第130話 二回戦開始!
おはようございます!
毎日寝不足です!
初出場の甲子園で、真樹が高校球界のアイドル投手である洛陽高校の三条からホームランを打ったことがきっかけで野次られ、何かと話題となっている大谷津学院野球部。また1回戦の様なことが起きるのではないかと心配が予想される中、本日2回戦を迎える。
『さあ、本日の第2試合。1回戦を見事なサヨナラ勝ちで激戦を制した千葉県の大谷津学院と、チーム打率3割5分の超強力打線を有する山形県の米沢文化高校の対戦。これも楽しみなカードです。』
実況のアナウンサーがそう伝えた。本日の相手である山形県の米沢文化高校は、春夏通じて5回甲子園出場経験がある名門校だ。優勝はまだ一度もないことから、今年こそは優勝したいと今大会にかなり掛けている。そんな学校が相手だが、大谷津ベンチは円陣を組み、関屋が部員たちの士気を高めていた。
「みんな!1回戦は色々あったが、今は忘れてこの試合に集中しよう!相手はスラッガー揃いの強敵だが、臆せず行け!」
「「「はい!!!!」」」
そう言って真樹達はベンチを飛び出し、大谷津学院の守備練習が始まったのだった。
一方こちらは3塁側のアルプススタンド。大谷津学院の応援席だ。慶と美緒は自身の部活動の関係で前日に帰宅してしまったので、来ているメンバーは杜夫に立石、吹奏楽&チアリーディング部の1年生、そして飯田である。杜夫は相変わらずハイテンションで真樹達を応援していた。
「よーし、いよいよ2回戦だ。もう、あんなことが起きないといいな!気持ちよく勝ってほしい!」
「そうよねぇ…。本当に、湯川君はどうしてこうも女性から目の敵にされてしまうのかしら?日頃の行いが悪いならともかく、会った事もない観客にまでここまで言われるなんて。」
立石が少し困った表情でそう言うと、飯田が横から口を開いた。
「考えても仕方ありません。どっちにしろ、向こうが悪いのに変わりはありませんから。」
飯田の言葉に対し、杜夫と立石は心の中で(まあ、そうだよな。普通。)と呟きながら目線をグラウンドに戻した。そして、吹奏楽部とチアリーディング部もやる気満々な様子だ。大神と宮下がメンバー達に声をかける。
「みんな、いよいよ2回戦よ!気合入れて演奏しよう!」
「1回戦は大変だったけど、堂々と応援しなきゃだめよ!」
「「「了解!」」」
他の部員たちは元気いっぱいにそう答え、試合開始の備えたのだった。
「選手整列!礼!」
「「宜しくお願い致します!」」
真樹達大谷津学院と相手校である米沢文化高校の選手達が整列し、いよいよ試合開始だ。今日の試合は大谷津学院の先攻なので、打順が1回戦と同じく7番の真樹はベンチに戻ってきた。ベンチに戻ると沙崙が真樹に声をかけた。
「真樹。」
「ん、どうした?」
「1回戦の事、まだ気になってる?」
「んな訳あるか。学校でもあんな感じだけどな、俺。」
「それはそれでどうなんだか…。でも、これだけは言わせて!」
「何だよ、改まって。」
「誰が何と言おうと、私…それと、先生も他の部員達も真樹の味方よ!次、あんな奴らが出てきたら私に任せて!こう見えて、カンフーも少しやったことあるの!」
「ありがと!そん時はまぁ、殺さない程度にな!」
そんなジョークを言っている間に大谷津学院の攻撃が始まった。まず先頭の武司がフォアボールで出塁し、2番が送りバント、3番でキャプテンの堀切がタイムリーツーベースを打って1点を先制するという、大谷津学院にとっては理想的すぎる初回だった。ホームを踏んでベンチに戻ってきた武司を真樹と沙崙が笑顔で迎えた。
「よく見たな、武司!いい感じじゃん!」
「ナイスよ、武司!」
しかし、武司の表情は少し曇っている。
「ちぇっ。ヒットで出塁したかったのに。」
「贅沢言うな。まだ1回じゃん!」
「そうよ!我儘言わない!」
「まぁ、そうだけどさ。次の打席は真樹みたいなホームランを打ちたい。」
その後、4番にもタイムリーが出て2点目が入った。後続の5,6番は打ち取られたが、強豪校相手に初回で2点リードするという大谷津学院には大きすぎる状況になった。そして、今度は大谷津学院の守り。マウンドに上がったのは1回戦を投げ切ったエース大橋ではなく、伸治だった。
『1回の表、大谷津学院は2点を先制しました。そして、リード後の先発マウンドに上がったのは2年生の中山。関屋監督期待のサウスポーです!』
大谷津学院は部員数が少ない故に、選手一人一人の負担もかかりやすくなる。なので、投手に関してはローテーションで投げようということになった。投球練習を終えた伸治は、緊張しながら腕を振りかぶった。
「あ~…マジで緊張する。リードしてもらったんだから、俺が頑張んないとな!」
1回裏が始まり、甲子園初先発の伸治の初球はボールだった。しかし、先頭バッターをセカンドフライに打ち取り、次のバッターをサードゴロに打ち取った当たりで伸治の緊張は解け始めた。
「真樹はあんな目に遭ったのに頑張ってんだ。俺が気負ってもどうしようもないだろ!」
そう言いながら真樹は3番バッターに2ストライクからの5球目を投げた。
「ストライク、バッターアウト!スリーアウト、チェンジ!」
何と伸治は猛打で有名なゆ嶺障文化の上位打線を初回3人で抑えたのだった。
『2年生中山、初回は上々な立ち上がり!ボールもしっかりとキレています!』
そして、2回表の大谷津学院の攻撃。この回の先頭バッターは真樹だった。
『7番、ファースト。湯川君。』
真樹の名前がコールされると、沙崙、武司、伸治が声援を送る。
「真樹、ガンバ!」
「野次られても気にすんな!」
「お前なら大丈夫だ!」
3人お声援に対し、真樹は微笑みながら振り返る。
「ああ、任せろ!野次った奴らを絶望のふちに追い込んでやる。」
そんな冗談を飛ばしながら、打席に入る真樹。しかし、この真樹の打席で再び事件が起きるのだった。
おはようございます!
2回戦は果たしでどうなるのでしょうか?
次回もお楽しみに!




