第149話 大会開始
こんにちわ!
連載再開します。
「ふぅ、着いた着いた。」
ここは千葉市内にある運動公園。そこに、Tシャツと短パン姿でカメラを持った少年が現れた。そう、真樹と慶のクラスメートの杜夫である。彼は、ここの所不審な事件に巻き込まれている慶の事を心配した真樹に頼まれ、慶の大会を監視しに来たのだった。そして、入口を探そうと歩いている所、彼の目にある物が止まった。
「ん、何だあいつ?陸上部っぽくないぞ。」
黒っぽいジャージを着て、会場に入るでもなくただただ挙動不審な様子でウロウロしている少女がいた。そして、よく見ると、少女の手には銀色に光る物があった。
「まさか、あいつ…。」
不審に思った杜夫は少女に近づく。そして、思い切って声をかけたのだった。
「おい、あんた。そんな所で何してんだ?客でも部員でも無いだろ。」
「げっ、ヤバ!クソぉ、じゃあお前から始末だ!」
少女は手に持っていた光る物…折畳みナイフを杜夫に向けて振り回してきた。
「やめろ、バカ!」
「うるさい、私の…そして親友の真依の邪魔する奴らは殺してやる!」
取っ組み合う杜夫と少女。すると、そこに警備員が現れた。
「おい、君たち!そんな所で何してる!」
「あっ、警備員さん!この子、刃物持って僕の事を刺そうとしました!」
「クソッ!離せよ、このキモオタ!」
杜夫は少女を取り押さえ、少女はというと、警備員に連れて行かれてそのまま警察に通報されてしまったのだった。
そして、数十分後。大会が始まった。姫宮は、ピンピンした様子の慶を見て動揺していた。
(何でよ。何であいつピンピンしてんのよ?!さては、あいつしくじったな!)
一方の慶は、姫宮を見ながら心の中で秘めた思いを念じていた。
(姫宮さん、君が事件に関わっていようといまいと、僕は君に勝つ!それだけだ!)
こうして開会式も終わり、競技開始。まずは慶と姫宮が出るのは100m走だ。二人共予選を順調に勝ち上がり、決勝で隣同士のレーンに並んだ。
「ヘヘッ、鬼越さんとこうしてまた戦う機会が来るとはね。」
「そうだね、僕はどうでもいいけど。」
「チッ…そう余裕こいてられるのも今のうちよ!あんたの陸上人生はここで最後なんだから。」
「悪いけど、僕はそんな脅しは聞かない主義だから。試合始まるから少し黙っててくれないかな。」
姫宮の挑発にも慶は乗らなかった。そして、ようやく女子100mの決勝戦が始まった。
「各選手、位置について!よーい…スタート!」
合図と共に慶達はスタートした。そして、姫宮はあっという間に他の選手達を突き放していく。しかし、慶も負けておらず、猛スピードで姫宮に追いついていく。そして、ついに並走して抜こうとしたその時だった。
「生意気に私の事を抜こうとしてんじゃないわよっ!」
「グハッ!」
姫宮は腕を振り上げたと見せかけて、慶の腹部に肘鉄を食らわせた。慶はうめき声を上げて一瞬怯んだが、すぐに体勢を立て直す。
「ごっめーん!肘が当たっちゃった!キャハハ!」
「こんのぉぉ!」
慶は遅れを取り戻そうと必死で走った。それでも、先程の不意打ちは痛く、姫宮はぶっちぎりの1位でゴールし、この種目で優勝!慶は2位で終わってしまった。
「やった、やった!優勝よー!やっぱり私が最強!」
大はしゃぎする姫宮。一方の慶は複雑な表情でベンチに戻ってきた。
「姫宮さん…やってくれるじゃないか。でも、君は一流選手にはなれない。それをこの大会中に教えてあげるよ!」
そう呟きながら、慶はグラウンドを後にした。
一方その頃、野球部の練習を終えた真樹の所に一本の電話が入った。杜夫からだった。
「もしもし?」
「おう、真樹!ちょっといいか?」
「どうした?」
「鬼越の会場の所に、ナイフ持った女が出て、取り押さえたんだ!これから警察の取り調べ受けてくる!」
「分かった!でかしたぞ、杜夫!」
そう言って、真樹は電話を切った。スピーカーモードで横で聞いていた伸二、武史、沙崙も気にした様子で訪ねた。
「おお、残りの犯人捕まったのか!」
「やったな!これで誰も鬼越の邪魔できないな!杜夫、ナイスだな!」
「でも、その姫宮って人が黒幕かもしれないんでしょ?まだ心配だわ。」
3人の言葉に対し、真樹は落ち着いた様子で答えた。
「安心しろ。どの道姫宮の陸上選手生命は今大会で、終わる。あいつが生き残って、オニィが消される理由は無いからな。」
真樹はそう言いつつ、心の中でも呟いた。
(その為にはまず、あいつに止めを刺す材料を集めないとな。)
真樹はそんな企みをしながら、4人で駅まで向かったのだった。
こんにちわ!
色々ありまして連載を中断せざるを得ませんでしたが、本日よりまた連載します!
大変お待たせ致しました!




