第147話 姫宮の過去
こんにちは!
ずっと雨がやみませんね。
慶の周囲で立て続けに起こる不可解な事件。それはなんと、天才女子高生ランナーである姫宮真依が仲間を使って起こしていた事だった。姫宮は慶と同じく、幼少期から走ることに関して誰にも負けたことが無かった。そして、一人っ子故に両親からかなり甘やかされた。
「すごいわ、真依!」
「将来はオリンピック選手だ!」
「真依は何をしても世界一よ!」
「流石は俺達の娘だ!」
そう言われ続けて育っただけでなく、小学校の頃は足が速い=人気者という雰囲気が出来やすかった環境も助け、高学年になる頃にはすっかり学校の女王様と化していた。なので好き放題やり過ぎて教師から注意を受ける事もよくあったが、それでも両親は姫宮を叱ることもなく、最後まで味方した。中学に上がる頃には陸上こそ力を入れていたものの、OFFには友人達とヤンチャなグループを作って遊んでおり、他人に迷惑をかけることもしばしばあった。それでも、陸上の実績があるので学校も文句が言えず、両親はやはり姫宮の味方なので、ますます調子に乗ってしまった。そして、ある大会で悲劇が起こった。入部してすぐ夏の大会に出ていた姫宮だったが、その時に出場していなかった慶が秋の大会に初出場した。そして、負けた。今まで何もかも思い通りいっていた姫宮が、初めて予想を覆された瞬間だった。それから、慶を敵対視するようになった。
「まぁ、明日あいつが出ようが出まいが、私の勝ちは確定だもんね!だって私、天才だし次のオリンピック代表候補だもん!」
大会前日の夜、姫宮は千葉県内の宿舎の部屋で、ベッドに寝転がりながら不敵な笑みを浮かべてそう言ったのだった。
翌朝、大谷津学院のグラウンドにて。
「よし、みんな!秋季大会も近い!来年の選抜も目指して頑張っていこう!まずはランニングだ!行ってこい!」
「「「「はい!」」」」
関屋は気合一杯で野球部員たちにそう言った。真樹達は夏に続いて選抜出場を目指しており、今日も練習に力を入れている。ランニング中、隣を走っていた一年の登戸が真樹に話しかけていた。
「湯川先輩。」
「ん、どうした?」
「何か、元気ないですけど、大丈夫ですか?」
「そうか?いつも通りだと思うんだが。」
「失礼しました。いつもより雰囲気暗く見えたんで。」
「大丈夫だ。気にしなくていい。」
真樹はそう言ってランニングを続けた。その後、素振りとキャッチボールをこなし、前半の練習は終了。休憩時間になった。水筒で水を飲む真樹に沙崙隣に座って話しかけた。
「ねぇ、真樹。」
「どうした?」
「やっぱり、慶の事が心配?」
「···。」
「私も心配よ。だって、あれだけの事があったんだし。」
先程登戸に言われた時は誤魔化したが、やはり真樹も慶の事が心配だった。そして、武史と伸二も寄ってくる。
「まぁ、心配にならない方が変だよな。」
「ああ、あの姫宮とか言う奴が当日何しでかすかわからないしな。」
2人の言葉に真樹は無言で頷いた後、水をもう一口飲んでから話し始めた。
「確かにそうだが、姫宮の仕業だっていう証拠がまだ出てきてない。だが、もし奴が本当にクロなら、尻尾を掴むのはこの大会中しかないかもな。」
「何か策があるの?」
沙崙が真樹に聞いた。
「万が一のために、こっちも1人会場に送り込んだ。姫宮がしでかした時、動かぬ証拠を掴むためにな。」
そう言った真樹。その後、休憩時間が終わりください真樹達はノックやフリー打撃をこなしたのだった。
一方その頃、慶は顧問の芝山千代子や他の陸上部員と共に電車に乗って千葉市内にある会場に向かっていた。
「ああは言ったけど、本当に大丈夫かな?」
慶はイヤホンを付けて音楽を聞いていたが、やはり入院中の母の事が気が気で無かった。両親と兄には頑張ってくると行ったものの、様々な事に巻き込まれ過ぎて心労が半端なかった。そういう所を不安に感じていた慶。しかし、笑顔で送り出してくれた両親、ずっと心配してくれた真樹達の事を考えると、慶は負ける訳にはいかないと思った。
「やるんだ。僕はこんな事で打ちのめされたくない!絶対に優勝するんだ!」
「鬼越さん、ついたわよ!」
「あ、はい!」
芝山に言われ、電車を下車する慶。運命の大会が、今始まろうとしていた。
こんにちは!
今週はちゃんと投稿できました!
次回は慶の大会です!
どうなるのか?
お楽しみに!




