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真樹VS女子  作者: 東洋連合
Episode9 慶と宿敵
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第150話 逆転の手掛かり?

こんにちわ!

台風が近づいてきて、少し怖いです。

 慶が出場している高校陸上の関東予選。そこで、大会開始前にいきなり事件が起こった。姫宮が慶に怪我をさせる目的で、ナイフを持った仲間の少女を会場に忍ばせていたのだった。しかし、真樹に頼まれて会場に来ていた杜夫に発見され、警備員に取り押さえられた後に警察に突き出され、姫宮の計画は失敗に終わった。その後、大会は何事も無かったかのように予定通り開催され、女子100m走では姫宮が優勝し、慶は準優勝だった。緊張感が走る今大会。だが、それでも慶の闘志はまだ燃え尽きておらず、次の種目で頑張ろうと決心したのだった。


 一方その頃、真樹の方も動いていた。練習を終えた真樹は伸二達と別れた後、家に帰らず慶と姫宮の地元である印西市に向かったのだった。姫宮の尻尾を掴むためである。姫宮は天才ランナーとして知名度は全国区になっており、故郷である印西ではスター扱いされていた。なので、ここに来れば何か情報が入ると思い、真樹は徹底的に聞き込みをしたが…。

「ありがとうございました…はぁ、ダメか。」

 数人に聞き込みをしたが、皆姫宮を英雄扱いしており、慶に見せた裏の顔を知っている者はいない。因みに、真樹の事なので、男性ばかりに声を掛けていたが…。

「…。正直俺としては嫌だけど、仕方ないか。」

 そう言いながら、真樹は近くにあったコンビニに近づいていった。そして、入口の前でたむろしていたレディースらしき三人組に声を掛けた。

「おい、少しいいか?」

 真樹が声を掛けると、レディースの3人は真樹を睨み付けながら威嚇してきた。

「あぁ?何だテメーは?!」

「見かけねぇ顔だな!ウチらに何の用だ?」

「つーか、態度が気に入らねぇ!殺されたいのか。あぁ!?」

 一人が真樹の胸ぐらを掴む。それでも真樹は怯まずに続けた。

「安心しろ。お前らに聞きたい事があるだけだ。」

「あぁ?!ウチらだって暇じゃねぇんだよ!おい、コイツをぶっ殺しちまえ!」

 レディースの一人がそう言って隠し持っていた棍棒を振り上げた。そのタイミングで真樹は質問した。

「姫宮真依の事を知っているか?今や陸上界じゃ有名人出し、この地区でアイツの事知らない奴はいないんだろ?」

 真樹の言葉を聞いて、棍棒を持っていたレディースの手が止まった。そして、彼女は暗い表情で言った。

「姫宮…何でアイツの事調べてるんだ?」

「勿論タダでとは言わん。少し待ってろ。」

 真樹はそう言ってコンビニに入り、少し高めのカップアイスを3個買い、レディース達にそれぞれ渡した。

「俺の奢りだ。もし、何か知っているんなら話してほしい。」

 レディース達はアイスを食べ終えると、一人が話し始めた。

「姫宮…ウチ、アイツの事嫌いなんだよね。」

「何かあったのか?」

「悪い事は言わねぇ、アイツに関わるのはやめておけ。」

「そうだ。あいつはマジでやべぇんだって。」

 レディース達はさっきの威勢の良さから一転し、真樹に姫宮と関わるのをやめるように言った。しかし、真樹は引き下がらない。

「そうもいかねぇんだよ。俺の学校の友達が姫宮に絡まれて迷惑してんだ。そして、危うく死者まで出るところだったから、野放しにできねぇんだよ。」

 真樹の思いが通じたのか、レディース達はため息混じりに話し始めた。

「アイツ、春日部に行ってもまだやべー事してたのか。」

「中学時代、うちは別の学校だったけど有名だったぞ。陸上でも、タチの悪さでも。」

「気に入らない事があると八つ当たり目的で、ヤバい仲間を引き連れて好き放題するんだ。ウチの友達もそれでリンチされて怪我させられたし。」

 レディース達は更に暗い表情で続けた。

「それに、アイツは陸上の有名選手だからな。好き放題悪さしても、みんなあいつの味方だ。」

「嘘言って誤魔化しても、みんな姫宮の味方するからな。厄介ったらありゃしない。」

「あいつは自分のメンツを守る為なら、悪魔にも魂売るやつだ。何であんなのが陸上界の期待の星とか持て囃されてんだか…。」

 真樹はレディース達からそこまで聞くと、礼を言いながら立ち去った。

「ありがとう、時間を取らせて悪かったな。」

 そう言って真樹は帰ろうとしたが、そのタイミングでメッセージが来た。

「ん、菅野か。珍しいな。」 

 メッセージの相手は美緒だった。アプリを開くと、短めの文章が書かれていた。

『いきなりごめんなさいね。慶を守る為に、私も協力するわ。』

 真樹は美緒のメッセージを見て、微笑みながら言った。

「よし。オニィを守ろうじゃないか。」

 ご機嫌な様子で真樹はその後も美緒とのやり取りを続けた。


 そして、高校陸上関東予選の会場では、慶が次の種目である女子400mの準備をしていた。

「この種目は絶対に勝つ!ここまで来たからには、僕は姫宮さんに負けたくない!」

 そう強く言った慶。彼女は予選ブロックを圧倒的なスピードで突破し、あっさり決勝に進んだ。そして、やはりここにも姫宮はいた。

「しぶといわね、あんた!どーせ、アンタなんかいくら走っても兄の七光としか思われてないんだし、華も実力も私に敵わないんだから、さっさと陸上辞めたら?強豪校から誘われたのに、大谷津みたいな雑魚に行くバカな脳味噌は、人生で損でしかないんだし。」

 ここでもやはり、姫宮は慶を挑発した。慶は案の定、姫宮の挑発を無視して心の準備をする。

「各選手、位置について!よーい、スタート!」

 係員の合図で慶達が一斉にスタート。そして、姫宮と慶が後方集団を一気に引き離して、2人のデッドヒートになった。しかし、残り半分の200mに差し掛かったときだった。

「チッ、邪魔!引っ込んでて!」

「うわっ!」

 慶と姫宮は並走していたのだが、姫宮は隣の慶の脛を踵で蹴り上げて転ばせた。

「アハハ、ダッサ!じゃあお先にー!」

 姫宮は転んだ慶を見て、笑いながらゴールへ走っていった。

「クソぉ、でも僕は諦めない!」

 慶はすぐに起き上がり、転んで擦りむいた膝の痛みを堪えながら、迫りくる後方集団を引き離す為に全力で走った。しかし、時既に遅く、慶がゴールする頃には姫宮はとっくにゴールインしており、この種目も姫宮が優勝で慶が準優勝だった。

「アハハ、愉快愉快!この種目も私が優勝よ!才能があるって最高ね!」

 姫宮は嬉しそうに他のチームメイト達にそう言った。一方の慶は悔しさと怪我の痛みで苦い表情をしていた。

「痛た…。もう、悔しい!明日は…明日こそ僕が優勝したい!」

 慶の悔しさを他所に、その後も各種目は予定通り行われ、大会初日は慶にとって後味の悪い1日になってしまったのだった。

こんにちわ!

本章もいよいよ佳境です!

慶の運命はどうなるのか?

次回もお楽しみに!

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