番外編 二人のファーストコンタクト
こんにちわ!
今回は筆者の都合により、短い特別編をお送りします!
それは、2年前の春のことだった。桜が咲き始める4月の陽だまりの下、千葉県成田市にある大谷津学んは、前日に共学5期生の入学式を終えたばかりだった。そして、入学式を終えたばかりだった真樹は、真新しい制服に身を包み、家を出る。
「行ってきます。」
祖父母である正三と多恵にそう言い、真樹は学校へ向かう。入試や入学式等で何度も通っているから既に道は覚えていた少し混雑している電車に揺られながら、真樹は学校の最寄り駅である成田駅に到着。電車を降り、階段を上がって改札を出ようとした時だった。
「ちょっ…う、うわぁぁ!」
後ろで女性の悲鳴が聞こえた。振り向くと、一人の少女が改札前の通路で盛大に転び、うつ伏せで倒れている。よく見ると、真樹の通う大谷津学院の女子の制服だった。
「うわぁん、どうしよう?鞄締めるの忘れるなんて、僕ってバカだなぁ!」
少女は鞄を開けたまま登校しようとし、転んだ拍子にノートや教科書をぶちまけていた。慌てて拾い集める少女。真樹はその様子を黙って見ていた。真樹は極度の女嫌いの為、普段ならこのような状況でも決して助けることは無い。しかし、なぜか真樹の体は少女の元へ向かっていった。
「大丈夫か?」
「う、うん。」
真樹は少女にそう言い、残りの教科書はノートを全て拾い集めた。
「これで全部か?」
「うん。あ、ありがとう…。」
「礼には及ばん。じゃぁ。」
「あ、ちょっと!」
真樹はぶっきらぼうにそう言い残し、一人で立ち去ってしまった。この時、真樹は何故少女を助けてしまったのか、疑問を抱いていた。
「まさか、俺ともあろう者が女性を助けてしまうとは。まだまだ甘いのかもな。」
そう言って真樹は大谷津学院に到着し、教室に入る。大谷津学院は最近まで女子高で生徒も女子の比率が圧倒的に高い。しかし、真樹は初日から話しかけんなオーラ全開で、それを察した女子達からヒソヒソ話をされている。大人しく座っていると、また誰か入ってきた。
「おはよー…って。あ、いたいた!同じクラスだったんだ!」
そんな声が教室の入り口から聞こえ、声の主が真樹に近づいてくる。見ると、真樹が朝助けた少女だった。
「お、お前は…。」
「朝はありがとうね!僕は鬼越慶!今日からよろしく。」
「…湯川真樹だ。」
「湯川君だね!仲良くしようよ!」
鬼越慶と名乗る少女はそっと真樹に手を差し出した。普段の真樹なら不愛想に払いのける所だが、真樹は何故かこの鬼越という少女のことを嫌だとは思わなかった。真樹も手を出して慶と握手をした。
「宜しく。」
「うん。よかった、友達ができて!」
そして、真樹は慶に正直な事を話した。
「お前、変わってるな。」
「え、何で?」
「俺、昔色々あって結構な女嫌いなんだ。」
「え、そうなの?ごめん、僕じゃ迷惑だった?」
「いや、気にするな。だが、お前は他の女どもと違う。全然嫌な気分にならないし、普通に話せるぞ。理由は全然分からないけど。」
「ふーん。そうか。じゃあ、仲良くしようよ!今日から友達だね!あ、僕のことは気軽に名前で呼んで良いから。」
「分かった、俺も真樹でいい。」
「宜しくね、真樹!」
「でもお前、見た目や言動が少年っぽいし、名字も鬼越だから、お兄って感じだな。」
「フフフ、何それ?」
「じゃあ、あだ名はオニィで良いか?」
「あー、全然いいよ!昔は鬼っちとか呼ばれてたし、あだ名が増えて嬉しい!」
「分かった、改めて宜しく。オニィ!」
こうして、真樹は人生で初めて異性の友人というものを得たのだった。
こんにちわ!
今の章が慶を中心としたエピソードだったので、真樹と慶の出会いを書かせてもらいました。
次回から本編です!
今後とも、よろしくお願いします!




