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真樹VS女子  作者: 東洋連合
Episode2 ぶりっ子を成敗せよ
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第13話 一息つきたい

おはようございます。

新たな刺客、出てきます。

 

 先日の濡れ衣騒動が収まり、ようやく真樹は平和な生活を取り戻した。とはいっても真樹への女子からの好感度が上がった訳ではなく、相変わらず慶以外との女子とは険悪のままだ。しかも、真樹が退学にならなかったことを恨んだり、ユカリに同情する声が多いのも現状だ。真樹自身が女性からの好感度などを求めていないので、本人にとっては痛くもかゆくもないのだが。そんな真樹は杜夫と共にイオンモール成田の映画館にいる。

「ここで慶があいつらのボロを激写したんだな。感謝しないとな、真樹。」

「分かってる。そうじゃなかったら今頃俺は退学だった。もしそうなったら俺の計画がパーになる。」

 この日は日曜日で野球部も写真部もオフだったため、二人で映画を見に来たのだ。因みに会話に出てきた慶は法事の為にいない。

「『廃墟に入ったばっかりに』か。真樹がホラー映画好きだったのは意外だな。」

「こういういつ何が起こるか分からない所が面白いんだ。とにかく行こう。」

『廃墟に入ったばっかりに』とは和製ホラー映画で、いわくつきの屋敷に忍び込んだ若者たちが様々な怪奇現象に巻き込まれ、どのように抜け出すかを書いた作品だ。久々の日本のホラーとして話題を集め、現在人気急上昇中である。二人はその映画のチケットを買い、ポップコーンとジュースを手にもtyて中に入っていった。


「ふぅ、怖かった。」

「面白かったけど、そんなに怖がるほどじゃないだろ。」

「お前、メンタル強いな。」

「杜夫が小心者なだけだ。」

 上映が終わって、二人はシアター内から出てきた。よほど怖かったのか、杜夫はまだぶるぶると震えている。真樹はホラー映画慣れしているせいか、むしろ満足気だった。その後、二人はフードコートの方へ移動し、昼食をとる事にした。因みに真樹がカレーライスで杜夫がカツ丼定食だ。ふと、食べながら杜夫が周囲を見渡して言った。

「やっぱり、結構カップルいるな。」

 杜夫が言う通り、この日は日曜日だったので家族連れだけでなく若い男女も大勢ここに訪れていた。手を繋いで歩く男女、腕を組みながら買い物をする男女、二人で食事をしながら楽しそうに談笑する男女など様々だ。

「それがどうした?」

 真樹は案の定の反応だった。近頃は草食系、絶食系と恋愛に興味を持たない男性が増えているとはいえ、一定数はやはり女性と仲良くなりたい、恋人が欲しい、結婚したいと思っている。女性にいい思い出が無い真樹は、何故女性と仲良くなりたい男性がいるのか理解できていない。

「ま、まぁ何だろ。やっぱり男である以上少しは女子と仲良くなりたいっていうか、将来的にいいお嫁さんとかもらいたいし、学生時代にこういう経験積んでおくのも大事かなって思って。」

「必要無いだろ。女性と関わってもろくなことが無いぞ。この間の俺みたいに。」

「でも、濡れ衣晴れたんだからよかったじゃないか。それに、入学して半年たったんだから少しは女子と仲良くしてもいいんじゃないか。」

「オニィがいる。あいつ以外の女子はろくなもんじゃない。」

「そんなことないって、きっといい人いるよ!…多分。」

 二人は話に花咲かせながら食事を楽しみ、その後はゲームセンターやバッティングセンターへ行き、充実した一日を過ごしたのだった。


翌日。

「ふあぁ、眠い。」

 朝の成田駅で真樹はあくびをしながら改札を出た。季節は秋なので気温的には丁度よく、そよ風が吹いてむしろ清々しい雰囲気だった。そしていつもの様に…。

「おはよう、真樹!」

 慶がご機嫌な様子で真樹と合流した。入学して以降、もうこれは一種のルーティーンになりつつある。

「真樹、昨日は休みだったよね?どこかに行ったの?」

「杜夫と成田のイオンに『廃墟に入ったばっかりに』見に行ったよ。」

「あれすごい面白いらしいね。今度僕も見に行こうかな?」

「奴らを偵察した時は違かったのか?」

「うん。何か少女漫画原作の恋愛映画だったよ。あんまり面白くなかった。」

「あいつの頭の中と同じだったってわけか。」

 真樹は皮肉めいた言葉を返した。先日は慶に濡れ衣を晴らす協力を依頼したところ、彼女は期待以上の成果を出し、真樹を救った。入学以来憂いつ心を許している女子と言うだけでなく、真樹の中では恩人になっている。そんな二人は楽しく話しながら学校に到着し、昇降口で靴を履き替えて教室に向かっているその時…。

「おっはよー、裕也君!」

 丁度二人の少し前を、サッカー部のイケメン大和田裕也が歩いていたのだが、その裕也に声を掛ける人物がいたのだ。声がした直後、裕也に駆け寄ってくる一人の女子が現れた。

「おはよう、美紅ちゃん。今日もその髪型可愛く決まってるね。」

「えへへ、ありがとう~♡」

 現れた女子は、明るい色の髪の毛をツーサイドアップにした色白の女性。身長も小柄で色も白く、いかにも男受けしそうな雰囲気な女子だった。

「大和田の奴、朝から女子にデレデレしやがって。」

「まあ、押上さん可愛くて人気あるからね。アイドルっぽいし。」

 呆れる真樹に慶はそう返した。先程の女子の名前は押上美紅(おしあげみく)。真樹と同じ1年生の女子だがクラスは隣B組、つまり裕也と同じだ。小柄で可愛らしい風貌と、ふわふわした性格から男女問わず人気がある。

「お前、仲良かったっけ?俺はああいうタイプは結構無理だけど。」

「僕も、あんまり仲いい訳じゃないよ。得意なタイプでもないしね。」

 二人は裕也と美紅を見送りながら教室に入っていった。後にこの押上美紅が騒動を起こすとは、この時誰が想像できただろうか?

おはようございます。

新キャラ、押上美紅が登場です。

彼女が起こす騒動とは一体?

次回をお楽しみに!

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