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真樹VS女子  作者: 東洋連合
Episode10 死の修学旅行
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第156話 それぞれの期待

こんにちわ。

今回は閑話休題と行きましょう。

 修学旅行の出発日が近づいている大谷津学院の2年生生徒達。沖縄への修学旅行を楽しみにしている者は多く、大半の生徒が今からワクワクしていた。


 ある日。ここは写真部の部室。そう、杜夫が所属する部活である。

「よーし、レンズも問題なし。メモリの容量もまだ全然足りるな。」

 杜夫は部室で一人、自身のカメラの調整をしていた。彼は沖縄でのベストショットを狙おうと気合が入っている。そして、部室にもう一人入って来た。

「お疲れ、公津くん。」

「あ、お疲れ様です!木下先輩!」

 木下と呼ばれたおかっぱ頭に眼鏡をかけた少女は杜夫に挨拶するとゆっくりと席に着いた。彼女の名前は木下真希と言い、杜夫の1学年上の3年生で写真部の部長だ。木下は杜夫の方を見ると、尋ねてきた。

「修学旅行の準備はどうなの?」

「メッチャ頑張ってます!と言ってもまだ進んでないですけど。」

「そう。それと、いい写真が取れたら是非次のコンクールに出すといいわ。ポイント高くなるかもよ。」

「任せてください!」

「くれぐれも盗撮なんて馬鹿な真似はしないように。あなたは次期部長なんだから。」

「しませんってば!もう!」

 やや軽蔑気味の視線を杜夫に送りながら、そう言った木下だった。彼女は成績も良く、写真の腕前もいいのだが、無愛想で毒舌なのが玉に瑕だった。そんな感じで他の部員も揃い、写真部の活動が始まった。


 またある日。体育館で美緒が所属するバレー部が活動していた。

「そりゃぁ!」

 レシーブを回された美緒が、掛け声とともに強烈なスパイクを決めた。

「はい、いいわね菅野さん!じゃあ、10分休憩!」

 顧問に言われ、美緒達はコートの外に出て休憩に入る。

「ねぇねぇ!水着とか買った?」

「勿論!メッチャ可愛いから楽しみにしてて!」

 2年生部員達は修学旅行の話をしていた。やはり、海で泳ぐ事を考えると、新しい水着が欲しくなるのは当然だろう。

「美緒は?水着とか買ったの?」

 一人の部員が美緒に質問する。美緒はスポーツドリンクを飲み終えたあと、振り返って答えた。

「水着なんて、そんな毎年買い換えるものなの?私は去年買ったやつまた使えるからそれで行くわ。」

 そう言った美緒に対し、他の部員たちがひそひそ話を始めた。

「つまんないなぁ。」

「流行遅れよ。」

「あんなんで楽しめるのかな?」

 美緒はそんな部員たちに耳も貸さず、別の事を考えていた。

「修学旅行か…そう言えば回るコースがまだ決まってなかったわね。次のミーティングで決めなきゃ。」

 そう呟いた美緒。その後、休憩時間が終わり、美緒達は練習に戻った。


 そして、こちらは慶の自宅。この日練習がなく、夕飯を食べ終えた慶は沖縄の旅行本のグルメコーナーを読みながらニヤニヤしていた。

「これも美味しそう!あ、これもいい!あー、どうしよう!?迷うなぁ。」

「あんた、食べ物の事ばっかりじゃない!折角の修学旅行なんだから、他にも楽しみなさいよ。」

 そんな慶に対し、母親の悠が呆れながらそう言った。慶は口を曲げながら言う。

「いいじゃん、こっちで食べられない藻の食べるのもいい経験だよ!」

「まぁ、いいけど…食べすぎてお腹壊さないようにね!」

「壊さないよ!」

 慶はむくれながらそう言った。彼女がある意味、修学旅行を一番楽しみにしているのかも知れない。


 土曜日の朝。真樹の所属する野球部はいつも通り朝練していた。ランニングとキャッチボールを終え、次は守備練習、投手は投げ込みの時間だ。真樹は自分の番がくるのを待ちながら素振りをしていたが、そんな真樹に伸治と武史が話しかけてきた。

「よう、真樹。修学旅行の準備はどうだ?」

「俺、ソーキそば大盛りで食いたい!真樹、そういう所調べたか?」

 真樹は振り返って伸治と武史に答えた。

「いや…まだ班の自由行動のコースが完全に決まった訳じゃない。俺は食うより、町の雰囲気を味わいたいかな。グルメ担当はオニィだし。」

 伸治と武史は真樹と違い、B組なので班行動の間はバラバラである。そんな二人は真樹の言葉に笑いながら答えた。

「ハハハ、鬼越らしいわ!」

「よし、あいつと大食い競争でもするか!」

 真樹は二人にため息混じりで言った。

「おい、折角なんだからもっとゆっくり味わって食えよ。それに、あれ油キツイから食べすぎると胃がもたれるぞ。」

 そう言った真樹に武史は微笑みながら言った。

「冗談だって!まぁ食いたいのは本当だけど。」

「そんな事より武史!飯よりも、あれを忘れちゃ困る!」

 伸治が突然そんな事を言い出した。首かしげる真樹と武史を前には、伸治は続ける。

「琉球美女だよ!ガッキーや比嘉愛未みたいな美女に会えるかもしれないだろ!」

「おお、そうだった!もし会ったら連絡先聞こう!」

「はぁ…くだらな。」

 呆れた真樹は再び素振りに戻った。そして、沙崙が目を釣り上げながら3人に近づいてきた。

「ちょっとー、伸治くんに武史くん!ブルペン空いたし、ノックの番が回って来たわよ!それに、一応美女はここにもいますけど〜?」

「お、マジか!よーし、いっぱい投げ込むぞ!」

「すまんすまん!今行くわ!お願いしまーす!」

 伸治はブルペンに向かい、武史は守備位置に着いた。そして、沙崙は真樹の方を向いて言った。

「ねぇ、真樹。」

「どうした?」

「私、沖縄楽しみ!いい思い出残そう!」

 目をキラキラと輝かせながらそう言った沙崙に真樹は微笑みながら言った。

「ああ。いい修学旅行にしよう。」

 そして、真樹達はこの日もの練習に励むのであった。

こんにちわ!

今更ながら、ようやく杜夫の写真部の設定が活かせそうです!

次回もお楽しみに!

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