第132話 奴らを止めろ
こんにちわ!
前回は大騒ぎになりましたが、真樹達は大丈夫なのでしょうか?
夏の甲子園の2回戦、大谷津学院と山形の米沢文化の試合で事件が起きていた。まずは第一打席に向かう真樹に対する女性ファン達のブーイングから始まり、出塁した真樹が伸治のタイムリーヒットでホームに帰ってきた時に暴徒化した女性ファンが真樹にガラス瓶を投げつけたことを皮切りに、事態は最悪な方向へ傾いてしまった。次々とゴミなどがグラウンドに投げ込まれ、大谷津学院のベンチ前は様々な物が散乱して滅茶苦茶になっている。
「き、貴様らいい加減にしろ!お前らみたいな非常識なにクズとか言われたくないわ!」
「ゆ、湯川落ち着け!皆さん、こんなふざけたことはやめて下さい!何度も言いますが彼は悪くありません!」
関屋が真樹を宥めながら暴徒化する女性ファンに呼びかけた。しかし、女性ファンの罵声はやむ気配がない。
「うっさい、黙れ!」
「お前らのせいよ!」
「開き直ってんじゃないわよ!」
なおも飛び交うヤジの嵐。審判団も必死に呼びかける。
「皆さんこれは試合進行の妨害です!即刻やめて下さい!」
「うるさい、へぼアンパイア!さっさとこいつらを不戦敗にしろ!」
最早暴徒化した女性ファンを黙らせるすべはなくなっていた。
一方こちらは大谷津学院側のアルプススタンド。こちらでも暴徒化した女性ファンが杜夫達を襲撃していた。
「おい、止めろ!ふざけんな!」
「あなた達、何でこんなバカな事をするの!恥ずかしくないの?!」
杜夫と立石が怒りながら物を投げつけてくる女性ファン達に叫んだものの、彼女達の耳には一切届かない。更に、吹奏楽部とチアリーディング部も襲撃され、大神や宮下達1年生は暴徒化sh自他女性ファンから暴行を受けている。
「大谷津学院、湯川真樹を応援する奴らを許すな!」
「あいつは女性の敵や!お前らも責任とらなあかん!」
「キャぁ、何すんのよ!」
「やめてよ!」
悲鳴を上げる大神と宮下達。飯田はその様子を見て警察を呼ぶと警告したが、全く聞く耳を持っていなかったので呆れながら通報した。
「もしもし、警察ですか?はい、今甲子園球場で暴徒化したファンが大谷津学院の選手や応援団に対して暴行して、試合進行を妨げています。はい…。お願いします!」
飯田は携帯電話を切ると、女性ファン達に言った。
「皆さん、警察を呼びました!覚悟して下さいよ!」
それでも女性ファン達は攻撃をやめない。すると、10分後に兵庫県警の部隊が到着し、初めての光景に唖然としながらも女性ファン達を取り締まっていく。
「警察です!皆さんを暴行及び器物損壊の現行犯で逮捕します!全員かかれ!」
次々と女性ファン達が警察に取り押さえられていく。取り押さえられたファンは怒りながら警察にかみついた。
「離せ!悪いのはあっちや!」
「はいはい、話は署で聴くからね!」
そう言われてつまみ出される女性ファン達。中には逃げた者、どさくさに紛れて関係ないふりをする者もいたが、どちらにせよ事態は収拾に向かい始めた。
警察の登場によって、大谷津学院のベンチ前も段々と落ち着きを取り戻し始めた。
「おい、警察沙汰になってんぞ。みんな捕まってやんの!」
「ざまあ見ろだぜ!俺たちの真樹にあんなことしたから当然だ!」
次々と逮捕される女性達を見て、武司と伸治が笑いながらそう言った。一方に真樹はまだ不機嫌である。
「くそっ、こっちは真剣にやってんのに邪魔しやがって!」
「まあまあ湯川…お前は悪くないんだから少し落ち着け。」
「そうよ。見ての通り、邪魔した馬鹿どもはみんな逮捕されているんだから。」
「でもよ…折角みんなで甲子園に来れたのに、こんな形で試合を邪魔されるなんて…。」
関屋と沙崙に宥められても、真樹の怒りはまだ収まらない。ようやく野次に参加したファンが全員逮捕されて球場からいなくなり、者やヤジが飛んでくることはなくなったが、暴動に加えてぐらインドに散乱したゴミなどを片付けるのに時間を取られてしまい、試合は大幅に遅延してしまった。そして、真樹は相手校である米沢文化のベンチ前に向かい、頭を下げながら言った。
「米沢文化の皆さん。僕が原因で試合進行を妨げる形になって申し訳ありません。今事態は収拾しましたので、再開後はまたよろしくお願いします。」
その言葉に、米沢文化の監督とキャプテンが答えた。
「い、いや。そんなに頭下げなくても。あなたが無事で何よりです。」
「そうですよ。まぁ、びっくりはしましたけど、せっかくなので僕らも最後まで試合がしたいので、こちらこそ宜しくお願いします。」
挨拶後、真樹がベンチに戻った所で審判団が試合再悪化と判断し、選手達は再び元の位置についた。
「プレイボール!」
ようやく試合が再開した。アナウンサーも少し安堵した様子でその事を伝える。
『一部の女性ファンの方々による湯川選手への暴動により、試合は1時間半の中断がありました。ただいま再開です。もうこのような事が起きて欲しくない限りです。』
そう伝えたアナウンサー。結局この回の追加点は伸治のタイムリーの1店だけだったが、先程の野次に対し真樹達大谷津学院が奮起。打線も奮起し、8回までに6得点と1回戦以上に繋がったのだ。そして、伸治も7回にソロホームランを打たれた以外は一切得点を許さない好投を見せ、9回のマウンドに登る。
「さぁ、9回裏ツーアウト。6-1で大谷津学院リード。先発の2年生の中山が1回戦13得点の米沢文化打線を抑え込んでいます。カウント1-2から第4球投げました。」
伸治は米沢文化の打者に対し、鋭く曲がるスライダーを投げた。結果、バットが空を切り三振になった。
『空振り三振、ゲームセット!大谷津学院、野次にも負けず3回戦進出!中山よく投げました!』
目の前で友人である真樹が酷い目にあわされて、怒りに燃える伸治の周年の巻頭でこの試合は幕を閉じたのだった。
こんにちわ!
今回はセリフ少なめでしたので、次回はもっと増やしたいです。
お楽しみに!




