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真樹VS女子  作者: 東洋連合
Episode8 大波乱の甲子園
136/327

第134話 世間の反応

こんにちわ!

先週は諸事情で投稿できなくて、すみませんでした。

 ここは兵庫県内のビジネスホテルの1室。部屋の中で一人の男性がパソコンのキーを打ちこみながら何やら作業をしていた。

「よし、今日はこんな所か。暑いし、シャワーでも浴びよう。」

 キリがいい所で作業を切り上げ、男はシャワーへと向かう。彼の名前は飯田(いいだ)(さとる)。都内にある企業、オリエント通信のジャーナリストだ。大谷津学院野球部臨時マネージャーで台湾出身の陳沙崙がかつて酷いいじめを受けていた時、真樹が彼に通報して事件が解決したことがきっかけで、以降も大谷津学院の事を気にかけていた。台湾担当だった彼は、今回沙崙の取材に来ていたのだった。飯田はシャワーから出てくると、備え付けの冷蔵庫から水を取り出して一気に飲み干し、ベッドに寝転がった。

「しかし、さっきは疲れたなぁ。色んな意味で。」

 飯田は先ほどの試合の事を思い出す。彼は大谷津学院の応援席にいたのだが、真樹の活躍をよく思わない女性ファンの暴徒化に巻き込まれ、自ら警察に通報したのだった。

「何人か警察に捕まったけど、湯川君達次の試合も大丈夫かな?何も起こらないことをを願うよ。」

 誰が見ても真樹は何も悪いことはしていない。なのに、どうしてあそこまで女性ファンが暴徒化したのか、飯田は理解できなかった。

「まぁ、さすがにあそこまで大騒ぎになって、これ以上暴徒化することはないと信じよう。」

 そう言いながら飯田は夕飯の時間まで、ベッドの上で休むのだった。


 一方こちらは大谷津学院の校舎。グラウンド上では現在、陸上部の練習が行われていた。

「よし。今日は体調もいいし、いい記録でそうだ。」

 そう言ったのは慶だ。彼女達の陸上部は数日後に合宿を控えているのだが、その前の最後の校内練習を行っていた。

「よーい、スタート!」

 スタートラインについたタイミングで、顧問の芝山千代子がスタートの合図を送った。そして、慶は猛スピードでグラウンドを駆け抜け、あっという間にゴールしてしまった。

「うん。先月より伸びてるわね。その調子で!」

「ありがとうございます!」

「でも、怪我には気を付けて。もうすぐ合宿だから。」

「はい!」

 慶は元気良く返事をした。その後、特に問題もなく練習を終えた慶は、着替えて校舎を後にしようとしていた。その時…。

「あ!」

「慶じゃない!」

 慶が下駄箱で靴をとったタイミングで、同じく帰宅しようとしていた美緒に合った。

「美緒も練習だったんだ。」

「そうよ。うちも合宿近いし。」

 美緒もバレー部の練習があったようだった。二人は話しながら校舎を出て、一緒に帰ることにした。そして、二人は当然あの事を話題に出した。

「美緒、昨日の試合見た?勝ったけど、ファンの暴走はあんまりじゃない?」

「見たわよ、勿論。湯川君達だけでなく、スタンドの公津君や応援団まで襲撃するなんて、信じられないわ!」

「でも、そんな最悪の状況でも勝てた野球部はあっぱれだと思うな。次も頑張ってほしい!」

「当然よ!なんなら優勝して、暴走したファンを黙らせてほしい位だわ!」

 そう話しながら、二人は帰路についたのだった。


 所変わって、ここは大阪府内のホテル。大谷津学院の宿泊地だ。試合には勝ったものの、暴徒化した女性ファンから襲撃を受けたこともあり、真樹達はすっかり疲れ切っていた。その夜、夕飯を終えた真樹は部屋のテレビでスポーツニュースを見ていた。部屋には伸治と武司、沙崙も遊びに来ていた。

「続いては、夏の甲子園。部員16名の初出場、千葉県の大谷津学院と山形県の強豪、米沢文化の試合でしたが、試合中にとんでもないことが起きてしまいました。」

『大谷津学院は初回、1アウト2塁でキャプテンの堀切。タイムリーツーベースで先制。更に1点を追加します。そして、2回。先頭バッターの湯川。激しいブーイングも気にせず打席に向かい、ヒットで出塁します。更に、9番ピッチャーの中山。自らタイムリーを放ち、追加点を上げます。』

 そして、ここで問題の映像へ。

『そして、この場面で予想外の事態が起きます。暴徒化した女性ファンが、湯川選手目がけてビンなどを大量に投げ込む事態が発生。更に、大谷津学院の応援席にもファンが押しかけ、暴力行為を働きます。結果、試合は1時間半の間中断。女性ファン20人以上が逮捕される事態になりました。それでも、大谷津学院は踏ん張りました。先発の2年生、中山は意地でも勝ちたいとストレートの力が籠っていました。そして9回…。中山は1失点完投で大谷津学院2回戦進出。トラブルにも負けず、快進撃を続けています。』

 大谷津学院の場面が終わった所で、真樹は伸治に微笑みながら話しかけた。

「ナイスピッチグだったぜ。さすがうちの時期エース。」

「俺は別にそんな…。今日のは野次がウザくて気合入ったっていうか…。」

 伸治は真樹に照れ臭そうにそう答えた。武司と沙崙もホッとしたように答える。

「とりあえず、あん時は死ぬかと思ったけど勝てて良かったぜ。」

「ホントよ。まさか高校野球であんな身の危険を感じるなんて思わなかったわ。」

 そう話しているうちに、番組内ではコーナーが切り替わっていた。

「えー、本日も野次を浴びせられていた湯川選手ですが、その事に関して洛陽高校の三条投手からコメントが届いております。VTRをご覧ください。」

「ん、俺がホームラン打った三条から?なんだ、一体?」

 アナウンサーからの予想外の言葉に、真樹は目を丸くしながらそう言っていた。そして、映像が切り替わり、モニターには京都の超高校級投手である三条友明が映し出されている。

「えー、僕からサヨナラホームランを打った大谷津学院の湯川君が連日酷いバッシングを受け、今日もゴミなどを大量に投げつけられていましたが、その事について一言言わせて下さい。まず、彼は何一つ汚いことはせず、真剣勝負をしてくれました。打たれて負けたことは悔しいですが、それも野球です。来年リベンジします。あと、僕を応援してくれることは嬉しいですが、誰かを傷つけることは嫌です。これ以上湯川君、大谷津学院の人達へのバッシングは見ててツラいので、止めてほしいです。」

 三条はそうコメントを残し、真樹達を擁護していた。これには伸治、武司、沙崙も感心しながら言った。

「ほう、三条君いい奴じゃん。」

「ああ。ってゆうか、まともな人間ならバッシングなんかしないっつーの!」

「そうよ、そうよ!お互い全力でぶつかりあった結果なんだから、文句言う方がおかしいわ!」

 そして真樹も頷きながら言った。

「よかった。実力はあるけど人間性が腐ってる大和田と違って、三条は野球の実力も人間性も素晴らしい。だから強豪校のエースになれたんだな。」

 そう微笑んだ真樹。そして、クタクタに疲れていた真樹はそれぞれの部屋に戻って行く伸治達を見送り、そのまま眠りに就いたのだった。

こんにちわ!

さあ、この章もいよいよ大詰めです。

次回もお楽しみに!

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