった。

こんにちわ!

すみません、説明文が長くなり過ぎました。

さて、真樹の修学旅行は一体どうなるのか?

次回もお楽しみに!

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